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「かみちゅ!」1〜3話
遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ。この入神の動かしぶり!
走るわ転ぶわ笑うわ泣くわ、こだわりまくった人物のモーションがかわいいのなんのって。コマ数を落とした「千と千尋」みたい、といえば感じはわかってもらえるかな。
作り手側にとってはかなりのセンスと試行錯誤を要求される仕事でしょう。
問題は、いったいこのレベルがいつまでもつかだ。公式HP


内容はいい意味で力の抜けた日常ファンタジーコメディ。「R.O.D the TV」と同じく、日常性へのこだわりはちょっとしたものです。舛成孝二+倉田英之のコンビは、こうやって見慣れた風景にさりげなく非日常性をまぎれこませるのが得意技っぽいね。

舞台は瀬戸内海に面したのどかな港町。主人公は「昨日から神様になっちゃった」と、事情もよくわかんないまま八百万の神々の末席にこのたび加わってしまった現役女子中学生、一橋ゆりえ。
威厳のかけらもない現人神として、町興しのネタにされたり雑用にこき使われたり、ゆりえの新米神様ライフは微笑ましくも前途多難。そんな彼女がひそかに想いを寄せる相手は書道部の二宮君だが、ターゲットの方はゆりえのことなどてんで眼中にない様子。ある意味はげしく身分違い(?)な彼女の恋は、果たして見事成就するのか。

設定もキャラもストーリーも、すべて等しくまったり指向。展開を追うよりも、心地よく弛緩した空気に浸ったままずるずる流されていたいという気にさせてくれる作品です。なんなら、この日常的非日常に埋没したまま1クールで終わってくれても一向にかまわないんだけど。

ちなみに、よく見ると「ああっゆりえさまっ」とか「お前はもう死んでいる」とかいった小ネタがこっそり仕込まれてました。ぼんやり見てたら気づかずにスルーしてしまう程度のおくゆかしい見せ方で。
あくまでさりげないアプローチを心がける、その姿勢や良し。

夏の四半期、この先も見つづけたいと思うアニメ作品を1本だけ選ぶとしたら、今シーズンはもうきっぱりこれひとつ。特に第一話は本気でおすすめですよ。


えーと。画像の著作権はすべて制作会社や放送局等に帰属します。ほんま堪忍どす。
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by umi_urimasu | 2005-07-29 00:46 | アニメ・マンガ
[イラスト]少女と鼠
「マルドゥック・スクランブル」で自作CG。
バロットさん、ペンティーノ氏とおたわむれ中の図。
何ていえばいいんだ、これは。ナウシカごっこ?

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服とか地味っぽくして逆に意外性を狙ってみました。でもこれじゃたぶん、ロゴがないと何の絵だかわかんない。最初は両手に拳銃持たせたり、もっとこう、ガン=カタ炸裂な感じのやつを描こうと思ってたんですけど……むずかしいんだよね。
あー、どっかにいろんなアングルで銃器や刀剣を手にもっている画像がいっぱいのサイトはないかのう。

ちなみに衣装が季節外れで冬っぽいのは、元の下絵を描いてた時期が冬だったから。そんだけ。

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二次創作かファンイラストの類が他にないかと思ってちょっと探索。でもgoogleイメージ検索ぐらいじゃほとんど何もかからない。マルドゥックなら素材的にもライトノベルやアニメ好きな人に受けがいいだろうと思ったんだけど。
ま、どっちにしろ好き勝手に描けるのも今のうちだな。

ところでマルドゥック・ヴェロシティマダー
アニメ版の脚本まで冲方丁氏ご自身が手がけるそうです。もはやいくら遅れようと驚きませんが。いっそのことアニメ公開に合わせて同時発売にしたら?

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ブラック・ラグーン(広江礼威)もアニメ化。マジぽ。
ここ最近、原作がまだ十分なストックをもっていないのにフライングでアニメ化して無様に失敗というケースが多いみたいなのでちょっと心配。


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杉浦日向子さん(46)死去
ショック……。江戸時代をとても身近な世界にしてくれた方でした。慎んでご冥福を。
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by umi_urimasu | 2005-07-26 23:42 | イラスト
[寄生獣]ハリウッドで映画化
どうやら本決まりになりつつある様子。「この種を食い殺せ!」とか「呪怨を越えた」とかいうキャッチコピーといっしょに日本公開される様が目に浮かぶ。監督は「THE JUON/呪怨」の清水崇氏。見てないからなんともいえん。ま、とりあえずは続報待ちですか。

原作コミックの英語版を紹介したサイトによれば、米国ではミギーがLeftyに、田宮良子=田村玲子がタマラ・ロックフォードということになっているらしい。なんなんだよタマラって。まさかこれを鵜呑みにしてシナリオ書いたりしてないだろ……と思いたいですが。少なくともコミック業界では、海外の作品に対して十分な誠意をもって翻訳が行われているとは言えなさそうだ。
にしても、漫画のこういう部分って小説に比べたらかなりひどい扱いですね。なんでだろう。

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PS2 絢爛舞踏祭
いつのまにか発売されてた。めちゃやりたい。
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by umi_urimasu | 2005-07-23 00:33 | ニュース
「エンダーのゲーム」 オースン・スコット・カード
a0030177_2316587.jpg決戦存在、人類最後のヒーロー、〈ENDER=終らせる者〉──何と呼んでもいいけれど。侵略異星人を滅ぼし人類を勝利に導くための司令官として育てられた天才少年エンダー、彼の孤独な戦いと成長の物語。
〈エンダー〉シリーズの壮大なプロローグとして、ヒューゴー賞・ネビュラ賞の両冠に輝いたオースン・スコット・カードの初期長編。


小学校に上がるかどうかの年齢で、孤独と絶望の何たるかを知ってしまう子供というのは、いったいどのようなものだろう。彼にとって世界とはおそらく、大抵の子供にとってそうであるように、居心地よく、庇護され、無知や甘えや愚かさが許される温かい場所では到底ありえないに違いない。

この物語は、六歳のエンダー・ウィッギンがいじめっ子グループに取り囲まれ、彼らを逆に地に這わせ、相手が抵抗不能になってもなお痛めつける場面から始まります。
高い知能と統率者としての適性を認められて、宇宙艦隊の指揮官養成学校へ編入されたエンダー。そこでひとりぼっちの彼を待っていたのは、厳しい訓練、理不尽の度を増していくバトルゲーム、そして容赦のない嫉妬や迫害でした。わずかな友情の芽も大人たちに摘みとられ、ようやくリーダーとしての地位を確立したエンダーをさらに追いたてる非情な試練。たとえどれほど過酷な状況に陥ろうと、助けはどこからも、彼の所にだけは絶対にやってこないと思い知らされる日々。
激しい競争社会の中で幼い彼が学んだのは、あらゆるハードルを自分ひとりでクリアする以外に生きていく術はないということでした。廃人になれない以上、彼はそうするしかなかった。わずか11歳で有能無比の司令官に成長したエンダーは、だからいつまでも孤独な少年のままです。
唯一の心の拠りどころである実姉ヴァレンタインの存在をのぞいて。そして片手で数えられるほどの、幼い戦友たちをのぞいて。

壮大で、繊細で、示唆に富んではいるけれど、ちょっとやりきれない話。
でも読後感は悪くない。苦難のどん底から一転、偉大な栄光へ。窮屈な学校から、一瞬にして巨大な世界へ。この痛快な手のひら返しが、ドラマをドラマたらしめる技術であり、万人に感動を与える理由だと思います。僕は少々へそ曲がりなので、「そんなに都合よくいかんだろ普通」とか「リアリティがねえ」とか戯れに呟きますけど。
いや、実際いいものだよこれは。キシリア様に届けんとな。

しかし、この作品の真に傑作たる所以は、ひとえに「子供の描写力」。
子供の心理描写がやたらに巧いんですよ。設定なんて呆れるほど凡庸なインベーダーSFだけど、ここまで子供が描けるのならSFとしての目新しさなんてまったく必要ないと思わせるほどに。
正直、僕も読む前はちょっと侮ってました。あらすじだけ見て、どうせハリーポッターみたいなもんじゃねえの?って。だが違う。全然違う。「ブラッド・ミュージック」や「スキズマトリックス」を破ってヒューゴー/ネビュラをダブル受賞してのけたのも、今なら自然に納得できます。

人物造形については、エンダーをのぞくと、彼の兄と姉のキャラがかなりいい線行ってました。残虐で狡猾な性向を押し隠し、情報操作による世界支配を企てる長兄ピーター。そんな兄の本性を知り尽くし、自分にも彼と同じものが潜むことを恐れつつ弟を守ろうとする姉、ヴァレンタイン。ヴァレンタインとの交流がなかったら、そしてピーターとの対比がなかったら、この話はまったく救いようのない残酷一辺倒なものになりかねなかった。それに彼らの描写は、子供社会のパワーゲームばかりに偏りがちな物語を適度にゆさぶるリズムをも与えています。こと子供描写にかけては、ほんとによくできてるんだってば。

あと、エンダーのゲームといえばよく話題に上るのが、ネットによる世論操作のアイデア。実はこれは、まさにその通りの状況が実現してしまった今では格別の目新しさはありません。ただし、グローバルネットの概念がまったく一般的でなかった1985年においては、それなりの衝撃を読み手に与えはしたでしょう。もちろん「少年ハッカー大活躍」という二流SFじみたアイデアだけではダメで、子供のデリケートな心理を手にとるように描いてあることこそが衝撃の源なんだけど。

最後に、ひとつだけ文句を。
エンダーの「ゲーム」が終ったあとも、本作では長い長いエピローグが続きます。〈バガー戦役〉後の顛末とかエンダーたちの成長後の動向とか、なんだかんだと。単体の小説として見るなら、これは無用の長物だと思う。少年心理に焦点を絞った本編のスタイルとまったく噛み合わないし、無関係なエピソードも多い。それにせっかく盛り上げたラストの興奮をだらだらと冷ましてしまう。
ああ、なぜあそこでスパッと終ってくれなかったのか。残念。

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余談。
恒星間即時通信技術が「アンシブル」ってのは、ル・グゥインのオリジナル造語だと思ってたんだけど、なぜかカードも使ってます。もしかしてクロスオーバー?

余談2。
エンダーたち三人の神童ぶりが何かを連想させる、何だったっけ?と読みながら思ってて、読後にふっと判明。サリンジャーのグラース一族だ。こ、これは神童!

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補足。エンダーのゲーム、映画化されるらしい。バトルゲームとかの映像化ってけっこう難しそうだけど。
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by umi_urimasu | 2005-07-19 23:23 | 本(SF・ミステリ)
すごい写真/電車男
ナショナルジオグラフィック写真集
気持ち悪くなるほどの美しさ。鷹匠(?)の写真にびびーんときました。

神聖ローマ帝国時代のテーブルマナー
色々な意味で壮絶だな。ていうか「豹禁止」のことわりを入れなきゃいけない時点で何か間違ってると気づこうよローマ人。

うわぁ…本能寺の中…すごくあったかいなり…
妙にツボに入った。なんなんだろう、この微笑ましさは。コロ助っぽい語尾のせいか。

以上、ネタは朝目新聞様よりまた引きで。


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2ちゃんねると電車男のお話。

妙な言い草かもしれませんが。
匿名掲示板というのは、不特定多数の覆面ライターによる「リアルタイム共同小説生成システム」のようなものじゃないかと思うのです。これは単なる情報交換や社交の場としての掲示板ではなく、特にネタ指向の強い2ch的な板を指して言ってるんですけど。
そして、掲示板も2ch並みの規模になると、時にはログ自体が「作品」と呼んでいいレベルに達するケースもあるだろうなあと。その手近な実例として思いついたのが電車男
電車男という作品は、手法だけ見れば2chでは珍しくもないパターンです。でも、2ch以外のメディアでこれと同様のことをやるのはおそらくかなり難しい。ブログの台頭によって巨大掲示板は衰退したとよく言われますが、実際のアクセス集中度、コミュニケーションの総量、開放性などに関しては、たぶん今でも2chの方がはるかに上でしょう。そしてもしそうなら、電車男だけでなく、今後もネットならではの「作品」が掲示板を介して新たに生まれてくる望みはある。衰退だの終焉だの言われ続けたこの1〜2年ですら、電車男が流行作になったぐらいなんだから。

ネット上のコミュニケーションを利用したメタフィクションとしては、既に1990年代に朝のガスパールなんかが書かれています。これは新聞小説でしたが、もしこうした手法がオープンなネット上でリアルタイムで行われれば、小説的なスリルはさらに増すかもしれません。というかむしろ、巨大匿名掲示版とは、まさにそのためにあるようなうってつけのメディアなんです。だからこそ、その成果を見る前に存在自体がなくなってしまうのはもったいない。

実際に2chが衰退したかどうかについては判断材料がないので何ともいえませんが、もし事実なら、ちょっと待ってほしい。どうせ消えるなら、せめて電車男より面白い作品を2〜3本世に出してから消えてくれんかと。願わくば、もう少し殺伐とした内容で。


ちなみに電車男関係のログは、わざわざ本を買わなくってもここで読めるみたいだよ。

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いやっほう。ギブスンのパターン・レコグニション買ったよぅ。
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by umi_urimasu | 2005-07-15 01:57 | ニュース
「百年の孤独」ガルシア・マルケス
a0030177_2262112.jpg長い年月が過ぎて銃殺隊の前に立つはめになったとき、
おそらくアウレリャーノ・ブエンディーア大佐は、
父親に連れられて初めて氷を見に行った、
遠い昔のあの午後を思い出したにちがいない。



こんな書き出しで始まる、南米の架空の村マコンドの百年史。
そしておそらく、20世紀が産み落とした世界最強の物語のひとつ。
自分の本読み人生で、これほどの快楽に今後めぐりあうことがあろうかと本気で危ぶんだ一冊です。
この本が世界に与えたインパクトは絶大なものだったようで、全世界で3600万部という異例の発行部数がそれを物語っています。サリンジャーの「ライ麦畑」で6000万部らしいからね。

ちなみにどうでもいい話だけど、ハリーポッターは累計2億5000万部。

世界ランキングのトップスリーはこう。
1位 聖書 3880億部
2位 毛沢東語録 65億部
3位 ペリーローダン 10億部 なぁぁ……
その他の発行部数ランキング

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「百年の孤独」をあえて分類するなら、神話形式。幻想と現実が区別なく入り乱れ、膨大なエピソードを積み重ねてひとつの小世界をまるごと作り出すというもので、日本ではあまり流行らなそうなタイプですね。でも南米ではベストセラーになり、マルケスはこれでノーベル賞を取りました。南米人にはやっぱり、こういう混沌とした小説が好みに合うんだろうか。全編に満ちるただならぬ郷愁と寂寥感は、汗まみれで土臭く、日本のわびさびなんかとは根本的に異なる熱をはらんでいます。
ちなみにペルーのバルガス・リョサの「緑の家」も、マルケスと似た手口。ただし、緑の家はさらに時系列をめちゃめちゃに錯綜させるという技がプラスされて、マルケス作品でいえばむしろ「族長の秋」「予告された殺人の記録」に近い感じでした。
日本の小説では、大江健三郎の「同時代ゲーム」とか筒井康隆の「虚航船団」が類似作っぽいです。文学作品なんて好きなもの以外には手を出さないので、他にもっと近いのがあったとしてもフォローできていませんが。

ぐぐったら2chのログが出てきた。
「百年の孤独」の新訳版で名前表記から長音符をぬいた理由は(ブエンディーアをブエンディアに変更など)そうしないと 「ー」だけで5ページぐらい増えてしまうからなんだって。
マジかよ。5ページぐらい別にいいじゃん。

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マルケス作品の屋台骨ともいうべき「太母」系のキャラクターについて。
彼らはおおむね、根源的な母性、南米版の聖母マリアとして描かれています。でも、それにはどうやら二種類あるみたいな気がする。
「火曜日の昼寝」の母親は硬く毅然としたジャンヌ・ダルクであり、「百年の孤独」のウルスラはエナジティックな肝っ玉母さんでした。「族長の秋」の大統領の御母堂は、息子に無償の愛を注ぐ老いた聖母。これが第一種だとすると、「ママ・グランデの葬儀」や「エレンディラ」のそれは第二種。こっちは、もはや母性の象徴というよりほとんど妖婆じみた超越的存在になってます。
それぞれ、存在の大きさは共通しているものの、ベクトルが違うよね。聖と俗の両面性というか。
あと、しとやかでかよわいタイプ、あるいは理知的なタイプの女性は不思議とあまり出てこない。これはどういうわけなんだろうか。南米ならではの理由があるのかな。
「わしの好みなんじゃ」って言われたらそれまでだが……。

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キャラクターレベルでは不幸娘のレベーカ萌え。
というかレベーカVSアマランタの嫉妬バトル萌え。

「パンがないなら、土を食べればいいじゃない?」

説得力抜群。だが素人にはおすすめできない。
あと阿片チンキも禁じ手。妊婦へのとばっちりが怖いから。
初代レメディオスは可哀想だったなあ。あれはマジ凹んだよ。


agco様のエントリに触発されたので、全然未整理だけどあげてしまいます。
いずれもっとまともなレビューを書きたいもんだ。
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by umi_urimasu | 2005-07-11 22:41 | 本(others)
あやしい童話の表紙
わろた。どういう状況なんだこれ。帝都大戦か?でもサンタだし。

ミヒャエル・ゾーヴァという画家のしわざです。
アホなものを愛するがゆえに人は愚かになる。ならばアホ絵など要らぬ。
そんな生真面目な人の脇腹あたりにある秘孔をつんつんしてくれそうなユルい理不尽さに満ちた絵。

タイトルは「怒り」

あんた確信犯だろ。確信犯だな?

ゾーヴァ氏の他の作品はこことかでも閲覧可能。シュールレアリズムの範疇なんだろうけど、無意識がドロドロ出てくるのではなくユーモアで微笑を誘うタイプらしいですね。
いうならば癒し系シュールレアル。
部屋の壁に貼ったりしてもよさげな感じ。
ちなみに、彼は映画「アメリ」の美術も担当しているそうだ。ふぉお。

このネタは海燕様のSomething Orangeからの又引きでお送りしました。


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おまけです。廃墟ハァハァ。
長崎市「軍艦島」保存検討へ
賛成賛成。物凄い勢いで保存をお願いしたい。あそこには、どうやっていけばいいのかなー。
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by umi_urimasu | 2005-07-07 23:05 | ニュース
「蟲師」アニメ化
a0030177_19382355.gif漆原友紀「蟲師」TVアニメ化
すなおに喜ばしい。ていうか、それほど人気があったとは意外だ。
灰羽連盟のときも不思議に思ったんだけど、いったいどこからこんな地味なのをアニメ化するお金が出てくるんだろう。

原作コミックは、日本各地の寒村に暮らす人々のさまざまな悲喜劇を描いた和風怪異譚。自然がまだ人の知識を凌駕する謎めいた力を持っていた時代のルールやタブーを「蟲」という形なき存在に象徴させ、切ないドラマのだしにする……てな感じの、渋く静かな作品です。ダーク系の民話のような、なつかしくてちょっと不気味な雰囲気がよい。
一話完結の連作タイプなので脚本化もしやすいはず。詳細未定だけど一応期待作。


「かみちゅ!」
舛成孝二+倉田英之+羽音たらくという、「R.O.D」そのまんまの布陣。噂では初回からかなり豪快に遊んでいるらしい。見てえ。R.O.Dのあの芸風が健在ならば。
ただし、やっぱり行き倒れの前例があるためか、好調と聞いても油断ならない気分です。R.O.Dも最初は元気だったんだよ。最初はね。
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by umi_urimasu | 2005-07-05 23:10 | アニメ・マンガ
「星を継ぐもの」J.P.ホーガン
a0030177_22111674.jpgZガンダムじゃなくて元ネタの方なんだけど。

これはですね、言うなれば「とても科学的な」あるいは「科学好きな」SFなんだと思います。

たとえば、学校でニュートンの法則を習うとしますよね。そこで、なぜリンゴが地面に落ちるのかを知らなかった人が、万有引力で説明できるってことを知ると、人によってはいたく感嘆したりもするでしょう。純粋な知的感動とでもいうのかな。この場合、それが自明なものであってもおそらく感動の妨げにはなりません。ケプラーでもハッブルでもアインシュタインでも、相手は何でもいいんです。とにかくエレガントに説明できさえすれば。

この本に書かれているのはまさに、そうした知的作業にともなう快楽、「理解」の快楽そのものです。手にした事実を矛盾なく説明しきれたときに科学者が味わうカタルシス。そして、より込み入った複雑な事象を説明するために、たくさんの仮説を立てては壊し、客観的に見てもっとも信頼に足る説へと徐々に詰め寄っていくスリル。その興奮を、そのまま読者に伝えようとしている。

気持はとてもよくわかる。
でもね、それってきっと、かなりマニアックな快楽だと思いますよ。

この小説内の人物たちは皆、多くの人にとっては塵芥よりも無価値なことに無上のエクスタシーを見い出しているマッドな連中ばかりなんです。チャーリー(仮名)の星の大気組成や重力の計算方法なんてどうだっていいんだ、ふつうの人は。だからもしかしたら、理科や物理が嫌いな人にとってはこれ、凄くつまんない作品なんじゃないかと。それがちょっと心配。

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月面調査中に発掘された一人の人間の遺体から、驚くべき事実が明らかになった。死体はなんと、5万年以上も昔のものだったのだ。細胞ひとつに至るまで現代人と寸分たがわぬその男(仮名:チャーリー)は、いったい何者であったのか?空前の宇宙的ミステリーに挑む物理学者ハントは、研究を進めるうちにさらなる驚愕の事実に直面する──。
これはトリックと呼んでいいものなのだろうか。人類進化のミッシング・リンクを埋めるあまりに壮大なアイデア、ダーウィンも月までブッ飛ぶ意外な真相が今、明らかになる!
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科学者たちが団結して不断の努力で謎を解いていく様は、プロジェクトXや「第六大陸」(小川一水)と同じ、ごく素直なパイオニア・ヒロイズムを感じさせます。科学ネタの好きな人なら、そうやって論理の土台を固めていく作業そのものにエキサイトできるはず。科学雑誌などを読むのが苦にならない方には問題なくおすすめできると思います。
一方、三角関数とか散乱断面積とか放射性同意元素とか、ヴードゥーな呪文を聞かされると中指立てたくなるという方にはおすすめできないかもしれません。でも、アイデアの意外性だけでもきっと面白いよ。SFが広げる風呂敷は、(ちゃんとたためる限り)大きいに越したことはないんだ。

ただし、ラストの演説部分は個人的には大失点。あまりに傲慢、妄信的な科学信奉ぶりに引きまくりでした。よっぽど理科が好きな人なのかな……。

「冷静さを欠いたA.C.クラーク」っていう私的評価は、いくらなんでも失礼すぎか?
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by umi_urimasu | 2005-07-02 02:28 | 本(SF・ミステリ)