どうも、昔の飼い犬に手を噛まれるという初夢を見てややブルーなumi_urimasuです。
ではさっそくだが2006年初レビューをお届け参らせよう。 ─── 語るは拳、歌うは剣。愛と正義と義理のため、死合うさだめの武侠の士。老若男女もネコも酌子も中原狭しと駆け巡る爆裂大河歴史ロマン、いよいよ佳境! ついに黄蓉の父が住む桃花島を訪れた郭靖。「貴様ごときに娘はやれぬ」と黄薬師が課した試練をどうにか切り抜けて脱出したものの、あっけなく遭難→無人島コンボ。黄蓉との心温まる(!?)蜜月の日々もつかの間、海原を越えて恐怖のお義父さんが迫り来る。ついでにサメの背に乗った老人も。死んだはずだよ周伯通。もしかしてこの爺さんたち、全員不死身属性か? とまあ、そんな感じ。奇想天外なストーリーの転がしっぷりは相変わらずで、まだまだ収斂のきざしは見えません。次巻のモンゴル編(?)ではいかなる修羅場が待ち受けるのか。そういえば、あっち方面には許嫁という爆弾があったっけ……。 なんかもう、らんま1/2をバキのノリでやってるような気がしてきたよ。 ジジイの魅力について。 射雕英雄伝のキャラクタードラマとしての活発さは、主役の若者たちよりもむしろ、武林四柱をはじめとする老人・壮年の登場人物たちに負うところが大きいのではないかという気がしています。そもそも、爺さんばかりがこんなにあくせく動き回る娯楽小説ってのもちょっと珍しいでしょう。いい年こいてケンカ三昧、性格は意地っぱりでアマノジャク、強さはサイヤ人並みだが行動原理はまるで子供。憎むに憎めない。日本ではそうでもないようですが、中国のカンフーものとか娯楽映画ではわりあいよく見かけますね、こういうキャラも。 ちなみに個人的には北乞・洪七公がお気に入り。 今回も風変わりなアイデア・カンフーバトルのオンパレードですが、とくに新鮮なのは桃花島での音楽対決でした。そういえば映画「カンフーハッスル」にも、琴を弾いて相手をはじき飛ばす技が登場します。もしかしたらあれも、この射雕英雄伝あたりがネタ元かも。 ─── 「ディアスポラ」やっと半分まで読んだ。ガンマ線バーストきたー! なんかイーガンって、ネイチャーやサイエンスから「カタストロフィにできそうなネタ」を適当に拾ってきて話作ってそう。 ─── アニメ版デモンベイン キャスト発表 メインキャストはゲームそのままで、映像もOVAよりいいらしいとのこと。 あー落ち着いたー。 #
by umi_urimasu
| 2006-01-02 23:24
| 本(others)
意外にもかなりの良作。
子供心理のもっとも柔らかい部分を抽出・凝縮した、純日本的感性のまったりキッズコメディです。というか、ほとんどリアルお子様コント。イメージ的には「ちびまる子ちゃん」を10倍ほど可愛く補正した感じでしょうか。子供らしさを強調しながら、変にいい子ぶったりしてないのが心地よいです。 舞台は静岡県某市、登場人物は小学生のなかよし女の子4人組と短大生の姉ひとり。内容の九割九分は日常ネタトークと無邪気な(そしてときに度を越した)いたずらに終始。でも彼らを叱りつける大人は画面に登場しません。固い友情とか感動的な成長とかいったモラリスティックなお話臭さもまったくありません。子供部屋の中だけでゆるやかに巡り、そして何事もなく閉じられる平和な小宇宙。 これがとにかく、めっぽう和む。 企画の規模としてはあまり大きなようには見えないです。でもそのわりに作劇作画の質がやたら高くて、しかもずーっと安定しているのが特徴。これは驚異的と言っていい。今どき日常芝居オンリーでこれだけの高品質をキープしているアニメもちょっと珍しいと思います。地味に見えて制作体制は相当しっかりしているものと推測。 作画など純粋に映像技術的な面では「かみちゅ!」の「ベストな時」には及ばないかもしれませんが、全体の安定感では「苺ましまろ」に分があります。去年から今年にかけて放送されたTVアニメのめぼしいタイトルをざっと見渡してみても、こと安定性にかけてはトップクラスなんじゃないかという気がする。まあ自分でいろいろ見て確認したわけじゃないから、なんとなくそう思う程度の印象でしかないんですけど。 DVD1〜4巻まで見たかぎりでは、1〜8話、すべて甲乙つけがたい出来。中でも第5話「そいね」は秀逸で、おふざけと本気の境界線上でゆれ動く子供心をすばらしく鮮やかに描き出していておすすめです。この微妙な気持ちのバランスは誰でも、たぶん十人中十人、必ず子供時代に経験があるはず。子供ってのはほんとに、大人のえこひいきにはむちゃくちゃ敏感なとこがありますからね。 ちなみにこの回、やたら脚本演出が鋭いと思ってスタッフを見たら、脚本:平見瞠、演出:太田雅彦、絵コンテ:佐藤竜雄となっていた。……おいおい。日常芝居めちゃ上手いんじゃないですか。こう言っちゃあ何だけど、舞HIMEとかステルヴィアとか作ってたのと同じ人たちとは思えん。 プロってすごいな。 プロのすごさといえば、美羽のCV・折笠富美子の演技にも注目を。多彩な声質を使い分け、特に子供役の巧さには定評のある声優さんですね。個人的には「フィギュア17」のヒカル役が印象的だった記憶があります。 惜しむらくは、これが13話かぎりの短期シリーズということ。原作の方もまだ生き残ってるみたいだし、第二期を望む声もけっこうあるみたいなんだけど。個人的にも続編期待。 ─── さよなら西暦2005年。特にこれといって何もしないけど本だけは読む。この時期、こたつの友にはやっぱりディアスポラでしょう。うん。これしかあるまいて。んじゃそゆことで。 #
by umi_urimasu
| 2005-12-31 22:30
| アニメ・マンガ
うわあ、なんだこれ。
話には聞いてたけど、新旧の絵の断崖絶壁的なギャップは目の当たりにするとやはり珍妙なものでした。あまり絵がいいの悪いのと気にしながら作品を観たくはないんですが、これは少々度がすぎるかも。キャラクターの顔がまったくの別人です。シャアがドアをくぐるところで画面が切り替わって「待ちたまえ、カミーユ君」プシュッ「身代わりの術!?」みたいな感じになってました。 ファーストガンダムやターンエーだと、テレビシリーズの絵と映画用に描き直された絵が混じっていても全然気にならなかったんですが……できれば、今回みたいなちぐはぐな切り貼りをあまり頻繁にやってもらいたくはないです。せっかく奇麗に描かれた絵がもったいないよ。 ストーリーについては元々がいい出来だと思うし、「Zは特別」みたいな思い入れもないので、これといって不平不満はありませんでした。ただ、かなり圧縮されているせいでテンポが性急すぎて、予備知識のない人にはわかりづらそう。 内容で気になったのは、新訳版主人公のカミーユが妙に影が薄いように思えたところ。 TVシリーズのカミーユはもっと鬱気質で愚痴を垂れてばかりいる印象がありますが、あれはあれで物語にとって重要なキャラクター性だったと思っています。それを今さら否定する理由がよくわからない。別に主人公が鬱キャラだからといって、現代の若者をネガティブな袋小路へ追い込む物語になるとは限らないと思うんですけど。 だいたいあの程度のネガティブ指向がなんですか。古今無数のドラマや小説の中にあんな鬱主人公は山ほどいますよ。掃いて捨てたら夢の島ができるぐらいね。 でも富野監督としては、傷ついて壊れていくカミーユのような破滅型主人公を今の若い人々に提示するのはよくないと思っているようです。その考えをダメとはもちろん言いませんが。 正直、一視聴者としては別にどっちでもいい。物語さえ面白ければ、鬱主人公だろうとロランっ子だろうと。 ただ、監督の意図は変更によって達成されたかもしれないけれど、ネガティブな性格描写をのきなみ削った結果、主役の存在感が薄くなってしまったのはやっぱり事実だと感じるわけで、そこだけはちょっと疑問が残ります。むしろ、後半ではシャアやアムロの方が目立ちまくってたような気がする。 しかしカミーユがいい子ちゃんキャラになってしまったら、大人にたてつく子供の役を誰がやるんだろう。 カツか? うへぇ。間に合ってますー。 ──── 作画のことを悪いように言ってしまったけれど、新作されたシーンはさすがに見栄えがするものに仕上がっていました。特にギャプランとの空中戦あたりはかっこよかったっす。もう半分がんばって全部新作カットにしてしまえば、誰も文句なんか言わなかっただろうにね。 気になるラストについて。 いくら主人公がいい子キャラになっても、やっぱり最後は彗星ヴァーエンドなのかどうか。これは「ラストに新しい大団円を付け加えた」みたいな富野監督のコメントから、大変更の可能性もありそうな気がします。 「いやどうもお騒がせしました。おっしゃー結婚しよう、ファ!」とかいうハッピーエンドになれば、いろんな意味で面白いんだけど。 とりあえず静観。 「恋人たち」はけなしてる人が多いなあ……。 ──── 「ディアスポラ」読みかけ。でも読み終わりそうにありません。最初の50ページぐらいですでに酸欠状態になってます。もうわけわかんねーっつーの。おのれー、宇宙消失は簡単だったのにー。 #
by umi_urimasu
| 2005-12-27 01:03
| アニメ・マンガ
天才育成機関出身という経歴と病的な現実逃避癖をもつ謎のイケメン大学生、それが人呼んで"戯言遣い"のいーちゃんである。ある時は青い天才少女だの赤い人類最強だのを脇にはべらせ、ある時は学食で丼いっぱいキムチを食いまくり、またある時は少年殺人鬼と拳で哲学を語りあい。そして彼に近づくクラスメイトたちは、日を追って無惨な絞殺死体と化してゆく。
だがそれがどうした? ぬるい偽善はたくさんだ、死ぬなら勝手に死んでくれ。 愚かな恋をなんとする、請負人もあてにはならぬ、闇に裁いて戯れ言る──戯言遣いが、殺人犯を。 うぐぅ。警察にまかせろよ、そういうことは。 西尾維新という人は、語呂合わせや宛て字の要領で作った誤字、誤用、造語をやたらに使う作家です。それはもう、ときに見苦しいほどたくさん使う。効果のほどはちょっと微妙ですが。造語の方はともかく、あからさまな誤用には陳腐な印象しか受けませんし。 けれどその文体は、一見うっとうしいだけのようでいて、ミステリにとっては意外にも効果的だったりするらしい。 推理小説では、真相を読者の目から隠すためにいろいろな手管が使われます。鍵となる情報をわざと省略したり時系列を倒置したりなどの正道っぽい手の他に、文意そのものをわかりづらくしたり、重要な情報を無意味な文章の中に紛れ込ませる方法もある。西尾維新がよくやるのはこれですよね。 「クビキリサイクル」ではそういったあやふやな文章に単なるレトリック以上の機能はなかったんですが、この「クビシメロマンチスト」では、より本質的にミステリの役に立つように使われています。たとえば、会話やモノローグの意味合いがまるごと二重化されていて、あとからようやく裏の意味に気づくようになっている所がいくつかある。真相を知っていれば確かに不自然さの質が違うことに気づきますが、初読時に見破るのは無理でした。 でもこれはわからなくても仕方がないでしょう。普段からめちゃくちゃ不自然な言い回しばかり使っていて、通常の文体そのものがカムフラージュになっているも同然なんだから。 つまりこれは、あの仰々しいオタ文体が「常態」であるからこそ使える技だったのかと。 クビシメロマンチストを読んで思ったわけよ。 せいいっぱいポジティブに書いてみました。 でも我ながら今いち褒めてない。 ──── 検索すると「キャラが立っている」という感想がたくさんヒットしますが、これはいかがなものか。僕にはどの人物も表層的なギャルゲー記号の寄せ集めに見えますよ。人類最強・哀川潤がいかに常識を越えた最強の存在か、とかいう描写が必死に繰り返されるのを読んでるといたたまれなくなって来るし。 そんなとこまで奈須きのこに似なくてもいいのに。 ──── 西尾維新は戯言シリーズ完結時のインタビューで「僕にとっては、世界=物語で、身近で閉じた世界が物語そのもの。『セカイ系』と言うが、逆に、そうでない問題って小説になるの? と聞きたいくらい」と述べています。 どう受け取ったらいいのか当惑させるコメントです。「私は高校生か大学生の萌えオタ日常小説しか書けませんよ」と宣言してるに等しいような気がするんだけど。それとも、ベオウルフや平家物語や三国志は彼にとって物語じゃないんだろうか。 やや疑いまじりの視線と共に、「クビツリハイスクール」の巻へつづくー。 #
by umi_urimasu
| 2005-12-21 23:15
| 本(SF・ミステリ)
[アニメ] 「ゲド戦記」映画化 関連ニュース
はいはい息子息子。 噂によると内容は3巻メイン、あるいは3と4のミックスではないかという話です。さすがに3だけじゃ女っ気がなさすぎるってことなのか。どうせ1本かぎりの映像化なら、出来はどうあれ1をやって欲しかったところですが……版権取れなかったのかなあ。駿的にはむしろ4を自己流でやりたかったのかもしれませんけど。テハヌーとかテハヌーとかテハヌーとか。 公式サイトのポスターに描かれている竜はカレシン?イエボーだっけ? 3〜4巻は一度しか読んでなくて、内容もほとんど忘れてしまいました。もう10年近く前の話。いい機会だから買い直すか。 ちなみにゲドの実写版テレビシリーズは見るも無惨な改悪っぷりだそうで、ファンからはゴミ以下と断じられているようです。ふぅ。 まあこっちはジブリだし、さすがにそこまでの事はないと思いますが。 [雑学] ゲームのなかのモダニズム コンパクトな近・現代ゲームデザイン史の紹介。GJです。 [ゲーム] ガンパレード・オーケストラwiki CERO12って書いてあった……。つまり、Hな雰囲気がないってこと? んでもって、カッターもいじめも銃殺も餓死もないってこと? umi_urimasuの士気が-50000! umi_urimasuはちょっとブルーになった。 いいもん、GPMがあるから。 [FLASH] のまのま http://www.potyacom.net/flash/debate.cgi?122 今さらだけど生きてるのを探し出してきました。なるほど神仕事だ。何はともあれローカルへ保存。 ──── ぱにぽに見てー。でもすでにシリーズ終盤なので、今さら見始めるのも逆にもったいない気がしてどうも踏み出せない。DVDレンタル展開を待望します。 #
by umi_urimasu
| 2005-12-17 01:14
| ニュース
|
最近のエントリ
「ゾンビ・ダイス」のようなものをお手軽に自作して遊ぶ
シルヴァン・ショメの異形の世界 「朝鮮通信使いま肇まる」 荒山徹/「マルドゥック・フラグメンツ」 冲方丁 「ザ・スタンド」 スティーヴン・キング 「ねじまき少女」 パオロ・バチガルピ 荒山先生はいつも楽しそうでいいよな 「友を選ばば」 荒山徹/「痩せゆく男」 S・キング/「大暗室」 江戸川乱歩/他 日本人はなぜクトゥルーを怖がらないのか 「異星人の郷」 マイクル・フリン 路傍のラピュタロボット 「ペット・セマタリー」 スティーヴン・キング すべての美しい木曽馬(?) すべての美しい競走馬 スティーヴン・キングに(ようやく)目覚めた ゲームのリアルリアリティ 中世の料理と風呂について: 司教様ご一行フルコース食い倒れツアー 統計: ファンタジーにおけるドラゴンの流行色 ロシアの伝説に残るユートピアとしての日本国 テッド・チャン インタビュー [2010.07] "On Writing" 時代小説、SF、ボーイズラブ、大食死 あとゾンビ 「テルマエ・ロマエ」 第1巻 ヤマザキマリ 忍法帖の姫キャラ比較 覚悟のススメみたいなノベルゲーム探してます 「天地明察」 冲方丁 映画 「第9地区」 映画 「シャーロック・ホームズ」 一生に一度は行ってみたい空想都市 荒山徹作品の再現コラ画像 「年間日本SF傑作選 超弦領域」/他 「ブラッド・メリディアン」 コーマック・マッカーシー PCが壊れると積読が崩れる トールキン「ホビットの冒険」訳文チェック 「柳生天狗党」 五味康祐 「ユダヤ警官同盟」 マイケル・シェイボン 映画 「ストレンヂア 無皇刃譚」 「あなたのための物語」 長谷敏司 「自生の夢」 飛浩隆 「洋梨形の男」 ジョージ・R・R・マーティン 「息吹」 テッド・チャン 年とるとライトノベルが読めなくなる 「海島の蹄」荒山徹 「煙突の上にハイヒール」小川一水 「柳生武芸帳」五味康祐 Yahoo! 剣豪知名度ランキング 「鳳凰の黙示録」荒山徹 「乙嫁語り」森薫 「すべての美しい馬」コーマック・マッカーシー 「順列都市」グレッグ・イーガン カテゴリ
以前の記事
最新のトラックバック
ライフログ
その他のジャンル
記事ランキング
|
ファン申請 |
||