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【イラスト】カレイドスター
「フリーダム」再演!
そら&ロゼッタ&レイラ、カレイドオールスターズ結集!
メイやマリオンも乱入して第三部妄想炸裂ー!

というポスター風の絵。

large size

でも、これだと知らない人から「全米女子プロレスか何か?」という誤解を受ける可能性が否定できん。

───
余談。
カレイドスター第17話「燃えろ!すごい ミア」は、個人的にはかなり印象の強かった回です。音楽の転調と共にクライマックスに到達するあたりとか、もう絶好調。本来なら26話かけてそこまで持っていくところを、あえて1話に凝縮したような濃いエピソードでした。
内容は、カレイドステージ解散の危機が迫る中、新人ミアによる初オリジナル脚本作品が完成するまでの紆余曲折を描いたギャグあり燃えあり感動ありのメイクミラクルストーリー。あとよろ発言でレイラすらも軽くあしらう天才脚本家、サイモン・パークが初登場して一部で話題に。その上ダークサイドに堕ちたユーリの黒い乳首を鼻先に突きつけられてそら赤面。

黒い!すごい ちくび!

どんな話だ。誤解を煽ってどうする。

ちなみに、カレイドスターでフリーダム絡みの画像を検索しようとすると、ガン種ばかりひっかかってしまって少し凹。キャプ画像見つけるだけでひと苦労じゃった。
そんなにマイナーな組み合わせかなあ?

───
「レイラ・ハミルトン物語」
タイトル聞く限りではなんか微妙そうです。レイラはあまり主人公向きじゃない、というかむしろ主人公のライバル専用キャラと言ってもいい。あのカレイドスターのスタッフが作るものなら大丈夫だろうとは思うけど。
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by umi_urimasu | 2005-05-29 19:04 | イラスト
Gunslinger Girl【ガンスリンガー・ガール】
a0030177_303611.jpg暗殺者として生きる幼い少女たちが、深い諦観の中で心のよりどころを探す日常の物語。泣かせるというより、淡々と残酷さを追求した作品です。ダークではないがパセティックではある。涙は出なくとも傷つきはする。いわゆる痛い系っていうのだろうか。
原作は相田裕。すまんが未読だ。


ヨーロッパ某国政府の下で暗殺や諜報を請け負う秘密組織「社会福祉公社」。その実戦部隊は、ローティーンの少女と監督者の男性とのペアによって構成されている。全身の義体化と洗脳によって殺戮機械に生まれ変わった少女たちは、小さな体に不釣り合いな巨銃を手に、命令されればどんな仕事でもこなすようになる。
しかし、人造の肉体の寿命は短い。大人たちのための使い捨ての兵器として残された、わずか数年間のはかない命。それでも少女たちは不平ひとつこぼさない。冬の夜、降り注ぐ流星雨を見上げながら、彼女たちのあるものは無心に、またあるものは万感を込め、細い声をより合わせて歌う。

ベートーベンの交響曲第九番「歓喜の歌」を──。

まあ残酷にも程がありますな。
よりによって第九かよ。

そんなやりきれなさが超満載の物語。痛い系が嫌いな人には、あえてお勧めはしないでおこう。


さて、以下はアニメーション版のみの感想になりますが。
シリーズ通しての印象はわりあい良好でした。ストーリーは過不足なくまとまっていて、特に不安な箇所もなし。武装少女と聞いて連想するがんほーでトリガーハッピーちっくなものよりはるかにストイックな作風です。経緯の説明が少ないためにややわかりづらい部分はあったものの、人間描写が隙だらけというほどでもなく。限られた表現、限られた資源しか使えないTVアニメとしては健闘した方かと。
心理表現においては、わざと解釈を与えないようにぼかした演出が多かったみたいです。これは、少女たちが死を連想したり実際に死に触れたりする痛々しい場面でもそう。沈黙によって、言わずに残した部分を大切にしようと気を使っていた感じ。
そうやって淡々と日常風景のスナップショットに徹した作劇は、少なくとも「設定が極悪非道」というだけで突っぱねたくなるのを思いとどまらせる程度には美しい描写だったと、個人的には評価しています。

ただし、許容範囲の限界を越えそうな部分も確かにあった。まさにそこへ踏み込もうという狙いで作られた作品なんだろうけど。
たとえば主人公の少女たちは、ペアを組む担当官に絶対の服従と献身を捧げるように『条件付け』、つまり洗脳されています。その思いはおおむね気高く清純で、ときに恋愛感情に似てすらいる。しかしそれこそ大人の都合の最たるものであって、彼女たちが純粋であればあるほど、道具としてはより高性能になるからそう仕組まれているわけで。彼女たちは「道具でも構わない」というかもしれないけれど、その思考だってたぶん洗脳のせいなのに。

確かに、あるはずだった幸福の可能性をぎりぎりまで奪われた者が願うわずかな幸福──希有なほど純粋に「ないものねだり」をする姿は、ある意味美しいのかもしれんけどね。ここまで話が非人道的になると、もはや「切ない」とか「健気」とかいうレベルの感情では収まらないですから。
眉一つ動かさずに標的の脳漿を吹き飛ばしておいて、施設に帰れば思春期相応の乙女ドリームに浸ってみたり、マスターへの恋心をもてあそびつつお茶など優雅に楽しんでいる余命数年の子供たち。ちょっと正視にたえない代物ではある。

というか、ヘンリエッタとかけっこう素で怖いし。あのパラノイアックなまでの一途さ、おそらくマスター殺しのエルザと根は同じと見た。むしろ猫かぶってる分タチ悪いかも。担当官であるジョゼのために、殺した人数を数えてるって言ってたし。
こえー!

そしてそんな儂は、強いて言うならトリエラ派。
ツインテとかまったくぜんぜんきっぱりさっぱりこれっぽっちも関係なく。

全13話、個人的に好みのエピソードは、そのトリエラが人助けしてクリスマスプレゼントをもらう第4話「人形 bambola」ですかね。救いらしい救いなどおよそ皆無といっていい物語の中で、わずかとはいえ暖かみを感じられるほとんど唯一の話だったかもしれないなと。


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「イリヤの空、UFOの夏」も、構図としては「Gunslinger Girl」に近いものがありました。おそらくは「最終兵器彼女」も似た系統(未読)。詳しいというほど知らないが「エルフェンリート」もやや類似品っぽい匂いがする。多少毛色は異なるものの、「マルドゥック・スクランブル」も。
なんだろ、やけに多いな。共通項を含む作品が多発する原因でもあるんだろうか。
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by umi_urimasu | 2005-05-28 03:01 | アニメ・マンガ
「甲賀忍法帖」reread 山田風太郎
a0030177_10538.jpg再読。また泣いたー。もう何度でも読めそうだ。
冒頭の御前勝負のシーン、甲賀弦之介が瞳術を初めて使う所(むちゃくちゃかっこいいッ!)、朧の目つぶし、そして強烈な無常感を叩きつけてあっけなく終わるラスト。好きなシーンを挙げはじめたら、結局全ての場面を挙げることになってしまう。
たったこれだけの量の作品にこれほどのものが詰まっていたんだと、改めて気づいて愕然となりました。

しかしもうひとつ気づいたことがある。気づくべきじゃなかったかもしれないが。

──じつは一番のヘタレって、薬師寺天膳?

冷静に見るとこいつ、生き返る以外に何の能もないやんと。
他の忍者たちは皆、それぞれ己の特異体質を活かした忍法を備え、その能力で敵を倒すことができるのに、天膳はといえば。

生き返ってびっくりさせるだけ


それをいっちゃあもう、ぶっちゃけアレだが。

ま、何度も読み返されている方ならとうにご承知のことでしょう。それに、少々まぬけでも無敵であることには変わりないし。いわばじゃんけん勝負での「あと出し」に等しい能力なわけだから。
なに卑怯?
笑止。忍者同士の戦いに、卑怯という言葉はないのですよ。勝てばよかろうなのだ。
あ、そういえばネタバレですねこの話。御免。


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さてもう一冊。

「かまいたち」宮部みゆき

a0030177_12955.jpgうーん。これ、現代も江戸時代もあんまり関係ないように見えるなあ。「江戸時代らしさ」のようなものは期待したほど濃くなくって、単に宮部みゆきワールドが舞台装置をすげ替えて展開されているだけのような印象を受けました。
すらすらと謎を解いて「そうだったのか」とオチがついてめでたしめでたしという、こざっぱりした読後感は不変だし。人物も必要不可欠な役柄にぴったり合わせたキャラクターで、それ以上でも以下でもないって感じ。パズルとしてはとても奇麗なんだけど、個人的には整理整頓が行き届きすぎているように思えてものたりない。しかし好きな人にとってはそこが好みの所以なのかもしれず。

まあ「火車」の例もあるからね。まだ終わらんよ。諦めないで次にアタック。
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by umi_urimasu | 2005-05-23 01:17 | 本(others)
「勝手にしやがれ」ゴダール
a0030177_22362429.jpg1959年。パリを舞台に、犯罪に手を染め無軌道な生活を送る男の末路を描くジャン・リュック・ゴダール初期の代表作。以前にテレビで一度だけ見て以来です。

で、今回ちゃんと見直したらば。
なんか予想外。わりあい単純に楽しめてしまった。ゴダール作品ってのは難解で自己満足な実験映画しかないもんだろうと勝手に決めつけてたんだけど。
まず、サスペンス映画としてきちんと一貫したストーリーがあります。編集はどうにもばらばらみたいな気がするものの、少なくとも話にはなってるではないか。
映像にも古さゆえの新鮮さがあり、手持ちカメラのふらふらとアングルの定まらない映像など、なかなか見所多し。画面に映る昔風のフランスの風景や風俗も、これは単に珍しいってだけかもしれないけど、見ていて飽きません。
ただ、ラブストーリー的に見ようとすると「んなキザったらしいセリフをよく真顔で言えるなこいつは」とかなってしまうのは避けられんが。
まあフランス人だからな。フランス人じゃあ、仕方ないな(偏見)

BGMは主にモダンジャズ。当時としては最先端の前衛音楽だったのかもしれない。21世紀の今聞くといかにも古くさいけど。

あと、ラストにも妙なインパクトがあります。そこだけ特別に現実からの逸脱を狙ったような感じになっていて、善し悪しは判断しにくいんですが、セリフや表情はすばらしく洒落ている。でもシチュエーションがおかしい。というかアホだ。走る走る走る走る、いったいどこまで走るのか、えらい勢いで走りまくる。君きみ、それはいくら何でもちょっと走りすぎだよ。
あれはさすがに演出的に浮きまくってた。しかし逆に言えば、それだけ印象も強かった。ああ来るとは思わなかったんで。
たぶん、そういう奇矯な表現の中にもいろんなパロディ・パスティーシュ的な要素が含まれていて、知ってればよりフェティッシュに楽しめる映画なんだろうな。僕にはその辺は皆目わからんけど。

個人的にはやっぱり「気狂いピエロ」の方がおもろいと思う。
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by umi_urimasu | 2005-05-19 22:40 | 映画
カレイドスター【なんか出る】
a0030177_259474.jpgスターの座を目指す少女がひたむきに努力する──ありきたりなギャグと涙と感動の物語を、神業的なテンポのよさで極限の高みに押し上げた堂々たる傑作「カレイドスター」。
すごい。全編を通して、ストーリーには寸分の視点のブレもありません。脚本まわりの完成度は、はっきり言って完璧。おかげでドラマの全構成要素がクライマックスに向けて収束していく終盤の展開は凄まじい盛り上がりに。マジで恐ろしいことになってました。鳥肌ものっすよあれは。

日本から単身渡米したステージダンサー志望の少女・苗木野そらとトップスターのレイラが、数々の障害を乗り越えパートナーとなって「幻の大技」に挑む第一部。そして、憧れの存在だったレイラを越えて真のスターの座をめざすそらの苦闘と飛躍を描く第二部。
どちらも勢いのよさとテンションの高さが身上の爽快なストーリーです。基本的には、天然系の主人公が仲間と共に夢に向かって筋トレ三昧というスポ根的展開のくりかえしなんだけど。
『いくわよそら!』『お願いしますレイラさん!』びしばしびしばし、黒だの白だのミアだのメイだの。終始そんなノリで。

ただし、話としては単純でも、逆に単純だからこそ作り込みの深さが見どころになる、「カレイドスター」はそういうタイプ。見た目はともかく、中身については大の大人が鑑賞しておかしいものではありません。


てなわけで、大人の見方を少々こね回し。

これは要するに、「すべての理想論を肯定してまうぞコラ」という話です。夢や希望・努力・友情・家族愛、オーケーわかった、もうお腹いっぱいだと。現実はそんなに甘くないということは皆知っている。そしてまた、こういう話はそれでいいのだということも知っている。

ピーターパンとか白雪姫とかいった童話ベースの演劇やミュージカルが時に大人をも感動させるのは、別にあらすじがいい話だからではないでしょう。大人にとっては、予定調和のストーリーは単なるガイドラインであって、問題はその表現方法です。ストレートな筋立ての中でいかに娯楽性を高め、躍動感を与え、アドリブの芸を見せるか、というテクニカルな面白さを大人は要求する。退屈な白雪姫を、ただの白雪姫ではない何かに変えてしまう表現力に彼らは心を揺さぶられるわけです。

「カレイドスター」はそういうものに近い、いわば疑似舞台劇みたいなものじゃないかと思うんですよ。たとえば「ウエストサイド物語」とかのような。
「ウエストサイド物語」も、物語としてはつじつまが合っていさえすればよくて、あとはダンスや音楽といった観念的表現の力で成立している映画です。あんなひねりも何もない不良のいざこざ話ごときに大の大人が感動したりするのは、ひとえにダンス表現がもつ躍動性のおかげ。まさにリアルを離れたればこそ可能な技法といえます。もちろん、断じて「子供向け」などではない。

カレイドスターのあり方も、ある意味これと同じではないかと。芝居についてはリアルな面もあるとはいえ、本当の見せ場は常にそのリアルを越えた高みに置かれる。そしてそこへ到達するため、作品の内的論理を一貫させるために、現実では絶対に許されることのない過剰演出が用いられる。鉄球とか片足立ちとか嵐の海上綱渡りとか空中フェンシングとか。
リアリティは無論めちゃくちゃ、だがそれでいい。観るものが感じる快感の源はおそらく、そうした「リアルを越えて飛ぶ」プロセスだから。
そらもう、とてつもないパワーとスピードですよ。実写でやったら鼻もひっかけないようなめちゃくちゃなクライマックスで大の男がへぐへぐ泣いちゃうほどに。

まったく凄かった。リアルな表現でないことをこれほどありがたいと感じたアニメ作品も珍しい。

それにしても、主人公キャラと視聴者の距離管理にここまで神経を使っているTVアニメを目にしたのは、もしかしたら生涯初かもしれないです。この作品、ほとんど脅迫的なまでの勢いで視聴者を引きずり込もうとしてくるんで。最初の第1話、2話あたりではその勢いに恐れをなして、むしろちょっと引いてしまってました。作品のノリに慣れれば気にならなくなるけど。

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以下戯れ言。
「これがあったらいいのに」という要素をひとつあげるとしたら、フールがメインのエピソードをどこかに入れて欲しかった。ギャグ系で。
あとは、実現は無理っぽいけど、もう1クール使ってロゼッタ編をやってもらうとか。最終話の引きはおそらく、続編を意識したものでしょう。サブタイトルは「未来への翼」あたりか。

さすがにそこまでいくと、夢は夢のまま終わりそうな気配だが。

サントラって発売されてないんかな?めちゃほしいのに。音楽すげーよかったから。
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by umi_urimasu | 2005-05-16 03:16 | アニメ・マンガ
「象られた力」飛浩隆
a0030177_349495.jpg"伝説"ともいわれたSF作家の数少ない短編・中編集。なるほど、一種独特の残酷な美しさがある感じだ。端正にかたちづくった世界を、自らの手で無残にぶち壊す快感というか。
正直「伝説ってのはちょっと大げさじゃない?」とか思ったのも確かだけど、上手いとは思います。長編「グラン・ヴァカンス」も読んでみたくなったー。

鋭いのか柔らかいのか、はっきり形容しづらい文体なんですが、わかりやすい特徴としては、視覚だけでなく嗅覚・聴覚・触覚に訴える生理的な描写のリアリティかな。妙になまなましく、多用されるわけじゃないんだけど使ったときの効果は大きいという。一般にSFというと観念的な文章や視覚的な描写にとどまりがちな印象がありまして、その意味ではこれは珍種なのかもしれんなぁと思ったり。
少なくとも嫌いではないです、こういうの。

収録作品数は4本。なかなか粒揃いなので、個別に紹介しよう。

「デュオ」
シャム双生児の天才ピアニストの意識下に潜む第三の人格<名なし>。その素性に気づいたピアノ調律師は<名なし>を殺害しようと計るが、音楽とテレパシーの戦いが予想もしなかった惨劇を生む。いわば音楽犯罪SF。緊張や恐怖を味や匂いで表現する手法、音楽とシンクロしつつ高潮するクライマックス、ショッキングな結末など、練り込まれた文章・構成の上手さが光ります。短編集のツカミとしては最適な一品かと。
あと、ドイツ系サイコサスペンスってことでちょっと「MONSTER」を連想。

「呪界のほとり」
むー。画竜点睛を欠く。これさえ除けば、ものすごくS/N高い作品集なんだけど。

「夜と泥の」
年に一度の夏至の夜に泥の中から生まれ、月光を浴びて舞い踊り、また腐り落ちて泥に還る少女。惑星「ナクーン」の沼上に現出する幻想的な光景は、今はなき地球の娘の亡霊を称えるマイクロマシンの祭典だった。しかし、この壮麗な儀式にはもうひとつ、人類のあずかり知らぬ秘密が……。
目立った展開がないのでビジュアルで押し通すタイプの作品かと思いきや、そうは問屋が降ろさない。というか、もしかして常にどんでん返しを用意しないと気が済まないのか、このひとは?

「象られた力」
惑星「百合洋(ユリウミ)」が住民もろとも消滅して一年後、隣の惑星「シジック」では百合洋の図形アートが異常なほど流行していた。トップデザイナーの作品から露天商のアクセサリーまで、百合洋風エンブレムはあまねく惑星中に蔓延していく。しかしその図形には、「ちから」と「かたち」の根源的関係を人に認識させることで世界を破滅に導く鍵が隠されていた。収録作品中随一の視覚的インパクトを誇る、災厄と滅亡のスペクタクル。

個人的にいちばん上手いと思ったのは「デュオ」。
でもいちばん凄いと思ったのは「象られた力」。情け容赦のないカタストロフィと微妙なレトロっぽさが好きなんじゃ。ただ、ラストの後付けっぽいパートはない方がよかったかと思うのですが。

ちなみにブービー賞は「呪界のほとり」。
ま、どんな大作家にだって黒歴史はあるしな。

で、こちらは著者ご本人のWEBサイト。はてなだねえ。
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by umi_urimasu | 2005-05-11 04:06 | 本(SF・ミステリ)
「風来忍法帖」山田風太郎
a0030177_0332825.jpgわたしが訓練教官の風摩小太郎である!
話しかけられたとき以外は口をきくな!
口でクソたれる前と後に“御意”と言え!
わかったかウジ虫どもー!

さーいえっさー。


あの「忍法帖」シリーズを生み出した日本娯楽小説界の至宝、故・山田風太郎。僕などは去年初めて読み始めたばかりのにわか信者ですが、もうすっかり染まってしまいまして。関係各方面に多大なご迷惑をおかけしております。
ごめん。
まあ僕の場合、今までに読んだのが「甲賀忍法帖」「魔界転生」「柳生忍法帖」という押しも押されぬ傑作ばかりでしたし。その辺を汲んでいただいて、多少舞い上がりすぎちゃったりしてもどうかご勘弁を。

んで、今回は「風来忍法帖」なわけだが。感想を言うとしたら、とりあえず


神降臨。


ひれ伏した。拝んだ。随喜の涙を流しながら。そーりゃもー、紙面から後光がさすほどの神っぷりよ。
陽気で人情もろい寅さん系のノリと忍法帖本来の幻惑的な世界を見事に融合させた画期性、完成度の高さ、バランスの良さ。確かに、どこを取ってもすばらしい出来でした。実際、「笑える忍法帖」というある意味かなり異色の作品であるにもかかわらず、本作がシリーズ中で一番好きだという人の割合いも相当なものらしい。
しかし思うに、やはりこの作品において読み手に最大の衝撃を与えるのは、その中に注ぎ込まれた膨大なアイデアの数、そして密度ではないでしょうか。

もう、信じがたいほどの物量なんだよー!

普通ならそれ一個で一冊書けるはずの鋭いアイデアが数えるのもアホらしいほど大量に投入され、そのたびに物語がまったく予想外の方向へと流れを変えていく。しかもイントロからエピローグまで、物語進行の爆発的なスピードは一瞬たりとも減じない。これを途中で投げ出せる読者がいたらお目にかかりたいっていうぐらいの、果てしなく美しい流れ。

圧倒的でした。単位字数あたりのアイデア密度を計算すれば、おそらく並の小説の十倍、いや五十倍か、とにかくとんでもなく高い値をはじきだすに違いない。
人間業じゃないですよ。いったいなぜこんなことが出来るのか、まったく理解を絶する。



──時は戦国時代。
風雲急を告げる武州の地で荒稼ぎを繰り返す、その日暮らしの香具師(やし)の一団がいた。個性豊かな彼ら七人、名前はそれぞれ七郎義経、弁慶、陣虚兵衛、夜狩のとろ盛、昼寝睾丸斎、馬左衛門、そして悪源太助平。
香具師というのは流しの薬売りのことなんだけど、実態は要するにチンピラ詐欺師です。サギ師なので剣はいまいち、腕っ節も十人並み、もちろん忍法なんか使えないまったくのノーマルヒューマン。それでも彼らは、奇天烈なアイデアと持ち前の話術を武器に、大名から忍者軍団まで口八丁手八丁でかつぎまくって涼しい顔。突拍子もない活躍ぶりは、言うなれば「戦国版ルパン三世」。

ところが彼らの目的は、えー、なんというかな、今の常識に照らすとかなりアレっぽいことで。
つまり、北条家に輿入れしたばかりの可憐な美少女・麻也姫様にぞっこん岡惚れしてしまい、夜這いをしてでもその思いを遂げんものという。
ぶっちゃけて言えば、いわゆる「勾引し」。
もっともっとぶっちゃけて言えば、みせいねん・らち・あんど・ふじょぼうこう。


ダメだろそれ。人として。


まあとんでもない話だな。でもめちゃくちゃ楽しいのよこれが。
あ、勾引し行為がじゃないよ。物語がね。
次から次へと急転するストーリー、飛び交う奇怪な忍術や計略、あっと驚くだましのトリック。七人の香具師たちの破天荒な生きざまも痛快無類なら、豊臣秀吉の大軍勢に対してちっぽけな城を健気に守ろうとするヒロイン・麻也姫のかわいさも破壊的。しかし圧倒的戦力差の前に北条方は敗色濃厚。類い稀なる美貌の姫を秀吉への供物に捧げようという風摩忍者組の陰謀を知り、七人のへっぽこナイトは決死の覚悟で風摩忍法に立ち向かうが……。
見よ、前半の陽気なルパン三世ノリから一転、怒濤の修羅場コンボが炸裂する驚愕の展開をー!

未曾有のハイテンションでくり広げられる殲滅戦。

手足をもがれ、全身から血という血を流し尽くし、それでも彼らは笑いながらうそぶく。

俺の屍を越えてゆけ、と。

燃えた。はっきりいって今まで読んだ忍法帖シリーズの中でいちばん燃えた。


他のシリーズ作品とは一線を画すポジティブな作風ながら、素っ気ない史実の「裏側」にわずかなほころびを見い出し、そこに誰ひとり想像すらしなかった豊穣な物語を与えて「裏日本史」をぬけぬけと作ってしまう、その魔術的作劇に一片の翳りなし。
「風来忍法帖」もまた、まぎれもなく忍法帖世界の精華といえるのではないでしょうか。

まあ余人が何と言おうと、個人的にこの作品めちゃくちゃ好きだから。


───
余談。
風来忍法帖を映画にたとえてみるとですね、香具師たちのユーモラスな小悪党ぶりは、黒澤明の「隠し砦の三悪人」などに近いかもしれないなと。あるいは、命がけで戦う姿は「七人の侍」に。そして作中に出てくる忍者学校の特訓シーンは、時代劇版フルメタルジャケット。これはまんまFMJ互換で笑えた。
しかしそこはやっぱり忍法帖でして、猛特訓のあとはごほうびとして落花狼藉酒池肉林の大乱交タイムがあったりするわけで。10Pや20Pは当たり前田のクラッカーヴォレイじゃよ。さらにバルトリン腺液ねっとりたっぷりの忍法恋さみだれは、アロンアルファすら凌駕する神秘のケミカルマジック。
これが神の思考である。恐れ入ったか現代人。

ま、恐れ入るわなぁ、普通。

というわけで、超の上にも超がつく驚天動地の忍法活劇、これを読まぬは一生の損。お代はたったの1020円ぞ。安い!安すぎる!
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by umi_urimasu | 2005-05-05 00:44 | 本(others)
ペテン師たちよ、死に候えッ
「柳生忍法帖」の漫画化(せがわまさき)が始まってます。話はちょうど、千姫が登場したところ。「甲賀忍法帖 バジリスク」のアニメ版もそこそこいい出来らしい。んー、重畳の至りじゃ。

まあ当地では例によってお兄ちゃんどいて電波とどかない状態なわけだが。

小説の漫画化・アニメ化・映画化に際しては、もとが名作であるほど批判も激しくなるということがままありますが、「バジリスク」はわりあい原作ファンにも好意的に受け入れられているっぽい。もしかすると、新しいファン層による再評価の声が大きいからそういう印象を受けるだけなのかもしれないけど。
でも実際、けっこういい線いってると思います。えろさとかっこよさのバランス加減とか、視覚的なわかりやすさとか。漫画版、霞刑部(だったっけ?うろおぼえだ)が船の上で姿を消したりしてた辺りまでしか見てないなあ。買おうかなぁ……

しかし忍法帖の真の凄みを味わうには、やはり山田風太郎のオリジナルテキストに当たるのがいちばんよい。これは絶対の確信です。もー、ぶっちぎりで最高だから。

そんなわけで、ついに手に入れた。次はこいつと心に決めていた一冊を。


『風来忍法帖』


面白すぎ!面白すぎ!面白すぎて気が狂う!!




麻也姫どの好きじゃ───!!



ふあぁ……桃源郷だぁ……

もうだめ……かなり逝っちゃってます……

父よ母よ、ありがとう。日本人に生まれて本当によかったよ。
だって忍法帖を母国語で読めるもん。


───
アッパーズにヘルシングOVA化って書いてあった。わざわざ『原作版』とはっきり。どうも言外に言いたいことがあるようだな。
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by umi_urimasu | 2005-05-01 19:28 | 本(others)