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荒木飛呂彦の文体について
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荒木飛呂彦の文体について_a0030177_1957661.jpgウルトラジャンプ11月号「スティール・ボール・ラン」#31のネームがすばらしい。
即物的で淡々としたモノローグが、まるでほんとうにジョニィ自身が書いた旅行記のようです。他のジョジョシリーズでも旅の途中のインターミッション的なシーンで印象的なのはいくつかあるけど、旅という行為の「生活」面についてここまで語り込まれた例はおそらく初めてじゃないでしょうか。

あまりによかったので一部書き出しておきます。
馬が入れる木の下や岩陰を見つけたら
とにかくその場所に防虫対策の簡易ベッドを作って ひたすら寝た
馬は立って眠る
陽が傾きかけたら再出発で 月明りがあれば夜進み
闇夜なら 馬が岩や毒トゲで負傷するリスクをさけ 即刻キャンプの決断をする
ぼくらの馬は水を4日間飲まなくても大丈夫だった

夜のキャンプ時もそれなりに忙しい
馬の毛並みのブラッシングをみっちり数時間してやる
筋肉マッサージの意味もあるが 防虫や病気の危険回避のためだ

進行中 道幅の視界が狭くなり
仮に道端に朽ちた木の十字架が何基かあったら要注意だ
過去に山賊が旅人を虐殺したか それに近い事故が起こった場所の可能性が高い
襲撃に適した「地形」という事だ
敵はいないかもしれないが まわり道するか
または覚悟を決めて 戦闘態勢をとってそこを通り抜けるしかない

でも レース中もっとも神経と体力を使うのは「河」を渡る時だ
それが大きい河だろうと 小さい河だろうと
水に入ると360°無防備状態になるし ブヨや蚊の大群はいるし
もし水の中を泳いでいるマムシに馬が噛まれでもしたら その時点でアウトだからだ

ここまでの旅 いったい何本の「河」をぼくらは渡って来たのだろう……
そしてあといくつの「河」を渡るのだろう……

ジャイロの淹れるイタリアン・コーヒーは こんな旅において格別の楽しみだ
コールタールみたいにまっ黒でドロドロで 同じ量の砂糖を入れて飲む
これをダブルで飲むといままでの疲れが全部吹っ飛んで
驚くほどの元気が体の芯からわいてくる
信じられないくらいいい香りで もっともっと旅を続けようって幸せな気分になる
まさに大地の恵みだ
ジャイロはたまにこれをヴァルキリー(馬)たちにぬるーくして飲ましている
この例にもみられるように、回想シーンなどでの荒木飛呂彦の語りのスタイルは即物的、断定的、肉体的、簡潔、というのが特徴で、ここから僕がまっさきに連想するのがヘミングウェイの文章です。もちろん荒木飛呂彦の場合は絵があってこその表現なわけですが、言葉づかいだけでもけっこう似ている気がします。奇抜な比喩や倒置法を多用するエキセントリックな荒木節がなりをひそめているときの、「素」の状態の荒木文体っていうのは、案外こっちの方なんじゃないかなあ。
まあ実際には戦いや冒険のまっ最中でない場面なんてほとんどない漫画なので、普段の状態という意味でいえば「圧迫祭りよォーッ!」とかやってるときのほうがジョジョ的には素ということになるのかもしれませんけど。

ちなみに今回はジャイロが一着でした。よ~しよしよし。大したやつだジャイロおまえは。

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