攻殻 2nd GIG #15「機械たちの午後」。
タチコマはいいキャラですよー。ひょっとするとTVシリーズで一番面白いポジションかもしれん。 どうやら彼らには、いくら並列化されてもにじみ出てくる個性というものがあるらしい。これは、言ってみれば人間社会のスタンドアローン・コンプレックスと対照的な位置づけとも取れます。 個別化を標榜しているくせに結果としては他人の思想に染まって無個性になってしまう人間のテロリスト「個別の11人」に対して、同じデータを与えられても自然と個体差を成長させていくロボットがタチコマ。仕組みはわからないものの、AIが自己進化の結果として個別のゴーストまで持てるってことは、これはなかなか夢のある話じゃなかろうか。 もしかすると彼らは、人間に似た多様性を持って「種」としての営みを続けていける存在なのかもしれないぞと。 そしてタチコマは、擬人化された部分ではなく、きわめてロボット的な考え方をするところにこそ親しみが持てる、そういうキャラクターでもあります。 人間が彼らを見守る目には、「やっぱ根源的に違うなぁ」と思いつつも、なんとなく親しみが込められている。それは、自分たちとは思考回路も価値観もまったく異なるものが、損得勘定ぬきで自分たちを理解しようと努力してくれるのが嬉しいからかもしれない。好意というより知的興味によるものなんだろうけど、それでもなんか嬉しい。それが人間ならではの人情というものでしょう。 で、その親近感の裏には「もしかしたら友達になれるかも」という期待があるんじゃないかなーと思うのです。天文学が発達して宇宙の広さが理解されて、人間が語り合える相手は結局同じ人間しかいないということを人類は知ってしまった。そんな寂しさをまぎらわすように、SFは空想の隣人を描き続けてきた。宇宙人やアンドロイドや、その他さまざまな異種知性との交流の物語を、飽きもせず何千何万と。 機械と人間の意思疎通は、その中でも一番実現可能性の高いアイデアといえましょう。ただし、それは人間の模倣であってはいけない。あくまで機械ならではの知性として、自分たちと対等の仲間になって欲しい。その方がほんとうの相互理解っぽいし、話をするにしても張り合いが出る。それもまた人情というものです。 まあ所詮は夢物語だし、第一そんな見方は攻殻機動隊の世界観にそぐわない気もするけど。しかし、SACシリーズにはどことなく、そういうセンチメンタル&ドリーミーな内容でも許してくれそうなゆるい雰囲気があります。そこらへんの隙を突いて書かれたのが「機械たちの午後」なんではないかなぁと。見ていて思った。 その他コメント。なんか今回、DVD2巻とも妙に無理のある展開が目についた。 #13「顔 MAKE UP」かなり無理があるパズ。 #14「左眼に気をつけろ POKER FACE」相当に無理があるサイトー。 #16「そこにいること ANOTHER CHANCE」無理ありすぎのクゼ。てか、いい人すぎ。 あれもこれもやりたいって気持ちはわかるが、ほどほどにな。
by umi_urimasu
| 2005-03-25 20:08
| アニメ・マンガ
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