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「八犬傳」(上・下) 山田風太郎
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a0030177_23125428.jpga0030177_23131024.jpg作家も人間なので、もてる時間は有限です。畢生の大作を書きあげてから死ぬ作家もいれば、不運にも道なかばで時間が尽きてしまう作家もいます。未完の原稿を抱えたまま、残り時間の少なさを自覚したとき、作家はみんな自問するかもしれません。というか、己に問わない作家はいないでしょう。「自分は何のために書くのか」と。

滝沢馬琴は膨大な日記を残していて、それによると彼の作家人生はお世辞にも幸福とは言いがたいものだったようです。意にそまぬ戯作の仕事に人生の大半を費やし、息子を早く亡くし、暖かい家庭も、金銭的余裕も、日々の楽しみをわかちあう知己もなく、失明した後は息子の妻の手を借りた口述筆記による執筆の日々。「南総里見八犬伝」はそうした不断の苦しみの果てに書きあげられたものでした。そうまでして、そこまでして、なぜ彼は書くのをやめなかったのか。
この苦しみの中に、しかし馬琴ははじめて、自分が「八犬傳」をかきつづけるのは、生活のためでも孫の未来のためでもなく、人に頭を下げずに生きるためでも現実から逃避するためでもなく、それどころか小説を完結させようという目的のためですらなく、ただおのれの内部からあふれてくる物語自体のためであることを知った。
最終章のこのくだりが、馬琴の生涯に風太郎が見た、究極の「書く理由」だったのではないかと思います。それはもう、ひとりでに湧いてきてしまうものだから、どうしようもないんだと。すべてを失ってもなお創作だけはやめなかった晩年の馬琴と、その言葉を書き取りつづけたお路、二人の力を合わせた八犬伝終盤の壮絶な執筆のありさまを、風太郎は「聖戦」と形容しています。同じ伝奇の道を歩むものとして、風太郎にも何か心中思うところがあったんだろうか。とか、ちょっと考えてしまいました。

以下ちょっと関連というか連想。
先日若くして亡くなった伊藤計劃のMGSノベライズ版に、こんな一節があります。
人間は消滅しない。ぼくらは、それを語る者のなかに流れ続ける川のようなものだ。人という存在はすべて、物理的肉体であると同時に語り継がれる物語でもある。スネークの、メリルの、ここに集う兵士ひとりひとりの物語を誰かが語り続けるかぎり、ここにいる誰ひとりとして消えてしまうことはない。
ここからは、「死んだあとに確かに残る何かを残しておきたい」という作者の強い思いが感じ取れるような気がします。それも彼の「書く理由」の一端だったのだろうかと。おそらく残された時間の少なさをずっと意識しつつ作品を書いていたであろう伊藤計劃のそれは、なんというか、重いですが。

まあそこまで切迫したケースじゃなくても、すべての本はつながっているで書いてたみたいに、言葉なり物語なりを介して他者とつながってる実感を得られると本能的(?)に安心する、というのはありますわな。誰かの書いたものがそれを読んだ人の中に残って、それがまた別の人に何らかの形で伝わって、というプロセスが延々とくり返されてきた結果として、今日の言葉の世界があるわけで、つまり言葉が存在すること自体が「君は一人じゃないよ」って証明してくれてるんだよ。みたいな。

ともあれ。馬琴の存在なくして山風の登場はありえなかっただろうし、もしかしたら荒山徹も出なかったかもしれない。そう考えると馬琴が八犬伝を書いてくれて本当によかった。ともかくサンキュー馬琴。

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[ニコニコ] smooooch・∀・ × ジャイアントロボ
九大天王がかわいくない梁山泊など敵ではないわ!十傑集もこれ、この通り
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荒山徹「柳生百合剣」を読み始めました。あいかわらずむちゃくちゃでよい。や~い、十兵衛のゆめもらし。
→ これ続編じゃん。しまったー。「柳生薔薇剣」を先に読むべきだったのか。不覚をとった。

山尾悠子を読む夜。 - Something Orange
絶筆ってふざけんなよバーロー。という趣旨のコメントを送ったのはわたくしです

[youtube] 映画『チョコレート・ファイター』予告編
見に行こうか迷うなあ。「マッハ」も「トムヤムクン」も基本的には大好きなんですが、痛快とか爽快とかいうレベルを通り越したあの超激痛アクションがちょっと怖い。見たい、でも痛いのイヤ。臆病者のジレンマ。

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伊藤計劃スレで非常に珍しいものがろだにあげられてます。2005年に伊藤氏が発表したメタルギアソリッド3の同人作品「フォックスの葬送」です。当事者が著作権を主張しない限りにおいて無償複製してもよいとのこと。

二次創作小説「フォックスの葬送 (A Funeral of FOX)」はMGS3の後日談にあたる物語で、東南アジアの密林を舞台にビッグボスとフランク・イェーガー(グレイフォックス)の戦いを描いたもの。「地獄の黙示録」のMGS版というのがぴったりな感じです。プロデビュー以前の作品ですが、すでに素人のレベルじゃない。

プロとして発表された作品群の尖りぐあいに比べれば、「フォックスの葬送」はだいぶ無難な内容です。でもこれが「虐殺器官」の原石なんじゃないか、これ磨きまくったらちゃんと虐殺器官になるぞ、と思わせるものがたくさん詰まっています。「すべての人が武装し独立した世界こそが理想郷だ」という、アウターへブンにつながる思想とかも、めぐりめぐって虐殺器官やハーモニーを生み出すためのこやしになっていそうだし。ほんとに芯からMGSっ子だったんだな……。
いっしょに収録されているイラストや漫画も、MGS好きがひしひしと伝わる丁寧なものです。まだ亡くなってから日が浅くて、読んでも笑ったりするより悔しさがぶり返してしまうばかりですが。
とりあえず、いろいろと感謝。
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by umi_urimasu | 2009-05-27 23:24 | 本(others) | Comments(4)
人間はなぜ役に立たない物語を語るのか
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P.E.S. で私訳版が掲載中のアイザック・アシモフ自伝から、これはいいなと思ったところを抜粋します。
間違いなく多くの人達は物語を作りたいという欲求を持っている。それは人類共通の願望なのだろう──思索する心、理解しきれぬ世界、誰かが物語りを語った時に感じる自分だってという感情。物語りとは、人がキャンプの火の回りに座った時に行うことではないのか?多くの社会的な集まりが思い出話のためのもので、誰もがほんとうは何が起こったのかについての物語を語りたいものではないだろうか?そしてそういった物語は避けがたい脚色と語りの改善を受けて、やがて現実とはほとんど似ても似つかぬものになってしまうものではないだろうか?

太古の昔、一人の男がキャンプの火の回りに腰を下ろした時のことを想像してみよう。とてつもない狩の偉業についての語りだすのだが、それは真実をあまりに誇張していてばかばかしいほどだ。だが、それは誰かから疑問を突きつけられる事はない。そこにいるものは皆、同じような嘘をつくのだから。とくによく出来た物語は何度も何度も語られ直して、そして誰かの先祖か、あるいはだれか伝説の狩人に帰されるのだ。

そして、そのなかには特別に語りのうまいもの達がいることだろう。そして皆が暇な時には、その才能の披露が求められる。物語がとても面白ければ、肉が礼として出されるかもしれない。これは、自然に、そのもの達により大きな、さらによく出来た、もっとエキサイティングな話を作り出させる事だろう。
 (§15「書き始める」より)
このくだりにウムウムと頷いておりました。そーだアシモフはいいこという!肉あげろ、肉。

そしてちょっと面白かったのが、荒木飛呂彦も物語についての発言でアシモフとよく似たシチュエーションを持ち出していたことです。
売春婦より古い、人類最古の職業

二人とも古代人を例にとっているように、「物語る」ことは古くから行われてきた、人間にとって非常に普遍的な行為です。これほど普遍的であるのは、人間の生存に必要不可欠なものだから、とも考えられます。
人間は複雑な社会を構成する生物であり、社会で生きのびていくためには大量の情報を収集・判断していかなければいけません。その際、経験の蓄積から生まれた「こういう状況でこうすればこうなるよ」という行動パターンのFAQというかテンプレート集というか、そういうものがあれば、かなり情報処理の助けになるでしょう。アリやハチは高度な社会を形成していて、匂いやジェスチャーで経験を伝達するそうです。人間の場合もそんな感じで。ただし、人間は昆虫よりはるかに複雑な情報の伝達・保存に適した言語をもっています。これを使って経験したことをうまく他人に伝えようとすると、それは必然的に物語の形式になるのではないかいな。「ちょっと聞いてくれよ、昨日こんなことがあったんだ!」みたいに。

といったことをつらつらと考えたのでござる。でも、僕自身は社会の中で要領よく立ち回るためにはまるで役に立たないタイプの物語も大好きです。むしろ役に立たなければ立たない話ほど好きです。これは上で言ってる物語の存在意義に合わなくなってしまう。
その手の役立たずな物語は、んー、生存のためには使う必要のない野放図な想像力をあえて使いたい人のための「嗜好品」のようなものかなあ、と思います。タバコやお酒みたいな。なくても健康に支障はないけど、それが好きな人にとっては人生の友であり、できるだけ味にこだわりたいもの。
なんか我ながら納得しました。タバコや酒と同じなら、やめられなくても仕方ないね。

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「人とロボットの秘密」(堀田純司著)を連載形式で全文掲載
ロボット工学の研究者インタビュー本。あとで読む

米国の日本SF小説翻訳レーベル Haikasoru、2009秋以降のラインナップ (追記あり)
神林長平の雪風が加わりました。2010には京極夏彦のルー=ガルーも来るらしい

「百鬼夜行 陰」 (講談社文庫版)を、(ノベルス版がもはや発掘不能なので)買い直したら解説が皆川博子でした。皆川さんが十代のころ、霊能者のまねごとをやらされていたという逸話が書かれてました。ちょっと和んだ。彼女のエッセイとかインタビューとかをまとめた本があったら読んでみたいけど、そういうものはこれまでほとんど(ひとつも?)出てないみたいです。検索しても同志社大学の講演会記録ぐらいしか見当たらない。それも売り切れてるし。ここの講演会レポートが詳しいので、ときどき読み直して皆川分の足しにします。

みんながもってるエロ画像でこれ再現できないかな??
久々に豪快に吹いた。いや凄いよこれは。ちょんまげまで……完成度たか!

[youtube] Project Trico HD - PlayStation LifeStyle
「ワンダと巨像」の製作チーム、最新作トレーラー流出!これ釣りじゃないの!?超期待!!

ワンダはちょっと前から再開して、ちまちまやってます。巨像に登る方法を探す試行錯誤の段階がいちばん悩むけど、それがまた楽しくもあり。戦い疲れたらのんびり光トカゲを狩ってみたり。このトカゲ狩り、魚釣りにも似た面白みがあって妙に気が休まります。こういう、ただぶらぶらしてても飽きない、急かされないアクションゲームっていうのはものすごく僕の性に合ってるっぽい。さらに廃墟を散策し放題という。まさに夢のようなゲーム。ワンダをクリアしたらICOもやろうかなあ。

筒井康隆 - 漂流 本から本へ 「孤島の鬼」(江戸川乱歩)
僕は怖い話がダメで、乱歩の怪奇系の作品を小学生の段階で読むなんてとても無理でしたが。今考えるともったいない。
ちなみに皆川博子は小学校にあがる前から「人間椅子」を読んでいたという。恐ろしい子!

[画像] 中国で人口第2位の巨大都市・上海のダイナミックな都市風景
サイバー中華な雰囲気むんむん。鬼哭街の舞台にふさわしい景観

世界史講義録
漫画や小説を読んでいてちょっと物語背景について知りたい時代が出てきて、高校教育レベルの世界史をさくっとチェックしたい。というときにすごく役立ちそうなサイト。ただ、僕は最近、こういうものを読むと何でもかんでも柳生一族を混ぜたくなってしまうので弱っています。これが柳生脳か。

[画像] 廃列車@ロシア
絵になる鉄塊だ
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by umi_urimasu | 2009-05-19 20:41 | まぞむ | Comments(2)
「処刑御使」荒山徹
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a0030177_189454.jpgこれはひどい。いや、もはや一周してかっこいい。
まともな神経をもった人間の所業とは到底思えない話なのに、呆れ果てて絶句するしかない荒唐無稽さなのに。なぜ、どうして、こんなにも美しく虚実のつじつまが合ってしまうのか。「もうこれ正史でいいんじゃね?」と一瞬でも思ってしまった僕は、たぶんすでに脳が冒されているのにちがいない。荒山菌という奇病の虫に。

黒船来航より三年後。若き長州藩士・伊藤俊輔は、海原に忽然と降ってわいた美女にいきなり命を狙われた。女は名乗った───「処刑御使」と。この一件を皮切りに、次々と身におぼえなき凶刃が伊藤を襲う。しかも怪異きわまることに、謎の刺客たちは絶命すると一瞬にして跡形もなく屍体が消えてしまうのだ。彼らはなぜ、一介の雑役夫にすぎぬ少年をかくも執拗に狙うのか?その理由とは、驚くべし、後の世において大韓帝国に災いなす怨敵・伊藤博文を、子供のうちに暗殺するためであった!時空を越えた暗殺者と守護者の間で、前代未聞の妖術戦が始まる。
うわあい。もう手のつけようがないよ!
先に朝鮮柳生の作品集を二つばかり読んで、柳生もので有名な作家ならそれ以外の話はちょっと地味なのかな、と思ってたけど甘かった。とんでもない誤解でした。柳生以上に自重してなかった。朝鮮妖術のはっちゃけぶりもますますひどくなっていた。中でも特に秀貌の妖術師・風伯のあやつる術がひどいです。その名を!その名を!その名を!

G(ジャイアント)・不動!! もとい、「大武仏」!パンチだ、不動!

まあそれはそれとして。
ハイテンションな伝奇活劇に加え、朝鮮史と日本史の「学校で教えてくれない」つながりを娯楽小説にあるまじき詳しさで披露してくれるのも荒山作品ならではの楽しみといえるでしょう。大韓帝国の排日派が伊藤博文を暗殺するほど憎んだわけを、単に国家の主権をうばわれたからという利害の問題だけに帰するのではなく、千年におよぶ歴史をひもといて理にかなった理由を再構築してみせる手際のあざやかなこと。
そういえば、劇中での印象的な科白にこんなのもありました。
「雪蓮のこの肉体を、大韓帝国とこそ思し召しください。どうか、大韓を慈しみくださいますよう……」
これは二国間にわだかまる怨恨の歴史を深く調べた作者ならではの、それなりに切実な感情が込められた言葉なのかもしれません。もし国と国とが損得勘定だけでむすばれるのでなく、もっとこう、ラブラブな関係になることができたなら、今ほど悲惨ではない歴史の可能性もあるいはありえたのではないかという。まあそれができないからこそ現実には戦争の歴史ばかりになってしまうんでしょうけど。それにしても地球人て仲悪すぎだよね。

伝奇の鬼才として山田風太郎に比べられることもある荒山徹ですが、いくつか作品を読んで、まったく別の面も見えてきたように思います。歴史への目線とかそういうところで、山風的な虚無感とはむしろ逆なもの、愛憎一如の念を煮つめたような熱さが、ほうぼうに出ているのではないかなと。ストーリー以外でも、ドラマの帰趨に影響しない朝鮮史のディテールをやたらこまかく書き込んだり、国のために命をなげうつ国士タイプの人物がよく出てくる(そして大抵非業の死をとげる)ことなどもそのへんに関係あるのかなあ、とか思っているんですが。インタビューとか読んでみたら何かわかるかな。

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万国『宇宙消失』博覧会 - 本とか音楽とかニュースとか
イーガンの「宇宙消失」世界各国のゆかいなカバーイラスト集。ロシア版はまさに腰くだけ。竹刀やめい。イギリス版の「かに道楽」も地味に深手。

仏のデベロッパCyanide,ファンタジー小説「氷と炎の歌」のゲーム化権を獲得
マーティンマーティン、頼むから本編の執筆だけに専念してくれろ。って言いたいけどあんまり急かすとまたキレるかもしれないので言わない。ところでそのゲームはゾンビにクラスチェンジとかできるのかね。

[ニコニコ] 【蝉丸Pの】ニコニコ仏教講座4・「仏壇あれこれ」【一問一答】
ニコ衆生の一部に大好評の電脳辻説法。蝉丸Pの生説法を聞いてみたいです

ブラム・ストーカーの「ドラキュラ」がブログに
とりあえず僕は日本語版を読まなきゃ。でもかなりのボリュームで、なかなか手を出す決心がつかない

P・K・ディックの「流れよ我が涙、と警官は言った」映画化へ
いったいこのおっさんと警官どっちが主人公なんだよ?と、前半と後半のギャップに困惑しながら読んだ記憶があるなあ。SF映画としては地味な絵の、見た目普通の日常不条理ドラマっぽい感じになるかも

「ホアズブレスの龍追い人」パトリシア・A・マキリップ
買ってしまったでござる。文庫本としては普通ぐらいの厚み。そのわりに値段は1100円とやや高め。しかしこれでマキリップ分をたんまり補充できると思えば悔いはない。大事に読みます。

「チンギス・ハン」はどこの人? 韓中蒙で大論争 オンラインゲームめぐり三つ巴の“国際問題”に発展
そのどれでもないノッカラ義経説を推す
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by umi_urimasu | 2009-05-14 20:05 | 本(others) | Comments(0)
萩尾望都「ポーの一族」、他ヴァンパイアもの
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a0030177_15314872.jpgようやく、ようやく「ポーの一族」を読み終えました。これまで幾度となく読破を試み、そのたびに挫折してきましたが、ついにやりとげた。これが人生で三つめの、きちんと読了できた少女漫画作品です。とりあえずよくがんばった自分。

僕は昔からなぜか少女漫画が超苦手で、自分でもなんでここまでひどいのかと不思議に思うくらいの少女漫画アレルギーです。そんなに嫌いなら無理して読むなよといわれそうですが、少なくとも萩尾望都作品についてはただ絵柄が受けつけないだけで、ストーリーや語り口などはむしろ大好きなくらいです。なので簡単にあきらめるわけにもいかず、これまでも難儀してきました。できれば読みたい、でも絵の敷居が高すぎて読むに読めない。いかんともしがたいジレンマ。いったいどれほどの男性読者が、僕と同じような分裂の苦しみを味わっているのでしょうか。食物アレルギーなのにそのアレルギーをひき起こす食べ物が好物だという人も、こんな心境なんでしょうか。つらい境遇です。ぐぬぬぬ。

ちなみに、これまでの三つの読了作品のうち他の二つは「11人いる!」と「バルバラ異界」。いずれも萩尾望都作品。一般的な少女漫画ジャンルの有名な作品として、「地球へ…」、「ぼくの地球を守って」、「ベルサイユのばら」あたりに挑戦しようとしたこともあるんですが、まったく歯がたたず挫折しました。ほんとに、なんでこんなに病的に苦手なんだろうな。なんかトラウマでもあるのかな。

そんな僕でも「ポーの一族」をどうにか読み切れたのは、ヴァンパイアテーマであるという点も効いていたと思います。もともと伝奇は好物なんですが、やはりその中でも吸血鬼という題材にはちょっと特別な魅力を感じます。人目を忍びつつも人に混じらなければ生きられず、永遠の命をもつゆえに人とのかかわりをもてないという宿命的な孤独、はかなさ、寂しさ。そこにしびれるそそられる。ホラーへの苦手意識についても、読む範囲を広げるうちに少しずつ抵抗力がついてきました。いい傾向だと思います。

ヴァンパイアは皆、哀れな「百代の過客」なのだろうか
以前に↑こんなエントリを書いてからも、いくつか吸血鬼ものの小説を読みました。

a0030177_1535252.jpg特に気に入っているのはGRRマーティンの「フィーヴァードリーム」。それまでは南部アメリカでヴァンパイアものと聞くと「フロム・ダスク・ティル・ドーン」のイメージが強かったせいか、なんかもうしっちゃかめっちゃかな印象しかなかったんですが、これはそれとはまったく異質な重量感満点の作品。こってり油っこく、どろりと頽廃的、活劇に冒険に犯罪、企業戦っぽいノリまであって、さらにそれらすべてを圧して蒸気船乗りの友情と執念が煮えたぎりほとばしる、異様にクソ熱い話になっとります。男の子なら燃えるぜこれは。

アメリカの料理というのは基本的に繊細な味を好む日本人にはあわないものだと思うんですが、フィーヴァードリーム号の上でアブナー老人がしょっちゅうがつがつ食べている食事のうまそうなことといったらないです。なんであんなうまそうなの。ありゃ異常だって。アメリカ人の食いもんがそんなにうまいわけないって。

a0030177_15375199.jpgダン・シモンズの作品集「愛死」の中の「バンコクに死す」というヴァンパイアストーリーも、なかなか衝撃的な作品でした。フェ○○オで人の血を吸うヴァンパイアの高級娼婦にエイズをうつして暗殺してやる!という暗い復讐の念にとりつかれた男の回想物語で、キモイ、エロい、グロイの三拍子そろった「怖さ」重視のホラー。こういうえぐい直球ホラー指向はやはりダン・シモンズらしいというべきでしょうか。
吸血鬼といえばだいたいヨーロッパが根城と相場が決まっているなかで、亜熱帯アジアを舞台にした湿度の高い吸血鬼ものというのも新鮮な切り口ではないかと思います。こういうのもっと読んでみたい。ここまでホラー度が高くなくてもいいけど。

あと、そろそろストーカーのドラキュラも読んどくべきかなあ。吸血鬼好き好きといいながらいまだに肝心の原点を避けてばかりいる不心得者にて。あああ。

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3,000ポンドでこんなの作るなよ、すごすぎる――ある名作の二次創作
例の指輪物語の自主制作映画、The Hunt For Gollum が本日ネット公開とのこと。アラゴルン(とガンダルフ)のゴクリ探索行については、原作でも「荒地の国を端から端まで探し回った」程度のあっさりした記述しかありません。どのように補完したか興味深いところ。

“ゲームの神様”遠藤雅伸氏がMMORPGに言いたい放題。「ドルアーガの塔」からケータイゲームまで
作って売る側のものの見方が面白い。「ゲームの本質とは何か」という質問に対する氏の答えは「インタラクティブな要素があって満足感が得られるものは全部ゲームだと思っている」。Google Earthもニコニコ動画もゲームだそうです。

事の重大さをあまり理解してない感じのする画像スレ
ワラノート 事の重大さをあまり理解してない感じのする画像スレ
笑。コラかと疑うようなのもあるけど

[画像] ドラゴンに授乳するデーナリス・ストームボーン
氷と炎の歌のあのシーンを描いたものらしい。あくまで小説に忠実に、頭もチリチリに

[ニコニコ] ほめ☆すた
[ニコニコ] 【第2回MMD杯本選】ホメ春香&やよいのスイーツ教室
狂気の沙汰ほど面白い。これも一種の不気味の谷?

[動画] ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 予告編&特報映像 (YouTube
新キャラ、新エヴァ、新使徒、そしてアスカ来日や三号機戦のあたりも佐藤順一コンテでリメイク……それはつまり、ほとんどまるごと佐藤順一のターンということではあるまいか。久しぶりにサトジュン祭りの予感。これであと、絵に「序」のラミエル改ぐらいのインパクトがあれば言うことなしですが。

日本人の習慣の由来 「ビーバップ!ハイヒール」より
正しいのかどうか自分では判断のしようもないけれど、聞けば一応「なるほどそうかも」と思える説の数々。しかしひとつの疑問の解決はまた次の疑問を生み、由来の連鎖にはきりがないのであった

[画像] 世界のユニークな建築物
旧ソ連のなんともいえないレトロフューチャー?感が好き

小川一水「復活の地」漫画化 / 「第六大陸」コミック発売
細かいストーリーに縛られる漫画媒体よりも、イラスト集とかイメージボードみたいなものの方が個人的には嬉しかったかなあ、という気がしてきました。大友克洋並の描き込みで、異世界都市がぶっ壊れる図を見てみたい。

あの頃のSFで漫画向きの作品っていうと、マルドゥックスクランブルとかすごく漫画にしやすそうな気がするけど。意外となってないもんですね。

CAPCOM 「逆転検事」 WEB体験版
巧舟氏が制作にタッチしていないらしいと聞いて、物語やキャラクターの質的な変化を心配してたんですが、これをやってみたかぎりではキャラ描写に違和感もないし、逆転裁判らしさも健在な感じ。もしかしたら4よりキャラゲーとしては楽しそうかも

[ニコニコ] No,No,works.【アイドルマスタ-/テクノでコント】
ちくわ三本分の輝きをもつ練り物アイドル見参。それにしても凄いセンスだ。この人、プロなのかな

やばい処刑御使超面白い。止まらん。
→ ジャイアント不動デター!人目のあるところでマジ吹きしてしまった……
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by umi_urimasu | 2009-05-03 15:58 | 本(others) | Comments(3)