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「TAP」グレッグ・イーガン
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a0030177_072846.jpg「へー、こんなホラーとかも書いてたんだ」という驚きは、しかしそれ以上の深い感動に育たず、「いつものイーガンおくれー」という欲求やみがたし。そういう意味では、一番最後の表題作がもっとも「いつものイーガン」的な作品でした。人間の定義を変えてしまうような技術と道徳の競合についての精密な考察。これよこれ。こういうのが読みたかった。

TAPのような完璧な言語が使えるようになったとき、感情や感覚に今まで同様ただ身をゆだねるだけでよしとするか、それともその仕組みのすべてを完全に解析・理解し、人間性などと呼ばれていたブラックボックスを今後一切なくしてしまうか。人間にとって、どちらがよりしあわせなんだろう。もしTAP言語が実際に使えたとして、さらに僕に子供がいたとして、「あなたのお子さん、どちらの言語で育てられますか」と聞かれたら、まず即答は無理だろうなあ。TAPインプラントがいつでもどこでも着脱自由だったら、あんまり悩まなくてもすみそうなんですけど。まあ、それはできないってあらかじめ作中で説明されてるんですけど。

ところで、イーガンという人はどうも、探偵とか空き巣とか潜入捜査とか、こっそり忍び込んで秘密を調べる的なストーリーに(必要以上に)したがる傾向があるみたいですね。今回の収録作品だと「TAP」と「銀炎」がそう。最近の作品だと「暗黒整数」もそう。昔の長編、「宇宙消失」や「万物理論」もそう。すぐには思い出せないけど、既刊の短編集にもいくつかあったかも。読者の方からすれば、正直イーガン作品にその手のサスペンスはあまり求めてないから体裁とかどうでもいいよ、っていう人が多いのではないかと思いますが。何かよほどのこだわりでもあるんでしょうかな。じつは大の探偵ドラマファンだったとか。ないよなあ。

以下おまけ。「TAP」で特に気に入ったくだりをちょっと抜き書きさせてもらいます。
「グレイスさんは、自分の頭の中に景色を書くこともできたんだ。どこの一千万ドルの夜景だっておそれ入るようなやつをね」
「なぜそうしなかったのかしら?」
「グレイスさんが“現実”をどう定義していたか、知っているかい?」
「いいえ」
「ほかのあらゆるものが存在しないと立証できても、それでも立証できずに残る一万ビット」
もうひとつだけ。
「もし、本をひらくたびに、書いた人のいっていることをなにもかも鵜呑みにしなくちゃならないとしたら、どう思う?文の途中で読むのをやめて、『これは……でたらめだ』って思えないとしたら。一語一語を自分の頭の中で論証する能力がなくなっちゃったら」
「そんなのはごめんだわ」
ミックはいった。「それがVRの未来なんだよ。もしTAPがなかったら」
これよこれ!いやあ、イーガンってほんとにいいもんですね。

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a0030177_2301632.jpg柴田ヨクサル「ハチワンダイバー」11巻。あいかわらずむやみにテンション高くて楽しい。エキサイトしすぎて互いに相手の頭をぶん殴り合いながら指すとか、盤を100枚一列に並べて100面指しとか、盛り上げ方がむちゃくちゃすぎて笑える。もっとも、プロ棋士になるとリアルでも、素人相手の50面指しや100面指しを余芸としてこなすぐらいの腕前は普通にもってるらしい。うへえ。現実が漫画のようだ。

[ニコニコ] エヴァンゲリオンがわかる動画【前編】
ソラユニPのセンスが炸裂。とてもわかりやすい

私たちの銀河には高々 10 以下の知的文明しか存在しない?
いうまでもなく地球文明はその10個のうちに含まれない下等文明です。とほほ。日本語訳記事にはミスがいくつかあってコメント欄で指摘されてる。
関連: ドレイクの方程式 - Wikipedia
はっきり決まらないパラメータばっかり。宇宙広すぎ萎えた…

萌え絵で読む虚航船団
しばらく見ないうちに新作が大量に追加されてた。このホチキスならツンケンされても許せる。
そういえばずーっと昔、葉のホワイトアルバムか何かのキャラで虚航船団ネタをやってる絵チャ漫画みたいなのをどっかで見かけたような気がするんですが、あるいはこの方の作だったのかもしれない。思いちがいだろうか。記憶が非常にあいまいだ。
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by umi_urimasu | 2009-07-31 01:15 | 本(SF・ミステリ)
【ミカるんX】 臍矢さんはセコかわいい
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暑さで脳がへたり気味なのか、本を読み終えても長文感想を書く気力が出てこない……。

a0030177_23485731.jpg宇月原清明「信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」。半分は伝奇、残り半分はオカルト検証本みたいな作品でした。「織田信長は両性具有だった」という仮説にしたがって古今東西の文献を関連づけていく、そのこじつけ力がものすごい。電波を電波として受け流すか、まるごと呑み込むか、どちらにしろ読む側にある種の錬度が要求されそう。ホイホイついていくのをためらわせる電波の強さは、コリン・ウィルソンの「賢者の石」とかにも似た感じ。

a0030177_23491170.jpg今読みかけているのはイーガンの「TAP」。これも少し消化不良気味。いかにも残り物くさい昔の作品ばかりを集めたもので、ありきたりな発着点に収まってる話が多いような気がします。強烈な宗教・疑似科学批判も、怒りたい気持ちはわかるけど肩がこる。わしゃもっと暴走列車で数学殺法なイーガンが読みたかったんじゃ(泣)。でも物理や数学ネタが全然出ばってこないこういう作品集は、いつものイーガンがダメな人には逆にいいのかもしんない。

a0030177_23502023.jpg漫画の方面で最近見つけたお気に入りは高遠るいの「ミカるんX」。ウテナ+ウルトラマン+バキ+エヴァンゲリオン+覚悟のススメあたりのパロディ集合体みたいな特撮活劇で、覚悟の零式野球ネタをやってたのが目について購入に至りました。臍矢さんがナイスキャラすぎる。金の亡者でありながら、じつは本人の意に反して本性はけっこうお人よしで友達思いなあたりがこう、なんですか、あれはいいものだ、うん。

a0030177_12442084.jpgかれこれ10数年ぶりに読み直しているル=グウィンの「夜の言葉」。やっぱすごいキレ者ですわ。それに、フィクションに対して非常に真摯で、言葉の力に対して非常に慎重な人。自分にとって「ファンタジーとは何か」ということを言葉でいうのはとても難しいんですが、いつかは彼女のように、借り物じゃなく自分で探してつかんだ言葉でいえるようになりたいものです。「闇の左手」の批評もすばらしい。目から鱗が吹っ飛びます。

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やる夫シリーズの傑作は? 無題のドキュメント
作品数が多すぎてどれを読んだらいいかわからない人はここらへんで探そう。
汎用物語パーツとしての共有しやすさ、パロディ性の強さなど、AAは表現手法としての方角からもっと語られてもいいんではにゃーかしら。

Amazon.com: The Lord of the Sands of Time: Issui Ogawa
小川一水の「時砂の王」は英訳が発売されたばかり。紹介文には「第六大陸」も2010年にHaikasoruから出るって書いてあります。めでてー。

Sランク大学の授業風景
最後の67がかっこよすぎる

[画像] 祖父の撮った写真@従軍中
史料的価値はないっていうけど、こういうものは一枚のこらず人類の遺産といってもいいもんじゃないかと。2chに貼れば誰かが拾っておいてくれる。そうやって情報は伝わり生き残っていく。

[画像] 三船敏郎 as 菊千代@七人の侍
永遠のスタア、値段のつけられない笑顔。サインもカッコイイ

[ニコニコ] 逆転裁判春香 第2話「逆転花嫁」1日目探偵B
クオリティ高すぎて思わず拝む。ありがたやありがたや

[ニコニコ] [MMD]物理演算でバー・鬼・演奏
物理演算でRPG発射のつづき。スネーク渋いです。けいおんこわいです

あなたの人生140字(ついったー蔵出し8) - 安寿土牢 - ファック文芸部
「受け手の脳内に光景を展開させて、それに対して『なんじゃこりゃ』と思わせることができたらそれは SF です。従って日本語 SF の最小単位は 1 ワードです」「例を挙げてよ」「理論的に存在を推測したので続きは実験物理学者、いや実作者の仕事です」
そのりくつはおかしい。しかし、1単語で光景まで描けるSFってなんかあるかな。「関節話法」とか「蟹光線」とか「平面人」とか?いまいちだ。「量子婚」とか「量子葬」とかは。意味がわからない。かなり難しいぞ。
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by umi_urimasu | 2009-07-25 01:50 | 本(SF・ミステリ)
「忍法さだめうつし」荒山徹
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a0030177_21291914.jpgおや、これは荒山徹にしては少々穏便な……と思っていたらガンダムとガメラが出てきたでござる。何を言ってるのかわからねーと思うが以下略。
最近、ようやく理解が実感に追いついてきた。この人は、「まさかそこまでバカげたことを本当に書くはずがない」と誰もが考えるバカげたことを「絶対に書く」人なのだ。

戦国時代や江戸時代に舞台をおくことの多い荒山作品ですが、本作はちょっと珍しく、鎌倉~室町時代を扱っています。当時の朝鮮半島は高麗末期~李氏朝鮮初期にあたり、特に王朝の変わり目では政情が安定せず、暗殺や粛清が横行していました。このころの日韓史における最大のイベントが、二度の元寇、およびその後盛んになった倭寇の跳梁です。ここに収録された四作品は、そうした国際的ないがみあいの歴史に日韓両サイドのさまざまな史料から光をあてつつ、その根底に流れていたであろう民族感情──ありていにいえば、民族的優越感ゲーム──を描き出そうと試みています。
しかし、こんな1000年オーダーでの近親憎悪という度しがたいものがいったいなぜ生まれてしまったんだろう。地理的にきわめて近く、海で分断されていて、しかもすぐ隣の超大国に対する立場が微妙にちがう、とかいった「立地条件」にも関係があるんだろうか。う~ん。めんどい。

ちなみに作中の小ズルすぎる朝鮮像は、いうまでもなく荒山徹ならではの高度にねじくれたツンデレ表現であって、荒山氏自身が無類の朝鮮文化好きであることは歴史文献の半端でない読み込みぶりからも明らかです。好きすぎて思わずいじめちゃうなんて、まるで素直になれない小学生ですね。ハハハ。愛いやつめ。

忍法活劇としてみるなら、本作はそれほど派手な内容ではありません。剣豪や忍者の活躍もじつはあまりありません。忍法妖術の中にはひどい(←誉め言葉)ものもありますが、普段の荒山徹の作風からすれば、比較的おとなしい方だと思います。それよりも特徴的なのは、時間を越えて歴史そのものに干渉するタイプの術の登場により、史実と虚構の混ぜ方が複雑になってきていることでしょう。新妖術「溢以死部隊」と「忍法さだめうつし」、これらはどちらも歴史伝奇的ツールとして非常に便利なもので、「処刑御使」ともども今後の作品に使いまわされていく可能性があります。あまりに便利すぎるので、使いすぎを心配してしまうくらいです。まあ、荒山徹のことだから心配無用だとは思いますが。どうせこちらの予想のはるか斜め上を行かれるに決まってるんで。

以前どこかで聞いた話だと、山田風太郎は忍法帖シリーズにおいて「一度やった忍法は再利用しない」というルールを自らに課していたとか。同じパターンにたよることで自作のコピーを作ってしまわないための予防策だと考えれば、もっともな逸話です。荒山徹の場合は、ひとつの術を複数の作品に使いまわすことで別々の物語どうしがつながる面白さがかなり大きいので、むしろ積極的に再利用してもらったほうがいいような気もしますが。

余談。
朝鮮妖術で過去へも未来へも行き放題、ということになると、せっかくだから柳生メンバーもタイムトラベルさせてみたいものです。柳生一族を歴史から抹消すべく時間遡行した処刑御使に対し、日本の剣豪たちも同じく妖術で時を越えまくり、剣聖上泉伊勢守、疋田ぶんごろう、ジンゴイズ伯爵、石舟斎、柳生三兄弟らが一堂に会して、足利義輝の御前試合で朝鮮花郎剣士団と全面対決。とかいうヨタ話を妄想した。アホらしい。でもお祭りみたいで楽しそうではある。誰か、荒山設定準拠で「やる夫の柳生ターミネーター」みたいなオリジナル歴史伝奇を書いてくれる物好きな方はおりますまいか。

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小川一水、十巻計画の新長編「天冥の標」(てんめいのしるべ)第一巻脱稿
「西暦2803年、惑星連合の臨時総督に統治された植民地で始まる話です。ただの宇宙開拓史ではなく、多数の勢力の絡み合う複雑な話になるでしょう。」とのこと。やっほい。それにしても偶然なのか、「○○の○」型のタイトルが多い人です。「復活の地」、「導きの星」、「天涯の砦」、「時砂の王」。

[画像] Lovecraft memorabilia
クトゥルー神話関連の珍画像多数。となりのクツルがちょっとよい。この名状しがたき生物は、まだ日本にいるのです?

[ニコニコ] アイドルマスター 社長の奇妙なアイドル紹介 【ネタ☆MAD3rd】
ジョジョ+アイマスでいい感じ。シブイねェ…この一時停止ギミックまったく渋いぜ

谷口悟朗監督作など名作アニメが低価格DVD-BOX化
スクライドとリヴァイアスが共に15750円。これは逃せない。ここは買い込む場面です!

[youtube] "INFINITY" CITIZEN x WOW
無数の浮遊するブロックから都市のビルができていくという幻想的&未来的なCGアート風ショートフィルム?。妙に気持ちいい映像。なんとはなしにブロックの流れを見つめてしまう

エヴァ破、見てきました。話が王道すぎ、人物もいい子すぎて、予想以上に物足りなく感じてしまいました。もっと不健全な方向に突き抜けたものを見たい気持ちが強かったみたいです。でもそれはそれ、これはこれ、映像はおいしくいただきました。動きの遅さのせいか、アングル?のおかげか、巨大なものの巨大感が尋常じゃない。丹田あたりがケイレンする。怖い!でもきもちいい!
ループネタ?はちょっと、普通にやるだけでは今さらっぽいかもなあ。あとメガネがいらん子すぎて不憫だった。次ではもう少しちゃんと補完してあげてほしい。ループとかラブリー眼帯とかはブラフでもいい。

古川日出男 WEB小説 「4444」連載中 - 河出書房新社公式サイト
掌編を毎週更新。「gift」みたいにとらえどころのない話がいろいろ出てきそうな予感

SF作家、ヒューゴー賞とった回数ランキング
小説部門で、カッコ内がトータル受賞回数。5位以上はこうなっておりました。

   1位(10) コニー・ウィリス
   2位(7)  ポール・アンダースン
          ハーラン・エリスン
   3位(6)  フリッツ・ライバー
          ロジャー・ゼラズニイ
   4位(5)  ヴァーナー・ヴィンジ
          U・K・ル=グウィン
          マイク・レズニック
          マイクル・スワンウィック
          ロイス・M・ビジョルド
          ラリー・ニーヴン
          ジョー・ホールドマン
   5位(4)  ロバート・A・ハインライン
          アイザック・アシモフ
          ジョージ・R・R・マーティン

ま、なるほどなあ、という感じですか。高齢の人ほど多いのはあたりまえで、活動年数や作品数で割れば受賞率がわかるかも
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by umi_urimasu | 2009-07-15 21:43 | 本(others)
ジョジョの奇妙な金言: ブタの逆はシャケだぜ!
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なんかさあ……
あたし 他のヤツからバカにされてるみたいなんだよね
どーも なんかさっぱり好かれてないっつーかさあ───
ぜんぜん認めてもらってない証拠って感じ!

 「割り込むなバカ!って言えーッ!」

そーゆーのはダメだと思う…… 無理矢理はいい事がない
自分からさー 変わらなきゃ…… そー思うわけ
他人から認められたいなら自分を変える だろ?
で 今までの「逆」をやってみよう!……って思ったわけ
コーヒーの逆ってさー 何かな?コーヒーの反対

 「紅茶?」

そ!紅茶!
この「エートロの体」はコーヒーが飲みてーって思ってるから わざと紅茶をたのんでみる
あえて
わかる?ね? パンをやめてライスを食べる 塩じゃなくてソースをかける
右じゃあなくて左でスプーン持って食う!
逆をやって自分を変えて行こうって思ってるわけ

 「ブタ肉の逆は何? ポークの逆」

ブタの逆? ブタの逆は……チキンとかビーフとか?

 「ブタの逆はシャケだぜ ブタはゴロゴロした生活だがシャケは流れに逆らって川をのぼるッ!」

気に入った────ッ!!
F・Fはなかなかの哲学者。僕は自分が慣れ親しんだ生活、嗜好、スタイルを変えることをとても億劫に感じてしまうタイプなので、こういう冒険精神をもち、それを実践できる人がうらやましいです。でもうらやましいと思うだけで真似はしない。それがホルホー……僕の人生哲学。人生は安逸な方がよかろうなのだァーッ!

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やる夫ブログ やる夫の戦国立志伝
やる夫とかがみのいちゃいちゃぶりに悶絶しつつ、重厚壮大な戦国大河絵巻を楽しむ。まるで砂糖たっぷり激甘ステーキのような味わい。しかし慣れるとこれがけっこううまい

漫画の帯をつけかえて一番面白い奴が作者
いきなり吹いた。これは小説バージョンもやりたいな

ファンタジーコミック大賞:荒木飛呂彦先生インタビュー
リアリティとファンタジーについて。言葉の定義はさておき、漫画で表現するものごとについての見方はいかにも荒木飛呂彦らしい感じ。「リアリティの中にありえない要素が出てくる」「日常を絶対に捨てない/日常のリアリティがあるからファンタジーがあるのに、日常を捨ててしまうと差が分からなくなる」等々。

一斗缶 伊藤計劃Web目録
ありがたい現物リンク集。今すぐ読まないにしても早めに保存推奨

[ニコニコ] ホワイトドールが大暴れ
ターンエー全編からバトル中心で作られたMAD。これは見入る。セリフ入りなのも嬉しい

EnJoe140 (EnJoe140) on Twitter
円城塔のついったー。三行小説のようなものを高速生産中。円城版「天狗の落し文」みたいな感じかなあ
津原泰水 (tsuharayasumi) on Twitter
津原泰水(ご本人?)のついったー。小説「百歳の少年」を連載開始。一文ずつタイムスタンプ付きで書かれていくというTwitterスタイルをわざわざ選んだ意図にほんのり期待。

最近、書評を読んで興味をひかれた本でも、表紙がラノベ調だとそれだけでスルーを決めてしまっている自分に気づいた。年くって億劫になったのかなあ。これはよろしくない。十代のころのあの貪欲さを取り戻したい。

ドイツ剣術入門
ゲルマン忍法があるくらいだからドイツ新陰流があってもいいのではないか。
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by umi_urimasu | 2009-07-08 00:34 | まぞむ
「倒立する塔の殺人」皆川博子
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a0030177_0182821.jpgそろそろ80歳になられる方だというのに、この文章にあふれるみずみずしさ、圧倒的なまでの少女らしさはいったい何なのでしょうか。「女性はいくつになっても少女である」などと世間では言いますが、これほど繊細で鋭い十代の感性を保ちながら、そこに老境の気品と熟成された幻想力が加わればもはや最強無敵ではないか。
こうして皆川博子無敵伝説がまた1ページ。

皆川作品については、いざ語ろうと思っても、好きだー!皆川さん、愛しているんだ!とゲイナー君のような恥ずかしい告白にしかならない自分の語彙の貧しさに絶望して、いくら感動しても感想文を書くまでに至らないことが多かったのですが、久しぶりにがんばって何か書いてみようと思います。この作品の場合、狂気と倒錯どっぷりな内容でありながらもジュヴナイル的な爽やかさが適量含まれていて、皆川作品ではなかなか珍しいタイプのような気がするので。

物語は太平洋戦争末期から終戦直後の頃、東京のミッションスクールで起きた殺人の謎をめぐる少女たちの友情や愛憎を描いています。少女たちが回し書きをしたノートの中に、さらに作中作として物語があり、虚実が錯綜して読み手を幻惑するという皆川博子お得意の入れ子スタイル。入り組んだ虚構を解きほぐし、ミステリとしての真相に到達しても、それによって幻想美がまったく失われないあたりが彼女らしいです。

出版元のミステリーYA!というレーベルは対象年齢が小学生くらいからだそうで、幻想小説好きの気はあるけれども、まだ皆川博子作品の味を知らないという子供たちに入り口としてすすめるのには、これはかなりよい本かもしれません。小学生向けとしてはあまりにインモラルすぎる部分もありますが。しかし、作中でも書かれている通り、子供が自分で選んで読む本に大人が勝手に決めた年齢制限などは本来なんの意味もないものです。(図書室でアンリ・バルビュスの「地獄」を借りようとした三輪小枝に向かって「まだ早くないかしら」という司書に対し、小枝の答えは「早すぎる本って、ないと思います」。)そうだそうだ。早すぎる本なんかないわい。

これは学園ミステリとしてももちろん楽しい作品なのですが、僕はどっちかというと、トリックなどよりも少女の戦争手記としての部分をおいしく味わいました。終戦当時に主人公の女学生たちとほぼ同年齢だった作者の実体験がどこまで反映されているのかはわかりませんが、日常のなんでもないディテール描写の中に、はっとするようなリアルな感触があります。食糧難のひどさ、工場のつらい労働、家族や友人の悲惨な死、ヒステリックな軍国主義者たち。それらのものが思春期の少女の眼にどんなふうに映ったかが、淡々とした語り口に込められた純粋さ、幼さ、辛らつさ、呑気さなどの奇妙なバランスにあらわれているようでした。

それと、作中に出てくる当時の唱歌、軍歌、流行歌。これらがなんというか、それぞれにめいっぱい少女的なものが込められていて、もうとにかくすばらしい。しかもこのたくさんの歌は、一つを除きすべて作者の記憶にもとづくものだとか。皆川さん記憶力すごすぎます。

表紙カバーイラストはジャスミンの花につつまれた、無垢とも残酷ともとれる表情をした少女たちの絵柄。イラストレーター(佳嶋氏。HP:echo)は皆川さんご自身による人選らしいです。そしてカバーを取ると、本体も作中に出てくるノートと同じ孔雀模様のデザインが。皆川さんのこだわりマジ最高!

以下、ラストの解題を少し。ネタバレになるので文字色反転します。
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第6章の章末少し手前の〈FIN〉の箇所までを、設楽久仁子がまず書いた。ベー様とサーちゃんが読んだのはここまで。その後、設楽久仁子は二人には見せない(了)までの部分を書き足して、雫石郁にわたした。自分が犯した罪だけでなく、胸中に秘めた虚無まで暴き出したその結末を読み、ほどなくして郁は服毒死をとげた。これはいってみれば、久仁子が間接的に郁の自殺をあと押ししたようなものです。久仁子は郁の死により、「創作が現実に人の生死を左右する」ことの重さに耐えられず、小説家になる夢をあきらめた、とも推測できます。

郁のかかえていた情念と絶望を、久仁子もまたかかえていた。だから彼女だけが真相にたどりつけた。そして彼女は、その真相を郁だけに読ませるつもりで書いたにちがいない。それは憧れていた上月葎子を殺した女への、純粋な復讐心からの行動だったのではないか。
こんなふうに久仁子の暗黒面を想像してみると、ラストをかるく読み流した場合の読後感ほどには爽やかな話ではありません。つーかドス黒い。真っ黒ですよジダラックちゃん。

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言葉だけでなく小説の構造で狂気をあらわす。その狂気の構造に読者をも引きずりこむ。この華麗な手口こそ皆川博子の真骨頂ではないかと僕は思う。そこが好きだー!愛して(ry

あと、そういえば、鏡で発狂するという着想はやっぱり乱歩の鏡地獄へのオマージュなのかな。どうでしょう。

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フランスのオンラインSF誌「ActuSF」による日本人作家メールインタビュー:
円城塔、 牧野修、 大原まり子、 貴志祐介

[ニコニコ] [MMD]物理演算でダルマおとし
衝撃のラストにでんぐり返った。デフォ子の運命やいかに

「やる夫シリーズ」とケータイ小説の表現的類似など
魔王14歳さんに質問の儀。ネット文芸の明日はどっちだ

やる夫ブログ やる夫のペルソナ3
やる夫ブログ やらない夫のペルソナ4
なんか妙に気に入ってしまって最初から読み崩し中。P3未プレイだけど、もうネタバレ覚悟で。

環望「ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド」 TVアニメ化決定
よかよか。しかし時期的にやりづらい表現が多い作品です。とりあえず服を着せないと話がはじまらん。

「虚航船団」の消しゴムによく似てる、ダイアナ妃使用の消しゴム
消しゴムの天皇、もとい、大公妃の消しゴム。一応「FOR BIG MISTAKES」と印刷されてる

[画像] 角川つばさ文庫版ドラゴンランス 廃都の黒竜 (上) カバーイラスト
ラノベ世代の子供層に向けて化粧直しされました。僕は昔から富士見文庫版のこってりした絵に馴染んでいるので、新しいのはやっぱり違和感きつい。

2009年星雲賞
国内長編部門は伊藤計劃のハーモニー

蛮族同人誌「バルバロイ」に寄稿された伊藤計劃の小説 「セカイ、蛮族、ぼく。」公開
これはラノベ風刺? ちょっと暗喩的なブラックユーモア小説。望まない記号的キャラ付けを強要されるキャラクターにとっては、ご都合主義的セカイも生きづらいことはなはだしい。

沙耶の唄がアメコミ化される
ニトロプラスのライブイベントで発表されたらしいんだが。オーノーだズラ これはないズラ

[画像] ドラゴン卿(?)をガン見してるレイストリン(赤)
油っぽいドラゴンランスのイラスト。詳細不明。小説のカバーアートか、D&Dのゲーム関係の絵とかだろうか。背景の竜はカイアン・ブラッドベイン?右上の端が切れてる人物は、ん~、アリアカス卿か?
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by umi_urimasu | 2009-07-01 01:02 | 本(SF・ミステリ)