一生に一度は行ってみたい空想都市
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昔から「幻想都市」というものが妙に好きです。現実世界の都市はすみずみまで合理的にできていて、おおむね「なるべくしてそうなった」形態になってるんですが、幻想の都市にはそうした制約がありません。だから現実の街にはない奇妙なところが多分にあってもかまわない。むしろ奇妙であればあるほどおいしい。ただし空想的なら何をやってもよいというわけではなくて、わざとらしさが過ぎてもいけません。現実にはありえない、それでいて実際に住めそうな現実味があること。魅惑的な幻想都市とは、そんな一見相反する条件をクリアし、なおかつ目に美しい景観をもそなえているのが望ましいであろう。と勝手に思っています。
ビジュアルイメージとしては、まあたとえばこんな感じのとか。
The Rock City by Sergey Skachkov
Perdido St Station by Alberto Gordillo
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2chのSF板だとこんなスレがありました。
一生に一度は行ってみたい空想都市
ラピュタ、ゴーメンガースト城、タネローン、ダイアスパー、コニシポリス、順列都市、広くとらえてファンタージエンやナルニアなどなど、いろんな例が挙げられていました。生身では行けないところや一度行ったら帰ってこられないところもありますが。オンブリアなんかはヨーロッパの古都や城塞都市系が好物な人間にはたまらないものがありましょう。

上で挙がってなかったところで思いつくものを挙げてみると、中つ国の定番でミナスティリス。ギブスンの千葉シティ、橋三部作のベイブリッジ。電脳空間もありなら「スノウ・クラッシュ」に出てくるメタバース内のストリート。クトゥルーなら「狂気の山脈にて」の南極の巨大廃都とか無名都市とか。
幻想小説の方では、僕はあんまり詳しくないですが、山尾悠子だったら「夢の棲む街」みたいな。ゲームの舞台まで含めれば、「ICO」の廃城も行ってみたい場所です。写真撮りに。

a0030177_20114556.jpgそして最近読んだ小説でたまげたのが、チャイナ・ミエヴィル「ペルディード・ストリート・ステーション」。鈍器にもなりそうな分厚い本の中身の大半が、ストーリーそっちのけで架空都市〈ニュー・クロブゾン〉のディテール描写についやされているという、ほとんど空想の街への執着だけでできちゃったみたいな作品でした。あらすじ的には他愛のない冒険譚だけど、街の描きこみが正気じゃないレベル。じつはここしばらくこのブログの更新が滞っていたのも、必死こいてこの本を読んでいたからなのです。いやはや。くたびれましたわ。

a0030177_20155497.jpgあと、洋書の絵本で大好きな一品として、オーストラリアのイラストレーター Shaun Tan(ショーン・タン?)の「The Arrival」も挙げておきたい。
これはマジで神絵本。
作者のHPでサンプルが見られます。 Picture books - The Arrival
ご覧になったことのない方はぜひ。

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「からん」の高瀬雅に見る「シグルイ」流れ星理論の話
雅のあまりに計算づくな「腹黒的いい人」ぶりには常々危ういものを感じていましたが、どうやら第5巻あたりで(満を持して?)問題が表面化しそうな気配らしいです。楽しみだ。盛大に炎上し、しかるのちまるく収まってほしい。

「マルドゥック・スクランブル」新情報解禁トークショー - GIGAZINE
[youtube] マルドゥック・スクランブル 予告編
陰影のきつい映像。ちょっと川尻善昭チックかも。「圧縮」とあるのでアニメも三部作構成なのかな

a0030177_2082559.jpg「製鉄天使」 桜庭一樹
ひとことでいうと、劣化赤朽葉? 「赤朽葉家の伝説」の不良少女パートのさらに一部分を、大筋はそのままにキャラ名だけ変えて、よりコミカル、ファンシーなタッチで仕立て直したもの。でもプロットがほぼまんまなのでインパクト全然ないです。マンガ的な描写でマンガ的な世界を作ってる感じの文章はまあ面白かったけど。あまりガチな期待をしないで、赤朽葉のセルフパロディ的なネタ作品と思って読むが吉ではないかと。

Ted Chiang, The Lifecycle of Software Objects
キターーー! テッドチャンの作品としては過去最大のボリュームという新作。めちゃ面白そう。 Subterranean Press から7月発売予定

SFマガジン2010年5月号をぱらぱら流し見。マルドゥック新長編のタイトルは「マルドゥック・アノニマス」ですと。えー。もしかして名もなきキャラの話なんだろか。
津原泰水氏は生まれつき目がお悪い、という話は初めて知りました。味覚や嗅覚方面の喚起力がやたら鋭いあの文章にそんな理由があったとは……

「はヤぶさ」に知能?「さむい」「なう」とつぶやく
まあ確かにかわいいが。そして大気圏突入時の「あつい」「なう」で号泣と

あいうえお順「元号・西暦対応年表(江戸時代編)」 - 平民新聞
世の歴史小説好きたちのためにと親切な方がつくってくれました。ありがたや。

上田文人氏、『ICO』のPS3移植や映画版『ワンダと巨像』についてコメント
移植については「興味がある」と発言。トリコの反響次第ではもしかしたら?
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# by umi_urimasu | 2010-03-25 22:01 | 本(SF・ミステリ) | Comments(2)
荒山徹作品の再現コラ画像
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荒山徹「竹島御免状」を読んでついカッとなってこんなものを作った。ビジュアル化してみるとあらためてひどい。これが時代小説のイメージ画だといっても知らない人には到底信じてもらえますまい。
今回はこれが感想文の代わり。

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円城塔「後藤さんのこと」 も読了。いつもながら、面白いけどイミフ。この中だと「墓標天球」がいちばん好きかな。中世っぽい幾何学的宇宙像とか、羽毛が降ってくる街とか、どことなく山尾悠子を思わせるような幻想臭がする。ボーイミーツガールにはそろそろ飽きてきましたが。

マルドゥック・スクランブル
サイトリニューアル。ボイルドは僕の脳内ではハゲた巨人のイメージなんだけど、長髪か…

[画像] 廃棄されたソ連の水上飛行機(「エクラノプラン」?)
美しくさびれた廃飛行機の画像。まるで伝説の白鯨みたい。これはおいしすぎる。全保存だ

a0030177_2055116.jpg「ハルシオン・ランチ」1 沙村広明
ロリゲロ漫画というニッチすぎるジャンル。まるで水を得た魚のような80年代ネタの乱打。楽しそうでよい。もうむげにんは50年計画のライフワークということにしておいて、今のうちにできるだけ、こういうネタ性/趣味性の高い作品をたくさん手がけてもらえたらいいのにと思う。この手の乱行は年をとればとるほどやりづらくなりそうだしな。

「非実在青少年」問題とは何なのか、そしてどこがどのように問題なのか?まとめ - GIGAZINE
今ネットがあってよかった。もしネットがなかったら完全に通されてた

妖怪の浮世絵画像を貼ってみる 無題のドキュメント
おどろ美しい。解説や出典情報が欲しい…
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# by umi_urimasu | 2010-03-07 00:35 | イラスト | Comments(0)
「年間日本SF傑作選 超弦領域」/他
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最近読んだ本など。

a0030177_20555742.jpg「年間日本SF傑作選 超弦領域」 大森望・日下三蔵編
科学、幻想、ホラー、忍法帖、短歌、漫画、伝記など、いろんなジャンルが節操なくつめこまれたゴタまぜ感の強いアンソロジー。知らない作家・作品との思いがけない出会いが期待できるという意味では、こういう本が定期的に出るのはとてもありがたいです。でも収録作からお気に入りをピックアップしてみると伊藤計劃、円上塔、津原泰水、小川一水と、普段の自分の好みの範囲内から結局一歩も出てなくてしょぼん。


a0030177_20561151.jpg「徳川家康 トクチョンカガン」(上・下) 荒山徹
荒山徹による「影武者徳川家康」の本歌取り。先達の偉業を手あたりしだいにファックしまくるこの愛深き蛮行がいつまで許されるかわかりませんが、いちファンとしては彼のやりたいようにやってほしいと思うばかりです。ただし、今回はすでに細部まで隙なく組み立てられた先行作品があるためか、読む側からしてみるとどうも窮屈な感じでした。隆慶解釈へのカウンターとして、どうしても妥当性とかを比べてしまう。すると純粋にホラ話として楽しみにくくなる。いっそのこと影武者はじつは十人ぐらいいたとか、二郎三郎その人が朝鮮妖術師だったとか、大坂城にゴモラが出現とか、比べようがないほどむちゃくちゃな話にしてくれた方が僕にとってはよかったかもしれない。まあそれだといつもの荒山徹と何も変わらんけど。


a0030177_20564222.jpg「からん」 木村紺
最近の注目漫画。第1巻の冒頭で人物を大量に登場させ、誰が何者なのかわざと把握しきれなくしてしまうことで、入学卒業シーズンの学校に特有のあわただしさ、誰もがとぎすまそうとする人の第一印象に対する鋭敏さ、みたいなものまであらわしていそうなのを見て、「こやつできる!」とにらみました。スポーツ漫画としての足場を固めていきつつも、そこにはたらく女子校的な政治力学をほの見える程度に見せるさじ加減も絶妙。絵もうまいし、京都弁のセリフまわしも新鮮です。大切に追いかけていきたい作品。

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オンライン書店ビーケーワン:竹島御免状
新刊は久しぶりに朝鮮妖術×裏柳生で荒山先生大暴れだそうでござる。期待大。

「ペルディード・ストリート・ステーション」 チャイナ・ミエヴィル
ダークスチームパンクファンタジーアドベンチャー?よくわからんがそそられる。そのうちトライしてみる

海外版『人喰いの大鷲トリコ』発売日予想?
今年の11月ごろではないかという説が。発売を急ぐよりも十分に時間をかけて完成度を高めてくれるほうが嬉しいけど、一日も早くやりたいという気持ちも強い。待ち遠しいなあ

ハーラン・エリスンに「ドゥームズデイ・ブック」の宣伝文を頼んだらこんな返事が来たんだけどどうしたらいいの
「オレの意図とちがう意味に変更したら先祖もろともブチ殺してやる」といいつつ、ものすごく微妙なスペリング。(resistable は大昔の用法で、現代英語では普通 resistible を使うらしい)。これは悩むわ。引用がらみの裁判沙汰については数々の伝説をもつエリスンならではのネタでした。

[画像] 魔法使い出没注意
ガンダルフ印の道路標識。この道路はほかでもない、闇の森を通るその道なのです。

[ニコニコ] 【MMD】F.S.S.3D化計画 その3 ~踊る破裂の人形~
みんな大好きバングドール

氷と炎の歌 TVドラマシリーズ制作公式決定
めでたい
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# by umi_urimasu | 2010-02-25 21:17 | 本(SF・ミステリ) | Comments(2)
「ブラッド・メリディアン」 コーマック・マッカーシー
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a0030177_19532151.jpg「純粋殺戮小説」とでもいったらいいのかな。人の命が砂粒より軽い西部の荒野、あらゆる善悪や倫理が削り落とされた世界で、果てしなくくり返される何の意味もない虐殺。それを淡々と眺める物語。こと残虐描写に関しては、マッカーシー作品の中でもダントツでしょう。

中でもインディアン狩り部隊の参謀格、通称「判事」のインパクトが激烈でした。やさしげに連れてあるいていた子供を次の瞬間いきなり殺す。わざわざ金を払って買いとった哀れな子犬もいきなり殺す。苦楽を共にした仲間もあっけなく殺す。別に正気を失っているわけではなく、高い知性と膨大な教養をそなえ、朗らかで饒舌で、生命力とカリスマに満ちあふれている。それでいて平気で殺戮に及ぶ。やむにやまれぬ理由とかそんなものが一切ない。小説の登場人物でここまで怖い人間には久しぶりに遭ったかも。

この恐るべき判事の信念っぽいものを彼自身が述べているシーンは一応あって、それによれば、
人間は遊戯をするために生まれてきたのであり、その遊戯で賭けられる究極のものは命である。なぜなら死は取り消し不可能で絶対的なものだからだ。殺すか殺されるか二つに一つの選択肢でどちらが選ばれるかは運命によって決まる。その運命を占う究極の遊戯が戦争である。戦争は二つの意思を試し統合する。ゆえに戦争は神だ。
まあだいたいこんなようなことを言ってます。なんかいまひとつ要領をえませんが。運命論にするのはいいとして、いったいどこまで本気の発言なのか。
僕としては、判事個人の欲求ないし行動原理は結局、「人殺しが好きだー!戦争してえー!」ってだけだったのかもしれないなあ、という気もします。内面描写が皆無なので単なる想像にすぎないけど。この人、もしかしてヘルシングの少佐の同類なんじゃないの。
諸君 私は戦争が好きだ
いいお友達になれそうでよかったね、判事さん!

「ブラッド・メリディアン」はコーマック・マッカーシーの最高傑作ともいわれています。でも個人的にはやっぱり「越境」や「「すべての美しい馬」みたいな路線の方が好きです。この作品は僕にはちょっと残虐すぎてメンタルゲージがあっぷっぷい。

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[ニコニコ] タグで動画検索 第4回MMD杯本選
鬼才結集、3Dモデリングの梁山泊

浅倉久志氏=翻訳家 : おくやみ : 社会
この人がいてくれなかったら、僕も今こうしてSFを読んではいませんでした。祈冥福。

[画像] 大仏 ネタ的な画像
牛込大仏、仙台大観音。バブル時代の金と力の働きを受け、その二つの像は、往時茫々たる歳月の風雨に耐えて、はじめて彫られた時の威風堂々たる姿を今もとどめていました。

観光大仏、今や無用の長「仏」? 遠のく客、倒壊懸念も
管理者がいなくなって放置状態のものも少なくないとか。あと何十年か手つかずで残しておければすばらしい廃墟物件になりそうだけど、その前にみんな解体されてしまうかもしれない。惜しい。

「竹島御免状」荒山徹 | 角川書店
もうタイトルだけで吹く

文庫版の虐殺器官の解説を読んだらmixiの友人限定公開という生前の日記が紹介されててぐったりしてしまった。そらそういうのを読みたい人だっておるかもしらんけどね……。内容からしても、おそらくそれは故人のきわめて私的な心情を、ほんとうにやむにやまれず知り合いだけに吐露しようとしたものだったんじゃないかと想像します。もはや確かめようがないこととはいえ。なんつーかなあ。つい去年亡くなったばかりの人の作品解説に載せて、みんなで読もうよっていう、そういうもんなのかなあ。あとカレーうんぬんの話も。
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# by umi_urimasu | 2010-02-15 20:22 | 本(others) | Comments(0)
PCが壊れると積読が崩れる
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なんか「風が吹くと桶屋が」みたいですが、実体験してこれは真理だと思った。
先日自宅用のメインPCが壊れてしまい、すったもんだした挙げ句、新品がとどくまでのあいだは就寝前に本ばかり読んでいます。このおかげで読書ペースが劇的に上がりました。一週間もかからずに「ナルニア国ものがたり」1~3、小川一水「天冥の標」第1巻の上下巻を消化して、今はサンダースンの「ミストボーン」にとりかかり中。これもたぶん一日一冊ペース。どれも読みやすい小説ばかりだからってのもあるだろうけど、それでも普段の僕からすれば驚異的なスピードです。ありがたいことです。単純な読書時間の増加のせいだけじゃなく、ひとつの事に集中することでより効率が上がるといった効果もあるのかもしれません。

ともあれ、不測のトラブルがもとで、だらだらとネット巡回などに費やしている時間がいかに他の趣味を圧迫していたかに気づけたのはいわば不幸中の幸いでした。これだけ読書がはかどるんだったら、週に2日ほど「家では決してPCにさわらない日」を設けるぐらいのことをやってみてもいいかもしれん。それぐらいの覚悟でないと、これから先死ぬまで積読本は減らんだろう。てなことを半ば本気で考え始めていたところに、明日新PCがとどくとの連絡がきました。わーい。NO PC DAY の制定は当分おあずけ。

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そういえば、SFマガジンにマルドゥック・スクランブル劇場版アニメのイメージ画?が小さくのっておりました。
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ちょっと微妙な感じ。もう少し小説版の寺田絵のテイストに近い世界を期待してたんだけど。

【2ch】ニュー速クオリティ:世界一周してきたから写真うpする
これはいい。僕も一生のうちに一度は世界一周旅行しよう

多元: やる夫で学ぶ柳生一族 まとめ
しばらく遠ざかってたのでがんばって現行スレまで読んだ。宗矩の苦労話がすげー面白い

ミストボーン読了。何この少年ジャンプ……。アメリカとかでは日本の少年漫画やラノベみたいなものがあまりないようで、男の子はいったい何読んでるんだろう?と不思議に思ってたんですが、もしかしてこの手のヤングアダルトノベルがそれに近い役割をになってるんだろうか。

「ゲド戦記」訳者の清水真砂子さん 青山学院講堂で最終講義
「光を求めてやまない子どもたちが、ついに『どうせ』と希望を放棄してしまうことがある。そう言わせてしまうのは大人の責任で、最もモラルに反すること」 「闇の中で不安におびえながら生きている子どもたちに、生きてごらん、大丈夫だよ、と背中を押してくれるのが児童文学。そんな1冊に自分もなりたいし、皆さんにもなってほしい」
胸をうつ言葉です。だが、あまり多くを期待なさるな!暗い時代だから。

マッカーシー「ブラッド・メリディアン」読了。超すごかった……判事が。
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# by umi_urimasu | 2010-02-04 23:16 | まぞむ | Comments(0)
トールキン「ホビットの冒険」訳文チェック
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a0030177_2041041.jpga0030177_2041714.jpgものすごく指輪好き限定な話題であれなのですが。「ホビットの冒険」を久しぶりに読みました。なんと美しい日本語であろうかといつものように感心し、次いで自然な反応として、「原書と翻訳ではいったいどんなふうにちがうんだろう」という興味がふわふわと出てきました。そこでためしに、適当に何箇所かえらんで原文と訳文をつき合わせてみました。(べつに誤訳探しをしたいとかいうわけじゃなくて、単純に文章の意味上の差分が知りたかったので。)  ただ、じつは僕はホビットの原書をもってないので原文はフリーの引用文集 The Hobbit - Wikiquote からの引用です。そもそもこのサイトの文が正確かどうかわからないし、版数も不明なんだけど、とりあえず訳の底本と同じものと仮定。

"Farewell, good thief," he said. "I go now to the halls of waiting to sit beside my fathers, until the world is renewed. Since I leave now all gold and silver, and go where it is of little worth, I wish to part in friendship from you, and I would take back my words and deeds at the Gate."

「さらばじゃ!わがしたしき忍びの者よ。」とトーリンはいいました。「わしはこれから、父祖のかたわらにいこうはずの天の宮居におもむくのじゃ。この世がすっかりあらたまる時までな。わしはもう、ありとある金銀をすてて、そのようなものの役立たぬところへおもむくのじゃから、心をこめてあなたとわかれたいと思う。わしが表門のところであなたにあびせたあの言葉とふるまいを、きれいに水に流してほしいのじゃ。」
halls of waiting (待合室)を「天の宮居」とは、なんとも古風な趣のある訳し方ですね。自分で原文を読んでも到底こんな美しさは読みとれません。そういうところはやっぱり瀬田訳の存在がありがたいです。in friendship はあえて友情といわず「心をこめて」になってる。瀬田氏も泣きながら訳したといわれるだけあって、なんかこう思い入れだばぁな感じ。

"There is more in you of good than you know, child of the kindly West. Some courage and some wisdom, blended in measure. If more of us valued food and cheer and song above hoarded gold, it would be a merrier world. But sad or merry, I must leave it now. Farewell!"

「あなたの心のなかには、あなたが知らないでいる美しさがあるのじゃ、やさしい西のくにのけなげな子よ。しかるべき勇気としかるべき知恵、それがほどよくまじっておる。ああ、もしわしらがみな、ためこまれた黄金以上に、よい食べものとよろこびの声と楽しい歌をたっとんでおったら、なんとこの世はたのしかったじゃろう。だが、かなしいにせよ楽しいにせよ、もうわしは、ゆかなければならぬ。さらば、じゃ!」
・ 原文では「あなたが思っている以上の美しさ」という比較構文。
・ 「やさしい」はビルボにかかっているのかと思ってたけどじつは「西のくに」にかかってる。
・ 「けなげな子」は原文ではただの child。
・ some に「しかるべき」の意味はないだろうけど、in measure の意を汲んでこうしたのかも。
・ 単なる ferewell! をちょっと変えて、末期のひと息が表現されてる。こういう演出はやりすぎちゃうとまずいのかもしれない。どの程度までやっていいのか、素人が良し悪しをどうこう言えるものじゃなさそうですが。

"Surely you don't disbelieve the prophecies just because you helped them come about. You don't really suppose do you that all your adventures and escapes were managed by mere luck? Just for your sole benefit? You're a very fine person, Mr. Baggins, and I'm quite fond of you. But you are really just a little fellow, in a wide world after all."

「あんたも、予言を信じないわけにはいくまいよ。なにしろあんたも予言の実現には手をかしたひとじゃからな。ところであんたは、あの冒険がすべて、ただ運がよかったために、欲の皮をつっぱらせただけで、きりぬけたと思っとるのじゃなかろうね。あんたは、まことにすてきなひとなんじゃよ、バギンズどの。わしは、心からあんたが好きじゃ。だがそのあんたにしても、この広い世間からみれば、ほんの小さな平凡なひとりにすぎんのだからなあ!」
ここは奇妙。「ところであんたは」と話を切り替えてしまっちゃいけないんでしょうね、ほんとうは。ホビット中のガンダルフのセリフで、たぶんいちばん指輪物語全体のテーマに近づいている大切な部分です。原文の論理を維持しつつ、もし僕なりにここを訳すとしたら、こんなふうにするかなあ。
「ビルボよ、あんたはまさか、自分のおかげで予言が成就したから予言を信じざるをえないというのじゃなかろうな? あの冒険と脱出がすべて、あんたひとりだけに都合のよい、単なるまぐれで成しとげられたものだと思っているのじゃなかろうな? あんたはまことにすばらしい人物じゃ。だがそのあんたとて、この広い世界の中では結局ほんのちっぽけな存在にすぎぬのじゃぞ。」
こうしていくつかのサンプルを見てみたかぎりでは、瀬田訳は原文の本来の意味からかなりあちこち細かくいじってあるようにみえます。まあでも、改変が多いというのはむしろありがたいことのような気もする。トールキンのオリジナルと日本情緒満載の瀬田訳版、仮に中身が異なっていても両方すばらしい作品にはちがいないから。指輪とホビットがそれぞれ日英2バージョンずつ楽しめるなんて、僕としてはそれこそ願ったり叶ったりというものです。そんなわけで、わしら原書をちゃんと読破するという野望を新たにしたよ、いとしいしと!ゴクリ。

それにしても翻訳とは油断ならぬものよな。ふだん日本語で読んでいる海外小説の大半は、じつは原作とはほとんど別モノなんだということをもっと認識すべき。

以下余談つれづれ。
今回のホビット再読については、今まであまり突っ込まなかったビルボの冒険の背景事情などもちょっと味わってみたいと思って、追補編をぱらぱらしながら読みました。これはわかりやすい。ドワーフがオークを目のかたきにしたり、モリアやエレボールにあれほど固執する気持ちがだいぶ理解できました。ホビットの内容だけだと、財宝をひとりじめしようとしたトーリン・オーケンシールドは頑迷で強つくばりなやつという印象をもってしまいかねないんですが、ドゥリン一族の凋落ぷりと再興の望みのなさを思うと彼にも同情せざるをえない。彼の立場なら誰だってあのときはああいう態度をとるしかなかったかもしれない。哀れなる山の下の王よ。

あと、ホビットの冒険では詳しく書かれてないけど、ガンダルフの思惑としては、サウロンを牽制するためにあらかじめエレボールをどうしても奪還しておきたかったらしいですね。その後の指輪戦争に勝利できたのもエレボールが取り戻されていたからこそであって、つまり元をたどれば彼とトーリンがたまたまブリー村でめぐり会ったおかげなのだ、と言ってるくだりが追補編にあります。指輪物語全体を通してのテーマのひとつは、ホビットのラストシーンでもそれとなくいわれている「大きな運命の流れの中で誰もが最善をつくし、小さくても大切な役割を果たす」ということだと思うのですが、中つ国全体のスケールでみて誰がどういうポジションにいたのか、ホビットの描写だけではつかみにくい。そうした広い視点をおぎなうのにも追補編は役にたちます。じつに有意義な再読でござった。

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チャールズ・ストロスのオールタイムベストアニメ
さりげなく灰羽連盟を混ぜてくるあたり、出来ておる

Amazon.co.jp: The Windup Girl: パオロ・バチガルピ
気になってる本。SFマガジンに載っていた「第六ポンプ」が面白かったのでちょっと注目。この長編もかなり評判らしいです。そのうち早川とかで翻訳されるかな。

[ニコニコ] 【PS3】 PS Home アイマスライブ 4回目 まさかのアクシデント
最近見たアイマス動画でいちばん笑った。メタバース内だって正座で反省会ができること、それが重要
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# by umi_urimasu | 2010-01-27 20:29 | 本(others) | Comments(4)
「柳生天狗党」 五味康祐
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a0030177_20324625.jpga0030177_2032565.jpg時代伝奇小説をここ数年で少したしなむようになったのですが、中でも柳生一族を題材にしたものには特別の興味をもっています。山田風太郎、荒山徹、隆慶一郎と流れてきて、最近のお気に入りは五味康祐。「お上のためならどんな汚れ仕事もあえてやる。その代わりいつでも腹を切る覚悟はできている」という武士の割り切りすぎな生き方を、美化するでもなく、貶めるでもなく、そういう時代だったからとしてただ淡々と描く、その透明な非情さのようなものがいたく僕の心の琴線にヒットするようです。そのうえガチでエンタメ、殺陣描写も抜群に美しい。

「柳生武芸帳」と「兵法柳生新陰流」につづいて、五味作品を読むのはこの「柳生天狗党」で三作め。1969年に新聞連載され、没後の1981年に単行本化されたものだそうです。内容はひとことでいうと「柳生武芸帳の軽量版」。徳川御三家のお家騒動にまき込まれ、政治の駒として使い捨てられてゆく柳生十兵衛の隠し子たちの運命が、非情に徹した筆致で描かれています。最初のうちはわりと気楽な雰囲気だったのが、やがて洒落ですまない事態となり、最後には関係者全員をだまして殺すことすら辞さない、という暗黒展開になだれ込んでいく。このダークさ、やるせなさに、なんかよく似たやつをかつてどこかで読んだようなおぼえが……と思ったら、マルドゥック・ヴェロシティでした。ああした板ばさみ的な苦痛に惹かれる人には、五味柳生はかなりおすすめではないでしょうか。

枠組みは基本的に柳生武芸帳に似ているものの、「天狗党」はストーリーの枝もキャラクター数も武芸帳に比べると小規模で、一応きちんと決着はつくようになっています。未完でない点はたいへんありがたい。ただ惜しいのは、終盤でいきなり話がものすごい駆け足になっちゃうこと。連載ゆえの事情とかがあったのかもしれませんが、強引に幕を引こうと無理をした印象は否めません。場合によっては主役級のキャラクターですら情け容赦なく殺される、その信じがたいあっけなさに呆然としてしまうほどです。そこまでの非情さでもって、組織の歯車として死ぬ以外の生き方が許されなかった、それが当然だった武家社会のありようそのものを五味康祐は表現しようとしたのだ、と読むのはいい方に解釈しすぎか。ともあれ、いろんな意味で終盤がキツい作品でした。

吉原や大奥が舞台になると、そこでの習慣や日常生活についてやたら細かいディテールを書き出すのがいかにも五味康祐らしいと思うのですが、執筆時期に10年以上もひらきがある武芸帳と天狗党でも、彼はやはり同じ手法をやっています。そんなところも武芸帳リメイクっぽい。将軍が御台所とHする際のしきたりとか、わりとどうでもよさそうなトリビア的情報を何ページもかけて説明したりするところまで一緒です。いったいどういうこだわりなんだろう。しかしおかげでどうでもよい江戸知識がまた少し身につきました。

さてと。次に読む五味作品はどれにすべい。柳生ものなら「柳生連也斎」は外せないか。柳生以外なら「薄桜記」あたりがよいかなとも思っています。「薄桜記」は忠臣蔵もので、荒山徹も大絶賛の作品だそうだし。「荒山氏絶賛」っていまいち素直に信用していいものかどうか不安な気もしますが。ともかく楽しみだ。

(追記)
「薄桜記」をゲット。解説が荒山徹だった。五味康祐の代表作が柳生武芸帳とか冗談じゃねーよ!といきなりたいへんな剣幕です。そして薄桜記そっちのけで熱烈プッシュしてるのが「黒猫侍」。「超が百億個ついてもまだ足りないくらいの大大大傑作」「ライトノベルの読者にこそ読んでもらいたい」だって。超が百億ってあんたは小学生かと。でもまあ、好き好き五味先生な気持ちは十分伝わった。
Amazon.co.jp: 黒猫侍 (徳間文庫): 五味康祐
これがそうらしい。うーん。一応確保しとくべきか……。

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「バレエ・メカニック」 津原泰水。
a0030177_2011125.jpg眠いときに無理して読んだせいか、幻想的なイメージの奔流としてしか把握できなくて、正直何がなんだかよくわからなかったという曖昧模糊たる読後感。「都市が人間の脳の機能を代替する」というSFっぽい着想をベースにしながらも、ひたすら夢が現実を侵食するパプリカ的酩酊感に最後まで翻弄されてました。ARネタも出てくるけど、サイバーパンクってよりは感傷的な幻想のための魔法のメガネ扱いだったような。うーん。こういうものはあれだ。考えるな。感じるんだ。とリーさんが言っていた。そうしようそうしよう。

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山田芳裕、モノホンの古田織部についてNHKで語る
2月10日(水)22:00 NHK総合。へうげもの。見るしかないでござるよ。

[画像] 日本の甲冑は世界一美しい。
日本にかぎらず世界の甲冑画像スレ。すごい。インドやアフリカの鎧もあり
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# by umi_urimasu | 2010-01-18 21:10 | 本(others) | Comments(0)
「ユダヤ警官同盟」 マイケル・シェイボン
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a0030177_18501327.jpga0030177_18501996.jpgヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、堂々のトリプルクラウンなのにどこが面白いのかさっぱりわからない。一応自分ではSF好きなつもりでしたが、この良さがわからないのはちょっと悔やしい。もともとユダヤ人問題への関心も知識もろくにないのだからそこを突いた作品の勘どころがつかめないのは無理ないかな、という気もしますが、我ながら言い訳くさい。現代人の心得としても、そんなような社会問題への無関心は誉められた態度じゃないんでしょうけれども。
とりあえず、ユダヤ人の宗教と文化についてある程度の理解がないとけっこう手強いしろものだ、ということは認めるしかない。あとジャンルSF的な要素は期待しちゃダメだった。だてに新潮文庫から出てないわ。

イスラエルが存在しない代わりにアラスカにユダヤ人居住区があるというだけの地味な歴史改変もので、実際にはSF分はからっきしといってもいいくらい。それでいて三大SF賞を総なめ。いったいどこがそんなに評価されているのか、賞の選評とか読んでないので推測するしかないのですが、おそらくユダヤ人のみならず民族問題というものは、海外の方では誰でも肌でわかってしまうぐらい自明かつ普遍的かつ重大なテーマであって、その扱い方がうまいので受けている、ということかと思います。
訳者あとがきの指摘にもあるように、作品の結末では「ユダヤ人は領土国家を目指すのではなく、流浪の体験から得た民族と文化を横断する力をアイデンティティーの柱とすべきだ」みたいな考え方が提示されています。ふむふむ。実際にそうすべきかどうかは僕には判断しかねる問題だし、有史以来国土を脅かされた経験がほとんどない日本人一般にとっても民族的アイデンティティについてシリアスに考える機会などあんまりないし、そういう主張をぶつけられてもとっさには「はあ、どうぞ」ぐらいの超他人事な反応しかできないかもしれません。でも多民族国家のアメリカとかでは、やっぱりこういうことは問題意識としてすごく切実なものなのでしょう。たぶん。ちっともSF気のない小説がSF三冠賞をとってしまうぐらいには。

話の基本フォーマットはハードボイルド刑事もので、僕にとってはこれは思いのほか高いハードルだったようです。無謀な捜査、銃撃戦、拉致監禁されてもすぐ救出、というダイハードまがいの展開になじめず、そもそもこの話ってそんな適当な主人公補正まるだしの活劇に全然ふさわしくないんじゃないの?などと粗探しっぽい思考に流れてしまう。読者としてそっちの素養がまるでないことがよくない風に作用したか。こういうのはある程度、読み手側の慣れの問題なのかもしれない。ミステリとして不本意な不発を食らってしまったのも、慣れの問題だったかもしれない。チェスを知らないのでいい加減に読み流してしまったむくいか、ミステリのオチ部分の意味が結局わからないままなのです。なんでツークツワンクって判明しただけで犯人特定できるの?そんな伏線あったっけ。

でもまあ、こうしてぐちゃぐちゃ言いながらも上下巻を読了できたということは、自分で思ってるほどには苦手な本じゃなかったのかな。少なくとも、どんな発想力で思いつくのかと呆れるような奇抜な比喩がぽんぽん出てくるので文章だけは終始退屈しませんでした。翻訳だとすわりがわるく感じることもあるけど、ネイティブならもっと自然に文章メチャウマだと思えたかも。

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民俗学や神話に興味ある奴まったりと語り合おうず
> インドでは「リンガであるシヴァ神を冒涜している」という理由でバイブ禁止
ほんまかいな。恐るべしヒンズー教のポリティカルパワー

冲方丁の人気SF小説「マルドゥック・スクランブル」の劇場アニメ化が決定
よかったよかった。今度は制作途中でコケませんように。ベルウィング婆は超かっこよく描写してもらいたいな。

[画像] ダカール・ラリー 2010 - The Big Picture
道なき道ってレベルじゃない。まさに地球がレーシングコース。走る方も見物する方も命がけのよう。

ブランドン・サンダースン、「ミストボーン」三部作の映画化に合意
これで日本での全翻訳フラグが立ったっぽい。積んでるけど読んでみようかな。どうしようかな……
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# by umi_urimasu | 2010-01-07 21:16 | 本(SF・ミステリ) | Comments(4)
映画 「ストレンヂア 無皇刃譚」
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a0030177_14404976.jpg戦国時代を舞台に流れ者の用心棒と孤児の少年との交流を描いた本格時代劇アクション。手描きのすごいアニメということで評判がよさそうだったので、どれどれと見てみました。確かにすごかった。剣戟が。ストーリーやキャラクターは時代劇の定型文をおとなしく守っていて、こちらも「はいはい時代劇時代劇」という態度で見ていくのですが、バトルシーンになったとたん、動きに対する入れ込みぐあいが音を立てて変わります。「これがやりたかったんだろうなあ」というのがほんとによくわかる。めんどくさい抽象的観念的な議論とかいらんからチャンバラアニメのかっこよさを満喫させれ!という動物的な欲求を存分に満たしてくれる作品でした。
でもこういうのは、技術的な質の高さのわりには地味に見えてしまうので商業的にはあまり受けなさそう。

監督は安藤真裕。劇場版カウボーイビバップでタワーの格闘シーンとかを描いてた人だそうです。あー、あのすげー痛そうな……。ああいうものを見るとつくづく、アニメーターってすごいもんだなあと思います。ビバップのモップカンフーとか回し蹴りとか、今でも印象に残ってる。ああいう動きはいったいどうやって描くんだろう。実際に人間がそれらしく演技したものを撮影した映像からコマ送りで絵に写していく、とかならまだわかるけど、それじゃあ全然あんな「アニメの動き」にはならない気がするし。何か素人には想像もつかない謎の技術、そのとほうもない熟練によって、白紙の状態から描き出されているとしか思えない。不思議。

ストーリーについては、よくいえば王道で安心、悪くいえばありきたりです。とある理由で中国から来た暗殺者集団に追われる少年を、とある理由で不殺の誓いをたてたイケメン牢人が助け、だんだん二人のあいだに友情が芽ばえていき……というもの。乗馬の練習とか、連れションしたりとか、ほのぼのとした生活場面が丁寧に描写されているのがいいです。少年の愛犬の存在をクッションにしてへらず口を叩きあいつつ仲よくなっていくのも、オーソドックスながらうまい手口。斬新さはないけど、こういう丁寧さは好きですね。ここらへんの印象が強いおかげで、後々、刀をしばってある紐をついに切るシーンがうまく感情的なクライマックスのきっかけになりえていた気がします。あそこは絵的な勢いもいっしょになって、ぐっとくるところでした。

ただし、二人と一匹のほほえましい友情がメインテーマとはいえ、そこ以外はむしろ非情にすぎるほど戦国時代的リアリズムを優先させた話づくりがされていて、結果だけみるとかなり血なまぐさいことになってます。スカッと爽快に終わってみたものの、振り返れば死屍累々。現代の常識ではなく、あくまで乱世における大団円として見るのがふさわしい話だったかも。

アクション的に最大の見せ場は、やはり名無しVS羅狼の櫓上でのアクロバット対決でしょうか。身をひねりざまに剣を回転させて斬撃をはなつ、あのスピード感、重みをのせて剣を“振ってる”感がすごい。実写時代劇での黒澤明のような適度に泥くさい殺陣も、勝新座頭市や雷蔵の眠狂四郎のような様式美的な殺陣も、それぞれに好きですが、これはこれでまた別腹というか。アニメならではのスタイリッシュネスを愛でたい。

僕は近頃とんとアニメを見なくなってしまいましたが、映画なら長くても一発2時間ぐらいなので、気が向いたときにこうしてなんとか手が出せています。TVシリーズだとこうはいかない。トータル数十時間という尺の長さに一定のペースを維持してつきあうだけの根気が、もう枯れてしまったらしい。ターンエーのTV版、カレイドスター、それにスクライドとリヴァイアスあたりは、できればもう一度じっくり見直してみたい作品なんですが。いつかいつかと思いながら、結局今年も何もできなかったなあ。

おまけ。関連リンクをいくつか。
『ストレンヂア 無皇刃譚』 安藤真裕監督インタビュー
『ストレンヂア 無皇刃譚』のDVDが好評発売中!安藤真裕監督インタビュー
YouTube - ストレンヂア作画集

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曹操の墓キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!! - 枕流亭ブログ
まだ本物かどうか断定はできないかもしれない、らしいですが。真贋はともかく、頭蓋骨から曹操(仮)の顔の復元はやってみてほしい。

ここから2010年:
まうすまうす。かしこみかしこみいんすまうす。例年にもましてぐうたらな正月を満喫いたしておりました。今年もここは今まで同様ぼちぼちいく所存でございます。そして今年こそは氷と炎の歌の第5部が出てほしい。出ますよね。さすがに。あと廃園の天使の続編も。待ち遠しおすなあ。

[画像] 1910~1950年代にかけてのジプシーたちの写真
ここここ光速で保存した
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# by umi_urimasu | 2009-12-29 15:21 | 映画 | Comments(2)