「こちら十兵衛、花地獄に閉じ込められた」
「いかん!すぐにそこを脱出するんだ」 「しかしな和尚……女が多すぎる。性欲を持て余す」 「激しい一面もあるぞ」 「十兵衛ったら、ヘタね」 「俺は、負け犬だぁー!」 遊 戯 終 了 そんな会話が脳裏をよぎる。もし風太郎書くところの柳生十兵衛がアニメになったとしたら、大塚明夫さんがハマり役ではなかろうか。それか「十兵衛ちゃん」の目黒祐樹さん。あれは本職ならではの自然さでしたなぁ。 ちなみに本作でライバル役となる片腕の剣士、漆戸虹七郎に声をあてるとしたら塩沢兼人さん!それ以外考えられん!もう亡くなられていますが。 ま、戯れ言はさておき、ほんとに傑作ですわ。もう言語道断なまでに傑作。これをエンターテインメントと言わずば何をもってそう呼ぶのか、てなぐらいの絢爛たる娯楽大作。 上巻のレビューでもほめちぎったけど、あれですらまだほめ足りない。 下巻では、舞台を江戸から会津へ移して熾烈な戦いのつづきが描かれます。といっても力押しの殲滅戦ではなく、あくまでも知恵を絞って敵の裏をかくという頭脳戦のおもしろさこそがメイン。もちろん十兵衛先生の見せ場も満載で、ユーモアたっぷり痛快無比のおもしろかっこいい活躍ぶり。とくに、敵の本拠地に乗り込んでいくとこなんかは爆笑必至でしょう。 サムライ・ナイチンゲール見参!! ク、クレイジー……! 風流すぎます先生。敵を笑わしてどうしますか。それとも傾いてみたいお年頃なのか。 とりあえず、チャンバラや娯楽小説は好きな方だけど山田風太郎を読んでないっていう人がもしいたら、「甲賀忍法帖」と「魔界転生」、そしてこの「柳生忍法帖」、どれでもいいから読んでみてくれい。目からウロコが落ちるぞきっと。 といいつつ、僕もまだこの三作しか読んでないんですが。 あと、できることなら生前の黒澤明に上記三作のどれかを映画化してほしかった……。今さらだけど切実にそう思います。そういえば、人質を取ったならず者に握り飯を持っていってやり、油断したところを倒すという石舟斎?の逸話がこの作品でもちょこっと出てた。「七人の侍」にも同じエピソードがあったね。 柳生忍法帖〈下〉山田風太郎(講談社文庫) 【補足】 「甲賀忍法帖 バジリスク」に続いて、せがわまさき氏による柳生忍法帖のコミック化が予定されているようです。ここらへんに告知あります。十兵衛・般若マスクのイラスト付き。
by umi_urimasu
| 2005-01-21 20:40
| 本(others)
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