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「年間日本SF傑作選 超弦領域」/他
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最近読んだ本など。

a0030177_20555742.jpg「年間日本SF傑作選 超弦領域」 大森望・日下三蔵編
科学、幻想、ホラー、忍法帖、短歌、漫画、伝記など、いろんなジャンルが節操なくつめこまれたゴタまぜ感の強いアンソロジー。知らない作家・作品との思いがけない出会いが期待できるという意味では、こういう本が定期的に出るのはとてもありがたいです。でも収録作からお気に入りをピックアップしてみると伊藤計劃、円上塔、津原泰水、小川一水と、普段の自分の好みの範囲内から結局一歩も出てなくてしょぼん。


a0030177_20561151.jpg「徳川家康 トクチョンカガン」(上・下) 荒山徹
荒山徹による「影武者徳川家康」の本歌取り。先達の偉業を手あたりしだいにファックしまくるこの愛深き蛮行がいつまで許されるかわかりませんが、いちファンとしては彼のやりたいようにやってほしいと思うばかりです。ただし、今回はすでに細部まで隙なく組み立てられた先行作品があるためか、読む側からしてみるとどうも窮屈な感じでした。隆慶解釈へのカウンターとして、どうしても妥当性とかを比べてしまう。すると純粋にホラ話として楽しみにくくなる。いっそのこと影武者はじつは十人ぐらいいたとか、二郎三郎その人が朝鮮妖術師だったとか、大坂城にゴモラが出現とか、比べようがないほどむちゃくちゃな話にしてくれた方が僕にとってはよかったかもしれない。まあそれだといつもの荒山徹と何も変わらんけど。


a0030177_20564222.jpg「からん」 木村紺
最近の注目漫画。第1巻の冒頭で人物を大量に登場させ、誰が何者なのかわざと把握しきれなくしてしまうことで、入学卒業シーズンの学校に特有のあわただしさ、誰もがとぎすまそうとする人の第一印象に対する鋭敏さ、みたいなものまであらわしていそうなのを見て、「こやつできる!」とにらみました。スポーツ漫画としての足場を固めていきつつも、そこにはたらく女子校的な政治力学をほの見える程度に見せるさじ加減も絶妙。絵もうまいし、京都弁のセリフまわしも新鮮です。大切に追いかけていきたい作品。

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オンライン書店ビーケーワン:竹島御免状
新刊は久しぶりに朝鮮妖術×裏柳生で荒山先生大暴れだそうでござる。期待大。

「ペルディード・ストリート・ステーション」 チャイナ・ミエヴィル
ダークスチームパンクファンタジーアドベンチャー?よくわからんがそそられる。そのうちトライしてみる

海外版『人喰いの大鷲トリコ』発売日予想?
今年の11月ごろではないかという説が。発売を急ぐよりも十分に時間をかけて完成度を高めてくれるほうが嬉しいけど、一日も早くやりたいという気持ちも強い。待ち遠しいなあ

ハーラン・エリスンに「ドゥームズデイ・ブック」の宣伝文を頼んだらこんな返事が来たんだけどどうしたらいいの
「オレの意図とちがう意味に変更したら先祖もろともブチ殺してやる」といいつつ、ものすごく微妙なスペリング。(resistable は大昔の用法で、現代英語では普通 resistible を使うらしい)。これは悩むわ。引用がらみの裁判沙汰については数々の伝説をもつエリスンならではのネタでした。

[画像] 魔法使い出没注意
ガンダルフ印の道路標識。この道路はほかでもない、闇の森を通るその道なのです。

[ニコニコ] 【MMD】F.S.S.3D化計画 その3 ~踊る破裂の人形~
みんな大好きバングドール

氷と炎の歌 TVドラマシリーズ制作公式決定
めでたい
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by umi_urimasu | 2010-02-25 21:17 | 本(SF・ミステリ)
「ブラッド・メリディアン」 コーマック・マッカーシー
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a0030177_19532151.jpg「純粋殺戮小説」とでもいったらいいのかな。人の命が砂粒より軽い西部の荒野、あらゆる善悪や倫理が削り落とされた世界で、果てしなくくり返される何の意味もない虐殺。それを淡々と眺める物語。こと残虐描写に関しては、マッカーシー作品の中でもダントツでしょう。

中でもインディアン狩り部隊の参謀格、通称「判事」のインパクトが激烈でした。やさしげに連れてあるいていた子供を次の瞬間いきなり殺す。わざわざ金を払って買いとった哀れな子犬もいきなり殺す。苦楽を共にした仲間もあっけなく殺す。別に正気を失っているわけではなく、高い知性と膨大な教養をそなえ、朗らかで饒舌で、生命力とカリスマに満ちあふれている。それでいて平気で殺戮に及ぶ。やむにやまれぬ理由とかそんなものが一切ない。小説の登場人物でここまで怖い人間には久しぶりに遭ったかも。

この恐るべき判事の信念っぽいものを彼自身が述べているシーンは一応あって、それによれば、
人間は遊戯をするために生まれてきたのであり、その遊戯で賭けられる究極のものは命である。なぜなら死は取り消し不可能で絶対的なものだからだ。殺すか殺されるか二つに一つの選択肢でどちらが選ばれるかは運命によって決まる。その運命を占う究極の遊戯が戦争である。戦争は二つの意思を試し統合する。ゆえに戦争は神だ。
まあだいたいこんなようなことを言ってます。なんかいまひとつ要領をえませんが。運命論にするのはいいとして、いったいどこまで本気の発言なのか。
僕としては、判事個人の欲求ないし行動原理は結局、「人殺しが好きだー!戦争してえー!」ってだけだったのかもしれないなあ、という気もします。内面描写が皆無なので単なる想像にすぎないけど。この人、もしかしてヘルシングの少佐の同類なんじゃないの。
諸君 私は戦争が好きだ
いいお友達になれそうでよかったね、判事さん!

「ブラッド・メリディアン」はコーマック・マッカーシーの最高傑作ともいわれています。でも個人的にはやっぱり「越境」や「「すべての美しい馬」みたいな路線の方が好きです。この作品は僕にはちょっと残虐すぎてメンタルゲージがあっぷっぷい。

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[ニコニコ] タグで動画検索 第4回MMD杯本選
鬼才結集、3Dモデリングの梁山泊

浅倉久志氏=翻訳家 : おくやみ : 社会
この人がいてくれなかったら、僕も今こうしてSFを読んではいませんでした。祈冥福。

[画像] 大仏 ネタ的な画像
牛込大仏、仙台大観音。バブル時代の金と力の働きを受け、その二つの像は、往時茫々たる歳月の風雨に耐えて、はじめて彫られた時の威風堂々たる姿を今もとどめていました。

観光大仏、今や無用の長「仏」? 遠のく客、倒壊懸念も
管理者がいなくなって放置状態のものも少なくないとか。あと何十年か手つかずで残しておければすばらしい廃墟物件になりそうだけど、その前にみんな解体されてしまうかもしれない。惜しい。

「竹島御免状」荒山徹 | 角川書店
もうタイトルだけで吹く

文庫版の虐殺器官の解説を読んだらmixiの友人限定公開という生前の日記が紹介されててぐったりしてしまった。そらそういうのを読みたい人だっておるかもしらんけどね……。内容からしても、おそらくそれは故人のきわめて私的な心情を、ほんとうにやむにやまれず知り合いだけに吐露しようとしたものだったんじゃないかと想像します。もはや確かめようがないこととはいえ。なんつーかなあ。つい去年亡くなったばかりの人の作品解説に載せて、みんなで読もうよっていう、そういうもんなのかなあ。あとカレーうんぬんの話も。
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by umi_urimasu | 2010-02-15 20:22 | 本(others)
PCが壊れると積読が崩れる
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なんか「風が吹くと桶屋が」みたいですが、実体験してこれは真理だと思った。
先日自宅用のメインPCが壊れてしまい、すったもんだした挙げ句、新品がとどくまでのあいだは就寝前に本ばかり読んでいます。このおかげで読書ペースが劇的に上がりました。一週間もかからずに「ナルニア国ものがたり」1~3、小川一水「天冥の標」第1巻の上下巻を消化して、今はサンダースンの「ミストボーン」にとりかかり中。これもたぶん一日一冊ペース。どれも読みやすい小説ばかりだからってのもあるだろうけど、それでも普段の僕からすれば驚異的なスピードです。ありがたいことです。単純な読書時間の増加のせいだけじゃなく、ひとつの事に集中することでより効率が上がるといった効果もあるのかもしれません。

ともあれ、不測のトラブルがもとで、だらだらとネット巡回などに費やしている時間がいかに他の趣味を圧迫していたかに気づけたのはいわば不幸中の幸いでした。これだけ読書がはかどるんだったら、週に2日ほど「家では決してPCにさわらない日」を設けるぐらいのことをやってみてもいいかもしれん。それぐらいの覚悟でないと、これから先死ぬまで積読本は減らんだろう。てなことを半ば本気で考え始めていたところに、明日新PCがとどくとの連絡がきました。わーい。NO PC DAY の制定は当分おあずけ。

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そういえば、SFマガジンにマルドゥック・スクランブル劇場版アニメのイメージ画?が小さくのっておりました。
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ちょっと微妙な感じ。もう少し小説版の寺田絵のテイストに近い世界を期待してたんだけど。

【2ch】ニュー速クオリティ:世界一周してきたから写真うpする
これはいい。僕も一生のうちに一度は世界一周旅行しよう

多元: やる夫で学ぶ柳生一族 まとめ
しばらく遠ざかってたのでがんばって現行スレまで読んだ。宗矩の苦労話がすげー面白い

ミストボーン読了。何この少年ジャンプ……。アメリカとかでは日本の少年漫画やラノベみたいなものがあまりないようで、男の子はいったい何読んでるんだろう?と不思議に思ってたんですが、もしかしてこの手のヤングアダルトノベルがそれに近い役割をになってるんだろうか。

「ゲド戦記」訳者の清水真砂子さん 青山学院講堂で最終講義
「光を求めてやまない子どもたちが、ついに『どうせ』と希望を放棄してしまうことがある。そう言わせてしまうのは大人の責任で、最もモラルに反すること」 「闇の中で不安におびえながら生きている子どもたちに、生きてごらん、大丈夫だよ、と背中を押してくれるのが児童文学。そんな1冊に自分もなりたいし、皆さんにもなってほしい」
胸をうつ言葉です。だが、あまり多くを期待なさるな!暗い時代だから。

マッカーシー「ブラッド・メリディアン」読了。超すごかった……判事が。
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by umi_urimasu | 2010-02-04 23:16 | まぞむ