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Fate/hollow ataraxia & マブラヴ オルタネイティブ
a0030177_0334862.jpg a0030177_034674.jpg 久しぶりにこの手の物を買いましたね。
Fateはともかく、オルタの方はけっこう楽しみ。前作は未プレイだけど、設定や世界観、ループネタまで含めて「ガンパレ的」という噂だけは聞いていて気にはなってたし。まあ真偽はこれから自分でやってみて確かめるとしましょう。

Fate/hollowは中身が容易に想像できてしまう分、期待感という意味ではさほどでもなし。これは奈須きのこが月姫とFate/stay nightで手の内をさらしすぎたせい……というよりは、読むだけで100時間もかかるようなシナリオばかり書いていたら、よほど引き出しの多い書き手でもすぐに資源が尽きるのが当然と考えるべきか。ユーザーだって100時間もかかる上に内容も似たりよったりな物語ばかり続けて読めば、たとえそれがどんな傑作でもうんざりするだろうしね。もし読み手の脳に「物語レセプター」みたいなものがあるとしたら、同じ作家が書いた100時間ノベルゲームなら2本もやれば大抵の人は飽和してしまうはずです。

僕自身はPCノベル系では葉っぱとニトロとType-Moonしか経験してないですが、それでもそろそろ飽和しかかっているような自覚症状がある。そのあたりの風通しをよくするためにニトロ-型月枠から外れたものを摂取したくなってきていて、だからこのタイミングでマブラヴに手が出たのかなぁ。などと自己分析。

どうかこのマブラヴオルタが、チャンバラ伝奇やアウトローガンファイトに倦んだ僕に新鮮な驚きを与えてくれる作品でありますように。できれば対価に見合うだけの娯楽性も欲しいです。7500円も払ったんだからー!

うーん。しかし冷静に考えたらけっこう冒険だなぁ。

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グレッグ・イーガン「しあわせの理由」と「万物理論」も買い込み。でも即積み。ディアスポラのインパクトが大きすぎて、今読むとイーガン分が過剰供給により飽和してしまうかもしれないんで。しばらく間をおこう。

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あら。スタニスワフ・レム氏死去の報が。すみません、すでに故人かと思ってました。この罰当たりめ。ソラリス再読してみよっかな。
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by umi_urimasu | 2006-03-30 01:08 | ゲーム | Comments(2)
トップをねらえ!
a0030177_20125962.jpg初代のやつ、全話観賞。
ふぇぇ……。珍品でしたよ。いい意味で。

押しつけがましいオマージュの数々、ギャグ的表現でシリアスなドラマをゴリ押しするクサい作劇、むせ返るような80年代オタク臭。序盤の1〜3話あたりまでの印象は間違いなく最悪でした。
しかしこういう歪んだ感性の産物に対しても、慣れればそこそこ寛容になれるものらしい。作品のクオリティそのものは本来、非常に高いわけですからね。
ただし、珍味に舌が慣れたからといって味の本質まで変わるわけではありません。癖が強いことに変わりはない。そんなわけで、捨て身のネタを披露する自虐的なパフォーマーを「そこまでするか」と呆れながら見守る客のような心境で見てました。嘲笑と賛嘆のちょっとした板挟み気分も味わいつつ。
ラストはさすがに切なかった。
銀河中心での決戦から1万2千年後の地球へ帰還したガンバスター……。

でも戻ってみて地球人全員ディアスポラしちゃったあとだったりしたらもっと切ないよな。


庵野秀明氏にとってはこれが商業作品における初監督仕事。あのピリピリした不安神経症的な演出スタイルがすでにはっきり顕在化しています。さすがにエヴァンゲリオンほどヒステリックな感じじゃなかったけど。ていうか昔からずっとああだったんだ。ある意味進歩なし。

コアなファンの評価としては、「前半は駄作だが最後まで見れば傑作」というのが大多数を占めているような気配でした。まあコアじゃない人はみんな第1話の時点であまりのキモさに投げ出してしまい、結果として奥歯になにやら挟まったような高評価ばかりが残ることになったのかもしれませんが。
ともあれ、後半にこそ見どころがあるというのは本当です。陳腐なパロディアニメにすぎなかったものが、同じ作品とは思えないほど硬質なSFに変貌を遂げてしまう驚き。SF的な目新しさはありませんが、これほどストレートなウラシマ効果ネタってのもちょっと新鮮ではあった。
今思えば新海誠の「ほしのこえ」は、かなり露骨にトップをねらってたわけですねえ。

ちなみに初代トップを「OVA史上の最高傑作」とする一方で「トップをねらえ2!」の中途半端さに憤懣やるかたなしという初代ファンもたくさんいるようです。これははて、どうだろう。初代も「2」も素材レベルでは似たもの同士にすぎなくて、クリティカルな違いといったら庵野演出の有無と声優の演技の差ぐらいかな、という気が個人的にはするのだが。

あと、「OVA史上最高傑作」という位置づけにもちょっと異論があるなあ。ジャイアントロボの方が絶対上だってば!

余談。
トップ2の最終話サブタイトルはなんと「あなたの人生の物語」。なんか重症だ。語感だけで引用するなら「老いたる霊長類の星への讃歌」とか「青を心に一、二と数えよ」とか「犬は勘定に入れません」とかでもよさそうなもんです。


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[アニメ] 冲方丁+Production I.G.「シュヴァリエ」
18世紀フランスを舞台にした"大河ゴシックミステリー"とのこと。大規模なメディアミックスに企画原作プロデュースと、冲方氏相変わらず鬼神のごとき仕事ぶりでございます。あなた、もう当分マルドゥック・ヴェロシティ出す気ありませんね?
でもこれはこれで楽しみだ。複雑。
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by umi_urimasu | 2006-03-25 20:35 | アニメ・マンガ | Comments(0)
「妖女サイベルの呼び声」P.A.マキリップ
a0030177_2115163.jpg戦いや冒険をはなれ、愛憎の板挟みに煩悶する女性心理の綾を描くことに徹した異世界小説、名付けてメロドラマティック・ハイファンタジー。
この作品で世界幻想文学大賞を受賞したパトリシア・A・マキリップは当時弱冠25歳だったとか。


たぶん単純に慣れのせいだと思うんですが、先に「影のオンブリア」から入った身としては、あの時ほど無我夢中な浸り方はできませんでした。同種の衝撃ならば先に受けた方を相対的に強く感じるものだとすると、これは仕方のないことだったのかもしれない。
もちろん、ファンタジー性の純度と濃度において本作は決して「オンブリア」にも劣っていないはずです。冒頭の数ページで数十に及ぶ架空の伝承伝説をずらりと並べるくだりからして、すでに長年の風雪に耐えた風格すら感じさせる筆致。なんというかこう、堂に入っている。

ただし、ドラマの内容と人物造形だけを取りあげると、少しお行儀がよすぎて物足りなさを感じる部分もないではなかった。これは「オンブリア」でもそうでした。人物をもう少しリアル臭く、あるいは下世話なところまで描き込んだ方がドラマ的には濃くなって面白いんじゃないの、とか、素人なりに思うわけです。ドラゴンランスやエルリックサーガによるインプリンティングの影響がいまだに抜けてないだけの幼稚な感想かもしれませんが。
でもそれはもう、しょうがないよなあ。完全に単なる好みの問題だから。
まあ僕ごとき痴愚蒙昧な読み手の言うことなど気にしないのが一番ということで。


あと、あえてひとつ難を言うとすれば構成について。
本作のストーリーは基本的に、主人公サイベルの主観に沿った一本道のプロットだけで出来ています。対して「オンブリア」では、主役としてリディアとマグとデュコン・グリーヴという三つの視点を導入し、随時使いわけたり組み合わせたりしています。この二つを比べると、僕はやはり後者の方が重層的な構成の分、物語としての質と密度がより高く、読み応えも大きいと感じます。
ゆえに、未読の人に「サイベル」と「オンブリア」のどちらか一方だけを推薦するとしたら、まず後者を。
それでいけそうなら「サイベル」にも手を広げて頂くのがよろしいかと。
僕もしばらく間をおいて、それから次の「イルスの竪琴」にでも行ってみましょう。
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by umi_urimasu | 2006-03-19 21:20 | 本(others) | Comments(2)
「海を失った男」シオドア・スタージョン
a0030177_2041528.jpg吉良吉影はもうちょい静かに暮らしたい。だが世間はそれを許さない。

さまざまな驚きが詰まった作品集です。衝撃度でベスト2本を選ぶなら「海を失った男」と「ビアンカの手」かな。特に「海を失った男」にはとどめを刺されたといっても過言じゃない。
かなり器用な作家らしく文体・題材も多彩なので、人によって好みのポイントも異なるかとは思いますが、この選集の中ではやはり上記二本の奇抜さは群を抜いている。スタージョン恐るべし。この分だと「一角獣・多角獣」も必読でしょう。

「海を失った男」

死の間際にある男の内面世界、その究極のテンパリ具合を脳内時空に凄まじい勢いで展開してみせた一篇。「輝く断片」や「マエストロを殺せ」で炸裂していた言葉と感情の十字放火、まさにあの再来でした。首まで砂に埋もれながら、かつて泳いだ海を幻視する男。そして逃れ得ぬ恐怖と絶望が覆いかぶさり、刹那、勝利の叫びによってすべてが断ち切られ……。うーん。凄い。
他の収録作品では会話文や語り口の妙でスタージョンの技術力を十分に堪能できるけれど、ここではその技術をもってすら対応しきれない相手にあえてスタージョンが挑戦しているように思える。
レビューや感想を検索してみると、評価してる人も多い一方で苦手だという人も相当数。ま、そうだろうな。

「ビアンカの手」

「海を失った男」がわかりにくい傑作だとしたら、こちらはわかりやすい傑作。人間ではなくその「手」だけを愛した男の倒錯した世界を描く、奇怪なエロティシズムに満ちた一品です。「手」の表現の何たるおぞましさ! 少しばかり巧すぎてオチが見え見えなのはどうかと思うけど。

「墓読み」

亡き妻の真実の姿を墓から読み取る力を得た男の決断。
ある人物の本当の性格や人柄をあらわすものは、何も言葉や表情や仕草だけとは限らない。そういう密かなメッセージを解読しようとする努力は、結果として自分自身の懐を深くしてくれるんじゃないだろうか? てなことを考えたくなる、ちょっといい話。残念ながら、現実では「寝ボケてんじゃねーよ」ということにしかならんと思いますが。

その他、超人テーマの「成熟」や超能力ものの「シジジイじゃない」「そして私のおそれはつのる」など、一般的にみて取っ付きやすそうな作品も多く収録。しょせん翻訳なので本当のところはわからないものの、特にロウワークラスの口語文や会話文体においては鋭いものがあるようです。
ホラー掌編「ミュージック」は「ビアンカの手」のおまけみたいな感じか。

ただ、すべてがいいとこずくめというわけでもない。人物描写は優れているのに設定がクソ陳腐な「三の法則」のように、ネタと話のクオリティ差が顕著な例もいくつかありました。惜しいなあ。


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「阿修羅ガール」舞城王太郎

a0030177_2016046.jpg殺伐たる日常とNDEと世界残酷童話の悪夢的コラボレーション。と見せかけてじつは王道成長物語、みたいな。
感想は……どうもこれといって……書きにくいですね。しかしまあ、とりあえず面白かった。奇異な文体なのに描いていることはけっこうふつーなあたりは、なんとなく町田康に通ずるものがあるような気もします。
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by umi_urimasu | 2006-03-14 20:17 | 本(SF・ミステリ) | Comments(0)
「花闇」皆川博子
a0030177_0213449.jpgこの人の本はほんとに面白い。

両手両足を切断しながらも狂言歌舞伎を踊りつづけた執念の役者、三代目澤村田之助の凄絶な生涯を、彼の付き人である市川三すじの目を通して描いた一代記。舞台上と楽屋裏、役者の顔の裏表、芝居町の栄枯盛衰など、江戸のスターダムにまつわる明暗の対比が印象的な作品です。
とりわけ美しいのが、言葉にしがたい物悲しさをたたえて冒頭と結末を飾る雪の情景。死を顧みず川面を遡る白蝶の大群のイメージは、美のために己が心身を削り、ついには崩れ散った男の人生の象徴として描かれたものかもしれません。

しかしこの田助さん、まさに皆川博子に小説化されるために居たような人だ。なんとも壮絶な滅びっぷり。


「死の泉」「笑い姫」と同じく、「花闇」もまた現実と虚構の交錯にとことんこだわった小説です。
江戸時代末期の文化風俗、生活習慣や言葉づかい。実生活レベルの描写のひとつひとつはいかにも本当らしく思えるし、実際正確な資料にもとづいたものでしょう。しかしその正確さは、嘘八百の作り話を史実と錯覚させるべく捏造された「目くらまし」の部分と、ほとんど区別がつきません。個々の断片は確かなもののはずなのに、皆川博子の詐術じみた構成力と圧倒的文章力にかかると、真偽の境界は忽然として曖昧なものになってしまう。読み終えた後にネットで調べて「ここまでネタだったのか」と驚くことが、皆川作品においては珍しくないのです。
最近では僕はむしろ、それらの真偽は永遠に正されないままの方が読み手にとっては幸せなんじゃないかと思ったりするぐらい。不確かな虚実の狭間で翻弄されながら味わう物語の快楽に比べて、歴史の教科書が語る史実とやらの何と味気ないことかと。
いっそこの世にネットがなければ良かったのに。そうすればみんな、嘘を嘘と見抜けないままで済む。

にしても、男が女を演じるという倒錯、虚実相半ばする物語を包む背徳の香り、それらがちっとも暗くいじけていないのはなぜだろう。描かれているのが「死んでも芸に打ち込む」という、究極的にポジティブな人間の姿だからだろうか。
むせ返るような腐臭を放つ「死の泉」もいいけれど、和風の哀愁をすっきりまとめるこういう作風にかけても皆川博子、ずば抜けた手際だと思います。


あと、読んでいて特にびっくりしたのは、当時の歌舞伎役者のライフスタイルに関する社会常識のありかた。あまりに普通に男色の描写が出てきて、かなり戸惑いました。いわく、女形を務める子は幼い頃からバイセクシュアルとしての自意識を叩き込まれ、十歳になるやならずでいわゆる「客を取る」行為までするとか……そしてそんな子供でもスポイルされずトップスターとして大成できるシステムが、閉鎖社会の内とはいえちゃんと機能していたこととか。さらに、女形役者の衆道趣味はありきたりなゴシップとして特に倫理的な抵抗もなく世間に受け入れられ、むしろ役者として当然の嗜みとみなされていたらしいこととか。
まさにデカルチャー。

歴史はフィクションだ、と慨嘆せざるを得なかったですね。事実か作為かの違いは問題じゃない。自分の常識や社会通念が通用しないその世界は、等しく「異界」なんだなあと。
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by umi_urimasu | 2006-03-09 00:34 | 本(others) | Comments(0)
「ゲド戦記」予告編など
http://www.catsuka.com/news_detail.php?id=1140663861
見てみた。そこはかとなくやっちった感の漂う微妙なトレーラーでした。しかし、あらゆる点で自分の脳内イメージとは果てしなくかけ離れていて、悪い意味で原作と混同してしまう心配はどうやらなさそうです。その意味ではひと安心。いえーぼー。

ちなみに内容はやはり3巻メインの模様。とはいえテナーもテハヌーも普通に登場してたので、結局4巻とちゃんぽんになってるくさい。絵的にはどことなくシュナの旅などを連想させるところも。

あと、話題性偏重のキャスティングや頓珍漢なキャッチコピーは仕方ないとしても、あのタイトルロゴのデザインぐらいはどうにかならんかなぁ。ちょっときついよな、あれは。


そいえばナルニアの映画も公開されたとのことで。予告編はなんだかいかにも指輪+ハリポタみたいな印象だ。ま、あながち間違ってないのかな……。
ルイスの原作は6巻まで揃えておきながら、もうかれこれ3年ほど積みっぱなしで未だに手が出せていません。瀬田貞二の名につられて買ったものの、「朝びらき丸東の海へ」あたりから入ろうとしてすぐ挫折し、それっきりです。いつかすらすら読める日が来るといいのだが。


「阿修羅ガール」舞城王太郎
欲望にも恋心にも打算にも自己嫌悪にも、すがすがしいほどバカ正直。頭の中がパルプンテな女子高生アイコの、バイオレンスと日常と少女妄想が奇妙に混淆した脳内世界の暴走的モノローグ。
という様相を(序盤では)呈してはいたものの、それがこの先も同じノリが続くことをなんら保証するものでないということにもうすうす気づき始めています。1/3ぐらいまで読んできたけど、正直いってまったく先が読めない。成長か破滅か、現実に留まるのか狂気に落ちるのか、ハッピーエンドかバッドエンドか。すべてが予測不能。物語どころか作品そのものが初期設定のフォーマットをいつ放棄してもおかしくなさそうな危うさがずっと保持されつづけていて、それが警戒心と同時に期待を煽りつづけてくれてもいる。
ほんと、これっていったいこのあとどうなってしまうんでしょう。想像を絶するような謎展開に突っ走ってくれたりすると個人的には嬉しいぞ。
つづく。
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by umi_urimasu | 2006-03-03 09:45 | 映画 | Comments(2)