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アニメ「苺ましまろ」
a0030177_22141184.jpg意外にもかなりの良作。
子供心理のもっとも柔らかい部分を抽出・凝縮した、純日本的感性のまったりキッズコメディです。というか、ほとんどリアルお子様コント。イメージ的には「ちびまる子ちゃん」を10倍ほど可愛く補正した感じでしょうか。子供らしさを強調しながら、変にいい子ぶったりしてないのが心地よいです。


舞台は静岡県某市、登場人物は小学生のなかよし女の子4人組と短大生の姉ひとり。内容の九割九分は日常ネタトークと無邪気な(そしてときに度を越した)いたずらに終始。でも彼らを叱りつける大人は画面に登場しません。固い友情とか感動的な成長とかいったモラリスティックなお話臭さもまったくありません。子供部屋の中だけでゆるやかに巡り、そして何事もなく閉じられる平和な小宇宙。
これがとにかく、めっぽう和む。

企画の規模としてはあまり大きなようには見えないです。でもそのわりに作劇作画の質がやたら高くて、しかもずーっと安定しているのが特徴。これは驚異的と言っていい。今どき日常芝居オンリーでこれだけの高品質をキープしているアニメもちょっと珍しいと思います。地味に見えて制作体制は相当しっかりしているものと推測。
作画など純粋に映像技術的な面では「かみちゅ!」の「ベストな時」には及ばないかもしれませんが、全体の安定感では「苺ましまろ」に分があります。去年から今年にかけて放送されたTVアニメのめぼしいタイトルをざっと見渡してみても、こと安定性にかけてはトップクラスなんじゃないかという気がする。まあ自分でいろいろ見て確認したわけじゃないから、なんとなくそう思う程度の印象でしかないんですけど。

DVD1〜4巻まで見たかぎりでは、1〜8話、すべて甲乙つけがたい出来。中でも第5話「そいね」は秀逸で、おふざけと本気の境界線上でゆれ動く子供心をすばらしく鮮やかに描き出していておすすめです。この微妙な気持ちのバランスは誰でも、たぶん十人中十人、必ず子供時代に経験があるはず。子供ってのはほんとに、大人のえこひいきにはむちゃくちゃ敏感なとこがありますからね。
ちなみにこの回、やたら脚本演出が鋭いと思ってスタッフを見たら、脚本:平見瞠、演出:太田雅彦、絵コンテ:佐藤竜雄となっていた。……おいおい。日常芝居めちゃ上手いんじゃないですか。こう言っちゃあ何だけど、舞HIMEとかステルヴィアとか作ってたのと同じ人たちとは思えん。
プロってすごいな。

プロのすごさといえば、美羽のCV・折笠富美子の演技にも注目を。多彩な声質を使い分け、特に子供役の巧さには定評のある声優さんですね。個人的には「フィギュア17」のヒカル役が印象的だった記憶があります。

惜しむらくは、これが13話かぎりの短期シリーズということ。原作の方もまだ生き残ってるみたいだし、第二期を望む声もけっこうあるみたいなんだけど。個人的にも続編期待。

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さよなら西暦2005年。特にこれといって何もしないけど本だけは読む。この時期、こたつの友にはやっぱりディアスポラでしょう。うん。これしかあるまいて。んじゃそゆことで。
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by umi_urimasu | 2005-12-31 22:30 | アニメ・マンガ | Comments(0)
劇場版Zガンダム 星を継ぐ者
a0030177_0584355.jpgうわあ、なんだこれ。
話には聞いてたけど、新旧の絵の断崖絶壁的なギャップは目の当たりにするとやはり珍妙なものでした。あまり絵がいいの悪いのと気にしながら作品を観たくはないんですが、これは少々度がすぎるかも。キャラクターの顔がまったくの別人です。シャアがドアをくぐるところで画面が切り替わって「待ちたまえ、カミーユ君」プシュッ「身代わりの術!?」みたいな感じになってました。
ファーストガンダムやターンエーだと、テレビシリーズの絵と映画用に描き直された絵が混じっていても全然気にならなかったんですが……できれば、今回みたいなちぐはぐな切り貼りをあまり頻繁にやってもらいたくはないです。せっかく奇麗に描かれた絵がもったいないよ。

ストーリーについては元々がいい出来だと思うし、「Zは特別」みたいな思い入れもないので、これといって不平不満はありませんでした。ただ、かなり圧縮されているせいでテンポが性急すぎて、予備知識のない人にはわかりづらそう。

内容で気になったのは、新訳版主人公のカミーユが妙に影が薄いように思えたところ。
TVシリーズのカミーユはもっと鬱気質で愚痴を垂れてばかりいる印象がありますが、あれはあれで物語にとって重要なキャラクター性だったと思っています。それを今さら否定する理由がよくわからない。別に主人公が鬱キャラだからといって、現代の若者をネガティブな袋小路へ追い込む物語になるとは限らないと思うんですけど。
だいたいあの程度のネガティブ指向がなんですか。古今無数のドラマや小説の中にあんな鬱主人公は山ほどいますよ。掃いて捨てたら夢の島ができるぐらいね。
でも富野監督としては、傷ついて壊れていくカミーユのような破滅型主人公を今の若い人々に提示するのはよくないと思っているようです。その考えをダメとはもちろん言いませんが。
正直、一視聴者としては別にどっちでもいい。物語さえ面白ければ、鬱主人公だろうとロランっ子だろうと。
ただ、監督の意図は変更によって達成されたかもしれないけれど、ネガティブな性格描写をのきなみ削った結果、主役の存在感が薄くなってしまったのはやっぱり事実だと感じるわけで、そこだけはちょっと疑問が残ります。むしろ、後半ではシャアやアムロの方が目立ちまくってたような気がする。

しかしカミーユがいい子ちゃんキャラになってしまったら、大人にたてつく子供の役を誰がやるんだろう。
カツか? うへぇ。間に合ってますー。

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作画のことを悪いように言ってしまったけれど、新作されたシーンはさすがに見栄えがするものに仕上がっていました。特にギャプランとの空中戦あたりはかっこよかったっす。もう半分がんばって全部新作カットにしてしまえば、誰も文句なんか言わなかっただろうにね。

気になるラストについて。
いくら主人公がいい子キャラになっても、やっぱり最後は彗星ヴァーエンドなのかどうか。これは「ラストに新しい大団円を付け加えた」みたいな富野監督のコメントから、大変更の可能性もありそうな気がします。
「いやどうもお騒がせしました。おっしゃー結婚しよう、ファ!」とかいうハッピーエンドになれば、いろんな意味で面白いんだけど。
とりあえず静観。
「恋人たち」はけなしてる人が多いなあ……。

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「ディアスポラ」読みかけ。でも読み終わりそうにありません。最初の50ページぐらいですでに酸欠状態になってます。もうわけわかんねーっつーの。おのれー、宇宙消失は簡単だったのにー。
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by umi_urimasu | 2005-12-27 01:03 | アニメ・マンガ | Comments(0)
「クビシメロマンチスト」西尾維新
a0030177_2392094.jpg天才育成機関出身という経歴と病的な現実逃避癖をもつ謎のイケメン大学生、それが人呼んで"戯言遣い"のいーちゃんである。ある時は青い天才少女だの赤い人類最強だのを脇にはべらせ、ある時は学食で丼いっぱいキムチを食いまくり、またある時は少年殺人鬼と拳で哲学を語りあい。そして彼に近づくクラスメイトたちは、日を追って無惨な絞殺死体と化してゆく。
だがそれがどうした? ぬるい偽善はたくさんだ、死ぬなら勝手に死んでくれ。

愚かな恋をなんとする、請負人もあてにはならぬ、闇に裁いて戯れ言る──戯言遣いが、殺人犯を。

うぐぅ。警察にまかせろよ、そういうことは。


西尾維新という人は、語呂合わせや宛て字の要領で作った誤字、誤用、造語をやたらに使う作家です。それはもう、ときに見苦しいほどたくさん使う。効果のほどはちょっと微妙ですが。造語の方はともかく、あからさまな誤用には陳腐な印象しか受けませんし。
けれどその文体は、一見うっとうしいだけのようでいて、ミステリにとっては意外にも効果的だったりするらしい。

推理小説では、真相を読者の目から隠すためにいろいろな手管が使われます。鍵となる情報をわざと省略したり時系列を倒置したりなどの正道っぽい手の他に、文意そのものをわかりづらくしたり、重要な情報を無意味な文章の中に紛れ込ませる方法もある。西尾維新がよくやるのはこれですよね。
「クビキリサイクル」ではそういったあやふやな文章に単なるレトリック以上の機能はなかったんですが、この「クビシメロマンチスト」では、より本質的にミステリの役に立つように使われています。たとえば、会話やモノローグの意味合いがまるごと二重化されていて、あとからようやく裏の意味に気づくようになっている所がいくつかある。真相を知っていれば確かに不自然さの質が違うことに気づきますが、初読時に見破るのは無理でした。
でもこれはわからなくても仕方がないでしょう。普段からめちゃくちゃ不自然な言い回しばかり使っていて、通常の文体そのものがカムフラージュになっているも同然なんだから。

つまりこれは、あの仰々しいオタ文体が「常態」であるからこそ使える技だったのかと。
クビシメロマンチストを読んで思ったわけよ。


せいいっぱいポジティブに書いてみました。
でも我ながら今いち褒めてない。

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検索すると「キャラが立っている」という感想がたくさんヒットしますが、これはいかがなものか。僕にはどの人物も表層的なギャルゲー記号の寄せ集めに見えますよ。人類最強・哀川潤がいかに常識を越えた最強の存在か、とかいう描写が必死に繰り返されるのを読んでるといたたまれなくなって来るし。
そんなとこまで奈須きのこに似なくてもいいのに。

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西尾維新は戯言シリーズ完結時のインタビュー「僕にとっては、世界=物語で、身近で閉じた世界が物語そのもの。『セカイ系』と言うが、逆に、そうでない問題って小説になるの? と聞きたいくらい」と述べています。
どう受け取ったらいいのか当惑させるコメントです。「私は高校生か大学生の萌えオタ日常小説しか書けませんよ」と宣言してるに等しいような気がするんだけど。それとも、ベオウルフや平家物語や三国志は彼にとって物語じゃないんだろうか。
やや疑いまじりの視線と共に、「クビツリハイスクール」の巻へつづくー。
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by umi_urimasu | 2005-12-21 23:15 | 本(SF・ミステリ) | Comments(20)
ジブリ版「ゲド戦記」ぷー
[アニメ] 「ゲド戦記」映画化 関連ニュース
はいはい息子息子。
噂によると内容は3巻メイン、あるいは3と4のミックスではないかという話です。さすがに3だけじゃ女っ気がなさすぎるってことなのか。どうせ1本かぎりの映像化なら、出来はどうあれ1をやって欲しかったところですが……版権取れなかったのかなあ。駿的にはむしろ4を自己流でやりたかったのかもしれませんけど。テハヌーとかテハヌーとかテハヌーとか。

公式サイトのポスターに描かれている竜はカレシン?イエボーだっけ? 3〜4巻は一度しか読んでなくて、内容もほとんど忘れてしまいました。もう10年近く前の話。いい機会だから買い直すか。

ちなみにゲドの実写版テレビシリーズは見るも無惨な改悪っぷりだそうで、ファンからはゴミ以下と断じられているようです。ふぅ。
まあこっちはジブリだし、さすがにそこまでの事はないと思いますが。

[雑学] ゲームのなかのモダニズム
コンパクトな近・現代ゲームデザイン史の紹介。GJです。

[ゲーム] ガンパレード・オーケストラwiki
CERO12って書いてあった……。つまり、Hな雰囲気がないってこと?
んでもって、カッターもいじめも銃殺も餓死もないってこと?

umi_urimasuの士気が-50000!
umi_urimasuはちょっとブルーになった。
いいもん、GPMがあるから。

[FLASH] のまのま
http://www.potyacom.net/flash/debate.cgi?122
今さらだけど生きてるのを探し出してきました。なるほど神仕事だ。何はともあれローカルへ保存。

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ぱにぽに見てー。でもすでにシリーズ終盤なので、今さら見始めるのも逆にもったいない気がしてどうも踏み出せない。DVDレンタル展開を待望します。
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by umi_urimasu | 2005-12-17 01:14 | ニュース | Comments(0)
「パプリカ」映画化!
ぶるあぁ!
筒井康隆アニメキターー! しかもパプリカとはまたおいしいところを。
ありがたい話です。
これでクォールはあと999年は戦える。

いやいや。無理だけどな。

映画「パプリカ」 2006年公開予定
監督:今敏
脚本:水上精資・今敏
キャラクターデザイン:安藤雅司
音楽:平沢進
制作:マッドハウス


そしてさらに。

「時をかける少女」 2006年夏公開予定
監督:細田守
脚本:奥寺佐渡子
キャラクターデザイン:貞本義行
美術監督:山本二三
制作:マッドハウス


どちらも強力なメインスタッフを揃えてきました。「東京ゴッドファーザーズ」や「千年女優」から察するに、今敏という人は夢ネタやメタフィクション的な演出もかなり得意なように見受けられます。パプリカの方はかなり期待できそうな気配。
時かけの方も、こちらは筒井康隆だからってわけじゃないけどそれなりに期待大。学校の怪談は意外と面白かったし。
ちなみに細田守氏は、もともとハウルの監督をするはずだった人。なんで降りちゃったんだろうね。


[アニメ] 蟲師 7話「雨がくる 虹がたつ」
不思議な虹の魅力に取り憑かれ、その虹を捕まえるために旅を続ける男。過去をひきずる人間と何者にもとらわれない蟲の生のあり方が、雨上がりの空の下で交錯する。
ラストシーンの、現実と非現実の境界ぎりぎりをゆくシュールなビジュアルが印象的でした。もともと映像のクオリティは非常に高い作品ですが、単にきれいってだけじゃなくて、こういう「地味な中にもインパクトあり」な絵をしっかり見せてくれるのがよけいに高評価だったり。

[本] 西尾維新「クビシメロマンチスト」
虚ろな言葉で語られる、空虚な人物たちの空疎な青春物語。意味をなさない造語や誤用を多用する文体は、個人的にはちょっとくどすぎに感じられてまだ引いてしまいます。何でもかんでもおかしくすりゃいいってもんじゃないだろと。
ただし、そんな子供じみた言葉いじりにも時々はちゃんと仕掛けがあったりするので気が抜けない。普段からおかしい文章だからこそ、ここ一番でのそんなトリックがうまくいく。デート場面のミスリードなんかはまさにそれでしょう。
まあ実際にはそんなことより、いーちゃんがあまりに痛すぎるとか巫女子があまりにアホすぎるといったキャラ的な問題の方がはるかに深刻なわけだが。

[アニメ] OVAマルドゥック・スクランブル 公式サイトプレオープン
おお、こんなものが。キャラクター線画(仮?)がいくつか見られます。キャラデザインは村田蓮爾氏だったんですね。思ったより地味な感じ。
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by umi_urimasu | 2005-12-12 01:20 | 映画 | Comments(0)
「射雕英雄伝2」金庸
a0030177_2332447.jpg桃花の影落ちて神剣飛び、碧海に潮生じて玉嘯を按ず───
必殺、落英神剣掌!!
うまいぞ、あんとみつのハーモニィィィ!!

という「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」+「ミスター味っ子」的なノリの第二巻でした。今回は前作にも増して華がありますね。小悪魔と呼ぶには凶悪すぎる性格だけど郭清ラブひとすじのスーパーヒロイン・黄蓉が、歌に料理に拳法にと大活躍。聞いたこともない神技料理、白熱のカンフーバトル、登場人物もどかんと倍増。こいつはすごい。読めば読むほど面白くなっていく。
とにかく続きを。ただもう続きを。

そして今回から武林の頂点に君臨する四達人、東邪・西毒・南帝・北乞が登場しはじめます。性格や得意技はてんでバラバラですが、共通点はみんな化け物みたいに強いってこと。
このあたりの流れはやはりジャンプなどの少年マンガとの類似を強く感じさせるものがありました。「射雕英雄伝」自体は1950年代の作品なのにね。こういう「王道パターン」がいつどこでどのように成立したのか、進化過程とか調べられたら面白そうなんだが。誰かやってないかな。

東西南北の四大武侠のうち、東邪というのはじつは黄蓉のお父さんで、名は黄薬師。あの梅超風が子猫みたいにガクブルしてたり、江南六怪が束になってかかっても全然歯が立たなかったりと、もう言語道断な強さを誇っています。しかもただ強いだけじゃなくて性格は冷酷非情、加えて重度の親バカ。郭靖なんか「娘さんをください」と言い終わる前に瞬殺されかねん。
ハッピーウェディングへの道のりは遠そうだ……。


巻末豆知識。
中国映画などで武術家が剣をかまえるときに、もう片方の手の人差し指と中指をそろえて立ててることがありますよね。ちょうど指鉄砲みたいに。
あのポーズは「剣訣(剣指)」といわれ、ちゃんとした理由があるらしいです。その指を使って相手の剣を挟み取ったり叩き折ったりするためなんだって。すごい。
どこまで実戦的なテクニックなのかは不明ですが、型そのものは健康体操などのソフトな気功でもふつうに使われるものだとか。あのオビワン・ケノービもエピソード3では剣訣を結んでたらしいぞ。ただのピースサインじゃないかという説もあるが。
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by umi_urimasu | 2005-12-05 23:31 | 本(others) | Comments(2)