カテゴリ:本(SF・ミステリ)( 122 )
「はるかな響き Ein leiser Tone」飛浩隆
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楽しみにしていた『Answer Songs』企画の短篇第一弾が公開されました。飛浩隆氏ご本人のサイトでもすでにアナウンスされています。いざや飛ファンよ、こぞりて読みにゆかん!

というわけでさっそく読んできたでござる。
はるかな昔、ヒトは進化の途上で知性という宝を手に入れた。だがその代償として、彼らはある大切なものを永遠に失うことになった。かつて一心同体であったはずの、懐かしい原初の〈響き〉。この宇宙のすべての知性が、ひとしく焦がれ追い求める〈響き〉。そのかすかなエコーを聴き取るために〈スウォームキャスト〉は開発されたのだ。しかし今、この荒れ果てた惑星で、何者かがスウォームキャストに奇妙な細工をほどこした痕跡が見つかり……。
意識とは何か。その輪郭をどうにかしてとらえることはできないのか。いわゆる認知的閉鎖の問題からスターチャイルド爆誕(?)までスケールが大きく飛躍する、知性テーマのSFとしては王道をゆく作品です。ただし、「音楽」や「味」や「死」の細やかな表現によって喪失の哀しみを強烈に際だたせているのがいかにも飛浩隆らしい。

アーサー・C・クラークへの真摯なオマージュとして、名作「2001年宇宙の旅」に認知科学的な新解釈を加えたアナザーストーリーとして、飛ファンにとっては「廃園の天使」の続編が出るまでの栄養補給のチャンスとして。SF好きならばチェックしておいて損なしの一篇といえましょう。無料だしね。
公開期間などは明記されていませんが、もしかしたら期間限定コンテンツかもしれませんので興味のある方はお早めに。

以下余談。
意識とか自我とかいったもののはたらきが、じつは人間の活動においては大したウェイトを占めていない。という話は、伊藤計劃の「From the Nothing, with Love」でも使われていて、つい先日もほうほうと感心していたところでした。「ラギッド・ガール」もそっちの領分のネタをいろいろ扱っていて、作中で人間の意識は「差分」しか感じ取れないっていう説が出てきます。網膜に映る映像を固定すると人間は一瞬で目が見えなくなってしまうとかね。ドラホーシュ教授に言わせれば「意識は構造ではなく現象だ。パラパラ漫画がなぜか動画として成り立っているようなものだ」つーことらしいですが。
アニメにたとえると、普通の人間が「動いてるナー」と感じてそれで終わるただの観客だとすれば、阿形渓さんは一枚一枚の絵をすべて脳内倉庫にストックしておいて、いつでも任意の一枚を取り出したりシーンを再生したりできるディレクターみたいなものか。

ちなみに映像記憶 - Wikipediaには、ヒトの映像記憶は「幼少期には普通に見られる能力」って書いてありました。まじか。知性の代償以外にもいろいろ失ってるんだなーもー。

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[ニコニコ] Queen - LIVE AID 1985
人類の規格外、フレディ・マーキュリー。こんな人間がほんとにいたのかと、映像を見てさえなんか信じられないような気分
[youtube] Queen - Live At Wembley Part 01
同じくクイーン、ウェンブリー1986。LIVE AIDのほうが声の出はいいっぽい?

[ニコニコ] 子安武人にアイドルマスターを実況プレイさせてみた
サムネの御大将閣下に釣られざるをえなかった。オーディションで月光蝶呼ぶんじゃない!

“文豪の名作”ד人気漫画家”!川端康成『伊豆の踊子』の表紙カバーを荒木飛呂彦先生が手掛ける
僕がもってるのは古い集英社文庫版でした。カバーだけ荒木版と取りかえたい……

電脳コイルナイト - END_OF_SCAN
すげえ。あとで読む

[ニコニコ] ∀キプロガンダム  vol.2
エキプロでターンエーせいいっぱい再現動画。ローラにおっぱいが!ユニヴァース!
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by umi_urimasu | 2008-06-21 14:10 | 本(SF・ミステリ)
「エンディミオン」(下) ダン・シモンズ
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a0030177_0482816.jpg小説に対し、「どこを楽しむか」「何を期待して読むか」という読み手のスタンス、事前の心がまえによって、同じ小説でもその読み心地はまるで別の作品かと思えるほどに変化する。そんな経験を、本好きならば誰しももっていると思います。僕もこれまでに何度となくそういうことをくり返してきました。多くの場合、それは見当ちがいな方向に期待をかけてしまって空振りをかまして消沈する、というネガティブな形ででしたが。その結果得られた教訓が、

「大抵の小説は、あらかじめ期待したものとはかけ離れている」
「続編を読むときは前作と比べるな」

思えば、今回「エンディミオン」の上巻を読み始めたときも、僕の胸中は「もう一度ハイペリオンと同じ感動を!」という狭い期待感でいっぱいになっていました(→上巻の感想)。おかげでハイペリオンのような重層性をもたないシンプルなストーリーに対して、無用の不満をもてあますはめになってしまったわけです。その反省から、この下巻を読むにあたってはとにかく素直に、描かれるままを受け入れよう、もし上巻のように定石通りの冒険活劇に徹した内容なら、こちらもそれに応じてハリウッドアクションばりに脳ミソ空っぽにして楽しんでやろう、というのを心がけてみました。結果は上々。
かつて星から星へ一瞬にして人々を運び、銀河連邦の繁栄を支えた驚異のテクロノジー、星間転移ゲート。連邦の崩壊以来、数百年もの間沈黙していたそれらの門が今、ひとりの少女を通すためだけに次々と開きはじめた。誰が、どこへ、何のために、彼女を導こうとしているのか。尽きせぬ謎を抱えたまま一行は旅をつづける。だが彼らはまだ気づいていなかった。あの〈シュライク〉すらしのぐ力をもつ恐るべき暗殺者が背後に迫ってきていることに――。
てな感じのノリで、さまざまな自然の驚異に満ちた星々を、ロール、アイネイアー、A・ベティックの三人組は手づくりの筏で乗り越えてゆきます。そこにハリウッドライクな意味で期待通りな試練が次から次へと、まるでわんこそばのように投入されると。中でも一番凄かったのがアレですね。あのターミネーター子さん。なんかもう、プッチ神父のメイド・イン・ヘブンとディアボロのキング・クリムゾン能力を両方かねそなえたT-2000みたいなやつでした。どないやねん。それがアイネイアーの首を刎ね落とそうって追っかけてくるの。シュライクとかひとひねりなの。

いやほんと、ハリウッド顔負けでしたわ。べつに皮肉じゃなくて、エンタメの王道って意味で。

ちなみにこの「エンディミオン」は、前作までを読んでいない人でも一応は大丈夫なように配慮して書かれているようです。しかしあくまで一応です。人類を滅ぼそうとしているらしい超AI群=〈テクノコア〉の真の目的とか、さらにその上位にいるらしい謎の存在とか、めったやたらに張りまくられた伏線は「エンディミオン」の中では何ひとつ、まったく何ひとつとして回収されません。いさぎよいほどのまる投げっぷりです。もちろんこれは構成が半端なのではなく、「エンディミオン」と「エンディミオンの覚醒」は単に製版の都合で上下巻に分かれただけのひとつづきのお話であり、すべては「覚醒」でケリをつける(はず)、という意味です。この点は前作を読んでいる人なら了解済みでしょう。

僕が初めてハイペリオンを読んだときはそういう事情をまったく知らなかったので、とにかく驚きましたが。ここで切れてるのかよ!って。あのときの衝撃は、たとえるなら、目をつむって断崖絶壁から踏み出してしまったときの落下感にも似たような……。いや、誇張じゃないと思う。それぐらいの勢いで落ちた気がする。

もうあんな思いはしたくないのう。

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『図書館戦争』と”不気味の谷” - 三軒茶屋 別館
言いたいことの方向性はわかるけど、「不気味の谷」のアナロジーはちと苦しいような気が…。

[ニコニコ] タグ検索 めるりP
自分で巡礼用。今までずっとぬるりPだと思ってました

サイバーパンクの傑作ってなんですか?:アルファルファモザイク
72 名無しは無慈悲な夜の女王 :02/10/21(月) 18:16
すっごい先行していた埋もれた名作『神鯨』を推す。/
ベスターの霊がスクリプトを書いたジブリ作品みたいな。/
深海から引き上げられた自動販売機(牝)が主人公を誘惑する場面とか、
ネット上の定期人気投票で、5票を割ると追放される社会とか、
神鯨のセンサである鋼鉄三葉虫のこどもが、肉体労働系の巨人ロボットに
「機械としてのしあわせ」について諭されるシーンとか、/
公園を散策したときの、料金の単位が「526フットプリンツ(足跡)です」とか
T・J・バス「神鯨」、すごく読んでみたくなった。探そう。

皆川博子講演会 @同志社大学
もう明後日ですね(あ、いま6/12)。にしても、5時間て!どんなプログラムだ。僕は行けないので詳細レポをあげてくれる人の出現を切に望む。

『Answer Songs~作家と科学者の対話が生んだ短篇~』がスタート
飛浩隆 『はるかな響き Ein leiser Tone』 6/20(金)
円城塔 『さかしま』 6/27(金)

感動の前に塗りつぶされる敗北の事実――『とある飛空士への追憶』感想
(注)ネタバレあり。絶賛派と否定派があのラストをそれぞれどう評価したか。コメント欄でクリティカルな議論がなされています。
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by umi_urimasu | 2008-06-10 01:48 | 本(SF・ミステリ)
「エンディミオン」(上) ダン・シモンズ
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a0030177_0145343.jpg
我々はこの老人を知っている!いや、その不敵なまなざしと口の悪さを知っている!
我々はこのアンドロイドを知っている。その青い肌と慇懃な物腰を。
我々はこの宇宙船を知っている……そのかつての持ち主と、彼が愛したピアノの音色を。

そう、これは物語が伝説となった時代に始まる新たな物語。銀河全体を震撼させた最後の巡礼の事件より三百年後、老詩人の頼みを受けて青年ロール・エンディミオンは惑星ハイペリオンをあとにする。〈時間の墓標〉の中から現われた少女――いずれこの世界の救世主となるべき存在――を、襲い来るパクスの手から守りぬく使命を帯びて。だがそこに突如、あの恐るべき〈殺戮者〉シュライクが立ちはだかった!
と、できるだけ景気よく紹介したかったんですが、残念ながらそういうわけにもいかなくなりました。現段階では、つまりこの「エンディミオン」上巻にかぎっていえば、正直微妙と言わざるをえない出来ばえだったからです。「ハイペリオン」と「ハイペリオンの没落」で見せてくれた、一糸乱れぬオーケストラの演奏にも似た壮麗な人生劇場のハーモニー、あの美しさはいったいどこに消えてしまったのでしょうか。延々500ページにわたってだらだらとつづく、これなんてスターウォーズ?と皮肉のひとつも言いたくなるような陳腐な逃避行ごっこが、どうしてハイペリオンの続編でなければならないのでしょうか。

本来なら、ひとが勝手に書いた話を勝手に読んでいるだけの僕が作者に責任を問える筋合いではありません。しかしあえて、筋ちがいを承知であえてひとこと文句を言わせてもらいたい。

ダン・シモンズさん!あなたこれ、ぜんぜん本気出してないでしょう!

プンスカ。

ちょっと悪く言いすぎました。これは僕が抱いていた過剰な期待の反動で、ことさら出来が悪いように思い込もうとしているせいもあるのだろうと思います。ハイペリオンと比べながらではなく、これ単独でひとつの未来冒険譚としてニュートラルな状態で読んでいたら、十分すぎるほどの良品という評価になってたのではないかなーと。

余談。
「ハイペリオン」と「没落」では登場人物たちのたどる運命がけっこう壮絶で、ネタとして笑えるようなところはあまりなかったように記憶してるんですが、「エンディミオン」はその点ややユーモラスというか、こう言うのもなんだけど、よりバカっぽい話になってる気がします。たとえばホーキング航法をやると船の超加速のGのおかげで乗員が分子厚のペーストになってしまうとか。つまり、デ・ソヤ神父大佐がアイネイアーたちの行く手に先回りするためには毎回ぺちゃんこにならないといけないわけです。本人はもちろん悲壮な決意でやってるんだけど、それにしても潰れすぎだろ。ほんとご苦労様ですね。神父がこんなにぺちゃんこでがんばってるのに、あいつらときたら無重力水泳にキャンプファイヤーに河下りってもうなんかUSJばりのアトラクション三昧だもんな。まるっきり夏休み感覚ですよ。まったく腹立たしいっすねえ。はい、エンディミオン(下)につづく。

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ナチスが発明したものの一覧 : ロケスタ社長日記
あの時代に公衆テレビ電話って。ナチスの科学力は世界一、できんことはない!とシュトロハイムがあれほど威張っていたのもこれだけの業績があればこそか。

世界で初めてつくられた自販機はどのようなものですか?
紀元前のエジプトに、すでに自販機が。コインの重みに応じて聖水が出るというものだったそうです。アレキサンドリアの科学力は世界一!でき(ry

現代からしてみれば驚く江戸時代の技術
江戸幕府の科学力は(ry

[ニコニコ] ブロリープロデューサー タキシード真 スイーツフォレスト
安心のブランド、マンタP

[ニコニコ] 機動紳士 シャアプロデューサー 「敵の補乳艦を叩け」
これも期待のコミュ系シリーズ。(´;ω;`)ウッ…P、とかち祇園精舎の人だったのか
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by umi_urimasu | 2008-06-05 01:09 | 本(SF・ミステリ)
「復活の日」小松左京
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a0030177_13183931.jpg西方にクラークあり、北方にレムあれば、東の果てに小松左京ありてふ。世界各国語に翻訳されて不倒の評価を獲得した、これを読まずして何をかいわん的な小松左京の代表作です。読了したのはしばらく前で、さっき感想を書くために再度ぱらぱらしてみたんですが、初読み時の消耗を思い出して床に伸びてしまいそうになりました。


おそらく世界中を見わたしても、ここまで見事に「理詰めで人類を絶滅」させてのけた小説はいまだ数えるほどしかないのではないでしょうか。あらゆる分野にわたる膨大な教養に裏打ちされたシミュレーションは、まるで詰め将棋のような冷徹さで読み手を追いつめ、いかなる口ごたえも許しません。死にます。完膚なきまでに。ぐうの音も出ないとはまさにこのことです。

現在のテクノロジーでもたぶん、実際にちょっとの工夫とちょっとの手ちがいがいくつか重なりさえすれば、今からはじめて来年か二、三年後ぐらいにでも人類なんていとも簡単に滅亡可能なのかもしれない。別にそう大層なことじゃないような気もします。少しスケールを変えれば自然界で毎日のように起きている、ごくありふれたサイクルのひとつにすぎないわけだし。
しかしそのようにはかないものだからこそ、己をかけがえのないものと思うのが人間であり、もったいないからせいぜいがんばって生き延びようとするのがすべての生物のサガというもの。そういうふうにできている以上、これはもうしかたがない。まったく宇宙というやつは、何から何までよくできていると言わざるをえません。そう考えるとビッグバンGJ。


ところで近頃は、SFのシェアがラノベに食われてもう商売にならないとか、かつて一部で議論になっていたというSF冬の時代論だとか、いやその前からとっくに死にかけだったとか、SFを主食とする人たちが畑の不作を嘆く声が絶えずつづいているようです。でも、そうやってすぐ日本SFの凋落っていうけど、いったいいつと比べてだよ。という反問が、こうして小松左京作品などを読むと思わず浮かんできてしまうんですが。多少大げさかもしれないけど、小松左京みたいなのはもう50年に一人現われてくれればラッキーと思うぐらいでちょうどいいんじゃないかと。だいたい、小松、星、筒井クラスの作家がひとつのジャンルで10年や20年ぽっちの短期間にポコポコ出てくるのが普通だなんて思う方がおかしいんだ。常識的に考えて。あのレベルの人たちは、いうなればまあ、超新星爆発みたいなものでは。

もし僕の運がよければ、一生のうちにそうした星の光の奔流をリアルタイムで浴びる機会もあるでしょう。その前に「復活の日」みたいに人類が風邪をこじらせて絶滅しちゃったりしなければ、ですが。

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ヴァンパイアバンド一つの結末 - 環屋
単行本5巻待ち。笑える一話完結の方を心待ちにしております

100万人が住む、火山型の巨大タワー都市構想:日本の『X-Seed 4000』など | WIRED VISION
ドルアーガの塔、ってレベルじゃなかった。すごすぎる
ポストしたのはブルース・スターリングって。

CDを電子レンジでチンしてみる : Gizmodo Japan
なかなか美しい。ひとつの何かがすべてを統べそうな。

本屋で立ちぱら。文庫版の「ベルカ、吠えないのか?」には犬の家系図が付いてますね。もともとは百年の孤独にならって系譜類は載せずの方針を採っていたらしいのですが。よほど家系図を望む読者の声が多かったとか?
CHUO SPECIAL RAPID » おせっかいな人間がイヌに家系図を書いてやる
以前にベルカの感想書いたときからアドレスが変わってた?ようなので、再貼り。

見てから読む?映画の原作 : 【映画】フィリップ・K・ディックの「ユービック」、映画化へ

[ニコニコ] 南斗のP レイプロデューサー 美希 ライブ(デパート屋上)
ヒャッハー!死兆星が落ちてきそうにありません
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by umi_urimasu | 2008-05-31 13:55 | 本(SF・ミステリ)
「スカイ・クロラ」森博嗣
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南雲隊長を女の子に変換してみた!かわいい!以上!

ぶっちゃけ上の一行だけでこの作品について言いたいことは言い尽くした。
以下はほとんど余談。

a0030177_13444983.jpg森博嗣といえばミステリ畑で有名な人ですが、これはミステリにあらず、戦争を生業にする子供たちの醒めた目線で彼ら自身の生死について淡々と書き綴られたモノローグ小説です。
とりあえず僕にとっては初めての森博嗣作品。「手なれてるなあ」というのが第一印象でした。短いセンテンス、癖のない一人称描写、適量の空戦アクション、「キルドレ」の生死観をさらりと伝える子ども哲学語り。説明を省けるだけ省いて示される、それなりの謎と解。出す情報にいちいち無駄がない。読みやすい小説の書き方するなあ、と思いました。

この計算された無駄のなさは、工学部出の人が道具に求める機能美に近いのかもしれません。こういうのも嫌いではないです。ただ、そうやって咀嚼の労なしにつるつる読めてしまう言葉は個人的には物足りなくもある。僕はどっちかというと、正体不明の異様なものが宿っているせいで日本語としては読みにくいような小説のほうが好きらしいからです。宮部みゆきとかを読んでて、技術がはんぱでないのはわかってて、そのあまりの読みやすさを張り合いなく感じてしまうのと根は同じかもしれない。

あと、「キルドレ」というネタについては、ちょっとした空振り感を味わいました。わりとありがちなメトセラっ子ものだと判明した時点で張っていた気がやや抜けて、その後も再充填されないまま淡々と話が終わってしまったので。徹底的に背景説明を省いた語りが、なにか驚天動地の裏事情を伏せておくための手だと勝手に思い込んでいた僕の勘ちがいでした。「森博嗣といえばミステリ、そしてミステリといえば驚くべき真相」という先入観にとらわれていたせいでしょうか。
でもあれだけ謎めかされたら普通、誰でも身構えると思うがなあ。

まあ、こうした手さぐりや空振りも初読ならではの読み心地というものだし、これで「いまだに森博嗣一作も読んでない」という面目の立たない状態からは脱することもできたし、一発目としてはなかなか悪くない体験だったかと。

その他、余談の余談など。
文庫版の解説は鶴田謙二。ノベルス版の表紙イラストもこの人。
文庫版表紙は見てのとおり青ベタ一色でイラストなし。僕の場合、ないのがよかったようです。先に見ていた押井守の映画の予告編が脳内に残っていて、ややそっち寄りの脳内イメージで読んでて終始いい感じだったので。草薙水素はベリーショートよりもおかっぱのほうがいいし、プロペラ機はリアリスティックで武骨なほうがいいし。鶴田謙二の絵だと、どうしてもファンタジックな柔らかさが入ってしまうんですよね。

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[ニコニコ] ペンギン ―GONG―
かっこよすぎるペンギン動画。軽がると10万再生突破してた

[ニコニコ] アイドルマスター『おはよう!!ROCKETご飯』
ものすごい勢いで朝ごはんを食べたくなる動画

[ニコニコ] 【ハルヒ】レッド・ツェッペリンがGod Knowsを演奏したようです【MAD】
いつもより多めに爆発させております。何回見ても 3:40 のテルミンで吹く。

[ニコニコ] 【手書きMAD】 メタルギアソリッドでルパン三世OP 【GIFアニメ】
センスとテクニックの塊。これをマウスで描いたなんて

[ニコニコ] アイドルマスター ひざしの奥のハッピーハート / バストアムーブ2
歩かせM@STERの名をほしいままにする慈風P新作
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by umi_urimasu | 2008-05-17 15:25 | 本(SF・ミステリ)
「兇天使」野阿梓
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a0030177_23585454.jpg飛浩隆の激賞に後押しされて購入。元ネタであるシェイクスピアのハムレットはずいぶん昔に挫折してそれっきりでしたが、これは予備知識がなくてもがんがん読める。神話の中の神々や天使たちが、人類史のあちこちに時空を越えて顕現しては壮絶な戦いをくり広げ、どろどろの愛憎劇に溺れながら史実と虚構が混濁してゆくという、途方もないスケールのメロドラバトルSFです。どこがハムレットですかこれ。というか、演目はハムレットなのに上演されたのは「百億の昼と千億の夜」じゃねーかこんちくしょうもっとやれみたいな感じですか。

もともとは1986年に発表された作品で、今回のは新装版とのこと。これを「80年代っぽい」と言っていいのかどうかはよくわかりませんが、メタリック&インモラルな官能の匂いが強烈に香るこの「いけないSF」感は、個人的にもっていた80年代SFのイメージそのものです。こういう麗々しくて淫靡な80年代娯楽SFのイメージをイメージでしかもってないのは、僕がその頃はまだ年齢的に子供すぎた(したがって読んでもいなかった)からか。時期的にはこれよりもしばらく後、80年代末ごろからようやく僕も色気づいてきて、アキラとかファイブスターとかのちょっとあぶない描写でフンガーとかなっていた覚えがあるのですが。

ともあれ、そのようなイメージが形をとって現前したこの「兇天使」。不貞、背徳、禁忌、頽廃、その他もろもろの美しくも反倫的なものをぶち込んで煮込んだ闇鍋のような、悪の魅力がたっぷり詰まった小説です。もちろんいうまでもなくエロス全開です。地上界に降りた天使の化身たる超絶美丈夫、美少年たちが、切なげにくんずほぐれつ手とり足とりアッー的な場面が全編これてんこ盛り、あふれ飛び散る汁また汁。
汚れ、狂い、堕ちつづける追跡劇の果てに、かの天使はいったい何を得、何を失い、何者になったのか。ラストも熱いです。あちち。というかこれ、ある意味BL万歳小説だよなあ。

神や天使が現世に乱入して黙示録的なバトルを演じたり、黒皮ジャンパーの美貌の天使にモンスターバイクがよく似合ったりするような、そんな世界観をもし漫画作品にたとえるなら、近しいのはたとえば萩原一至とかでしょうか。中身はともかくビジュアルイメージはけっこう似合いそう。少年愛要素についてはやおいとか少女漫画の得意分野なのかもしれませんが、僕はその方面にうといのでよくわかりません。やっぱり流派竹宮惠子とか?

巻末の解説にもちょっと書かれているように、歴史小説、推理小説、演劇などのスタイルを継ぎあわせたメタフィクションっぽい構成も読みどころのひとつです。もちろん、ただの文章遊戯ではなくて、天使の人間化と虚実の融合をひとつの物語にまとめる目的のために取られた手法なのでしょう。うまいことを考えるものです。少々やりすぎっぽい箇所も一部あるものの、それはそれでネタとして笑えたのでよしと。ちょっとくらいの統制の乱れなど問題にもならないほどに作品全体が大規模で破天荒だからこそ、そんなやりすぎができるのかもしれませんが。

ごった煮小説としての食いごたえ、カオティックな面白さ、耽美性に関しては、ボリュームもインパクトも十二分な作品でした。おなかいっぱいだ。

この「兇天使」を読んだ昨日の今日で、ちょうど魔王さんがハムレットを読まれていたようで。
原典の知識なしで読む人と、元のあらすじを知ってから読む人とでは、たぶんメタ部分の見え方がかなりちがってくるのでしょうね。僕はいまだに、どこまでが史実でどこからがハムレットでどこが「兇天使」オリジナルなのかいまいち把握してません。わからんほうが楽しいんじゃい。というのがハムレ読まない言い訳。

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[ニコニコ] 北斗のP ケンシロウプロデューサー 千早「写真撮影(写真集)」
コミュ動画のポテンシャルを限界まで引き出す驚異の編集力。「お世話になりました」「ぬ゛ああっ」で腹筋切れました

[ニコニコ] 【MAD】 Fate/stay night Fate/s.CRY.ed
むりやりキャスティングなのに作り込みが鬼。橘がセイバー?あ、絶影か…
(追記)無断転載でMAD原作者が怒ったらしく自主削除。元動画のある本家はここ→狗の足跡

[ニコニコ] ARToolKitで初音ミク(その5):影をつけてみるテスト
廃園の天使つながり。飛浩隆さんが嬉しそうに動画ヲチしてるのがなんか微笑ましい

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漫画をめくる冒険」読んでみたいけどなんか入手困難ぽ。

荒木飛呂彦インタビューより、「ジョジョ」の丸いコマについて
丸いコマに見る、荒木飛呂彦の天才性
変形ゴマの多用は、キャラやフキダシが入らないからコマの方を変形させているということらしい。
丸ゴマがまるい理由はとても単純だった
>丸いからどこにでも入るんですよ、アレ
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by umi_urimasu | 2008-05-12 00:08 | 本(SF・ミステリ)
読もう!伊藤計劃 「From the Nothing, with Love」
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a0030177_0154467.jpg「From the Nothing, with Love」伊藤計劃 (SFマガジン2008年4月号掲載)。

うわ面白。メタルギアソリッドのノベライズの刊行はまだしばらく先なんですが、虐殺器官につづいてこんなのを書かれるともう、出る前から傑作認定したくなってしまいます。読んでよかった。素直にそう思う。

例えるなら私は書物だ。いまこうして生起しつつあるテクストだ。
私は以下の記述を生み出すよう育てられたアルゴリズムだ。凡百のソフトウェアに比べれば恐ろしく複雑ではあるが、そう機能するよう記述された存在であることに変わりはない。書物を生み出す書物。だから、これから書かれる文章がいささか皮肉めいていて、あるいは感傷的に見えたとしても、そこにはいかなる内面もない。そう解釈できる、純粋な出力があるだけだ。
そのうえでこう言わせて欲しい。
私の魂に安らぎあれ、と。
のっけから円城塔ライク、というより神林長平オマージュな言上ですが、中身はSF+哲学+推理サスペンスの要素を融合させたスパイ小説。スタイルはやはり「虐殺器官」によく似ています。

主人公は、意識をデータ化してバッククアップをとる技術により、何度死んでも別の人間の脳に再生されて任務をこなしつづける英国スパイ。彼がふとしたことから自己の意識の存在そのものについて疑いを抱き、絶望に落ちてゆく過程が、ミステリでいう犯人探しのストーリーラインにうまくシンクロしながら描かれていきます。
己の意識の不在証明を眼前に突きつけられたとき、哲学的ゾンビの生き証人(?)たる彼はどのように苦悩し、あるいはしないのか。イーガンをはじめSF界隈ではわりと今さらな題材なのですが、この作品では「人間は多くの行為をじつは意識に依らずに行っている」ところに話を立脚させているのがミソでしょう。ベンジャミン・リベットの実験のくだりとか、僕などは脳内へえボタン連打しまくりでした。

「虐殺器官」にしても、この「From the Nothing, with Love」にしても、基幹となるアイデアだけを見るならずば抜けて斬新というわけではありません。僕がSF的なスリルを感じるのは、どうも支援ロジックの使いかたとかそのあたりのようです。「思考の装飾」の部分とでも言ったらいいのかな。たとえばウィリアム・ギブスンがありふれた風景やガジェットをまったく異質な言葉で言い換えることによって新しいイメージを生みだす、いわば言語のコラージュ作家だとするなら、伊藤計劃はある考え方を別のさまざまな考え方の組み合わせに置き換える技に長けた、「思考のコラージュ作家」とでも言いましょうか。そこらへんが僕の場合はすごくアンテナに反応するらしい。

あと、伊藤計劃作品といえば広範にわたる元ネタ探しも楽しみどころのひとつですね。今回は舞台と話のカラーに合わせてか、アガサ・クリスティ、モンティ・パイソン、ウィリアム・ブレイク、007シリーズなどなど、かなりイギリスネタに統一されているようです。人格コピーネタが、同じキャラクターの設定なのに主演俳優が変わると姿が別人になってしまう映画の007シリーズのメタパロディになってたりとか皮肉すぎる。

ちなみにこの作品が掲載されているSFマガジン2008年4月号には、円城塔の「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」も載っています。こちらはガイドラインコピペのパロディです。
あえて言おう、テラバカスww

そんなこんなで、伊藤計劃でしんなりして円城塔でコーヒー吹いて後味すっきり。一粒で二度おいしい、よき読書体験でした。

ところで、この「From the Nothing, with Love」とほとんど同ネタで、テッド・チャンも行為が意識に先んじるアイデアを用いた「予期される未来」という作品を書いています(SFマガジン2008年1月号)。こいつがまた、たった2ページの掌編なのに超ド級の傑作なのですが。テッドチャン天才だろ。この日曜天才作家め。せめて発表ペースを半年に一作ぐらいにしてくれと言いたい。

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[画像] コナミゲームブックシリーズ メタルギア
これはなんたるむくつけきスネーク

書いた内容を検索可能で、どこに貼ったのかもわかる付せん紙「Quickies」 - GIGAZINE
何か、何かすごいことに使えそうな予感。何かわからんけど。

日本語の弱点ってどこだと思う?:VIPPERな俺
これだからいいんですよ、これが

[画像] 深海生物ダンボ・オクトパス
http://blog-imgs-11.fc2.com/n/e/w/news23vip/uporg874056.jpg
かわい…いのかかわいくないのか? 20cmという微妙なサイズ

[ニコニコ] 菊地真のボンバヘッ!
補完キタ

[ニコニコ] im@s Unkou Survival Championship だいたい15秒決勝
補完待望
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by umi_urimasu | 2008-04-29 00:35 | 本(SF・ミステリ)
「とある飛空士への追憶」犬村小六
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a0030177_0323940.jpgラノベ系書評サイトで軒並み絶賛されていたので読んでみたけど、まったく受けつけなくてぐぼあ。という、最近の僕がよく陥るパターンでした。ライトノベルのもつライトノベル的な要素が無心に楽しめないどころか、ストレスばかりたまってしまう。ラノベアレルギー克服への道のりは遠いです。

ところで、本を選ぶのに書評感想系のサイトを参考にすることの多い僕にとって、頼りにしている人の好みと自分の好みが特定の領域でまったく相容れないことが判明するというのはちょっと悩ましい問題です。特に今回みたいに、みんなベタ誉めしてるのに自分だけ「こんなんクソだろ」とかなっちゃった場合、かなり困る。人の評価にたよらず自力で自分好みのものを選べるように選択眼を磨くという解もあるんだけど、それにはSFでやってきたように、ある程度の量を読んでカンを養わないといけない。ところがラノベの場合、そもそも読むだけでそのストレスに耐えられないという問題が。

今のところ、ラノベアレルギーといっても乙一や桜庭一樹は抵抗なく読めています。でもそればっかりでは、新しいものを摂取して趣味の幅を広げていく楽しみがありません。まあ、こうやって未知のラノベをかじってはぐぼあ、かじってはぐぼあ、とやりながら当たりを引くまで繰り返すのも一興といえないこともないか。

結論=気長に自分向きのラノベを探していきまっしょい。

しかし、「光芒五里に及ぶ」て。あれ笑うとこですよね。美少女も度を越せば珍獣といっしょですよ。おかげで全編ギャグにしか見えん。なんて言ってるから僕はいつまでたってもラノベが読めないんだと思う。

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[ニコニコ] アイドルマスター MS.AMAMI
ごっつええ感じでした

[ニコニコ] アイドルマスター M@STER FESTIVAL'08
プロによる華麗な犯行。完全に実売レベルだこれ

[ニコニコ] 北斗のP ケンシロウプロデューサー 千早「運動」
じつは千早さんのほうが凄いのでは。

【お知らせ】「ビアンカ・オーバースタディ」詳報(筒井康隆公式サイト)
>このラノベを楽しむためには、前以て「ダンシング・ヴァニティ」を読んでおいた方がいいでしょう。
>では6月の発刊を楽しみにお待ちください。

そうくるか。さすがは深謀遠慮の笑犬楼。

伊藤計劃「METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS」 6月12日発売予定
MGSノベライズにこれ以上の適役はないでしょう。
なんでか竜騎士07氏のコメントもあり。

伊藤計劃:第弐位相 2008-04-15 「メタルギアソリッド ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」
>分量的には「虐殺」の130パーセント強です。
>ゲームを終えた方も、終えてない方も、1~3をやったことのない方も、ゲームをまったく知らない方も、オールライトカモォンな普通の小説したつもりです

大ボリュームだ。楽しみ
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by umi_urimasu | 2008-04-14 00:35 | 本(SF・ミステリ)
SFが読みたい!2008年版
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a0030177_216066.jpg円城塔+伊藤計劃の対談記事が楽しくて、つい購入。創作談義半分、ネタトーク半分といった内容です。
「僕はもう(伊藤計劃氏と)コンビで売っていこうとしているので(笑)」「コルホーズとかに叩き込まれると作風がすごく変わると思う」「謎があって人が死ねばとりあえずはミステリ。何万人とか死んでも」「意表を突こうとするくせにやる気がない引きの芸風なので、本気で怒る方はご遠慮ください」とかとか。怒りません笑います。円城塔は構造消費タイプ、伊藤計劃は装飾消費タイプ、という相互評価はなるほど的を得ている感じ。
円城氏いわく「(Boy's Surfaceは)ほんとにSF読み向けに特化して書いたので、SF読みの方、読んでください(笑)」だそうです。ようし、買ってこまい。

というわけで、対談記事は非常に面白かったんですが。それ以外のページがほぼ全部、半ペラ紹介文と自称他称SFファンによる数行のオレランキング文だけで埋まっていたので少々気落ちしました。話題作の評判とかレビューとか、ネットでそこそこ調べられる情報のまとめならわざわざ金出して買うこともなかったかなと。まあ、もともとそういう趣旨の本なんでしょうけど。次からは立ち読みで済ませよう。あとゴーレム100をはやく読もう。などと考えながらこれと一緒に万城目学「鹿男あをによし」、冲方丁「黒い季節」、桜庭一樹「少女には向かない職業」を買ってきました。あれえ!?

「SFが読みたい!」ベストSF歴代リスト
ランキング情報だけ知りたい人はここらへんで

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[youtube] Muse: Knights of Cydonia
イギリスのロックバンド・MUSEのPV。短編映画仕立てになってます。西部劇+カンフー+ロボット+北斗の拳+ハイペリオン風味?なに考えとんじゃ。タランティーノとかリベリオンとか虚淵玄とか好きな人ならこれは受けるかと。

[ニコニコ] ケンシロウプロデューサー アイドル紹介
今は悪魔(ブロリー)が微笑む時代なんだ!マンタPリスペクトな人が増えてきてひそかに嬉しい今日この頃
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by umi_urimasu | 2008-03-17 21:41 | 本(SF・ミステリ)
桜庭一樹のマジックリアリズム的日常
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a0030177_22125276.jpg桜庭一樹「GOSICK」を読んでみました。
本編はいかにも典型的なライトノベルという感じで僕はあまり楽しめなかったんですが、あとがきのほうでやられました。なんじゃこりゃ。
ぶっちゃけ本編よりあとがきのほうが面白いです。

以下、GOSICK第1巻あとがきの主な近況ネタ。

  1. 友人(教師)が嵐の日に神社の狛犬を盗み出して逃げ去った話
  2. 友人(空手家)が鼻の穴を焼いて鼻血を噴いた話
  3. 友人(看護師)が「ザ・ゴールデンブラジャー」の異名をとるに至った話
  4. 米子東高校硬式庭球部最後のブルマ隊の話


作家の身辺雑記、というとありきたりに聞こえるでしょうが、そして実際作家が普通の人に比べて格別笑える体験ばかりしているわけもないのでしょうが、そこがそれ、ことばのマジックというやつです。とぼけた語り口、情け容赦ない暴露ぶり、文章全体にみなぎる弛緩しきったゆるい空気。これらがあいまって、なぜか、やたら的確に笑いのツボが刺激されてしまうのです。「桜庭一樹読書日記」を読むと妙な安心感をおぼえてしまうような人に、また「新進気鋭の直木賞作家ともあろう人が陰でいったいどんなくだらん話を書いとるのか」と下世話な興味をそそられた人に、ぜひ一読をおすすめしたい。ほんとにくだらないですから。くだらないってすばらしい。

ただし本編のほうはラノベが苦手な人にはあまりやさしくない内容なので、それ系のが合わない人は立ち読みであとがきだけ読むのも一手かと。僕は1巻は買ってしまったので一応本編も読みましたが、その後本屋に出かけていって、店頭在庫があった2~4巻は立ち読みであとがきだけ読んですませてきました。すいません。

てなわけで、これからしばらく「本屋に行ったら桜庭一樹作品のあとがきを立ち読みする」という行動オプションを設定しておこうと思う。すいません。次はGOSICK以外のも探してチェックしてこよう。

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シオドア・スタージョン「海を失った男」文庫化 (河出文庫)
きたこれ。短編の超絶テクが喧伝されているわりに、なぜかあまり短編集が文庫にならないかわいそうな天才スタージョン。持ってない人はこの機会におひとつどうですい。「海を失った男」と「ビアンカの手」はマジすげーのですよ。
(追記)あれ?単行本とは出版社がちがってる。もしかしたら収録作品などちょっと異なるかもしれません。

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グレッグ・イーガン『宇宙消失』をネットで議論 (JGeek Log)
素人にもわかる範囲で誰かかいつまんで解説してくれないかなぁ(日本語で)

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「感情の共有」,「負荷との戦い」ニコニコ動画の技術 (ITPro)
>日本全体のトラフィックの約10分の1を占める
す、すげー

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[文庫] 『四畳半神話大系』(角川書店)
うほっいい文庫化。3/25ごろ発売のようですね。買ってこよ。
[マンガ] 『夜は短し歩けよ乙女 (この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ)
こちらはとりあえず、原作小説を読んでから。

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[youtube] Hermeto Pascoal - Música da Lagoa
音楽を奏でるために生まれてきた天才、エルメート・パスコアル。変態ともいう。
吹いたら負け
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by umi_urimasu | 2008-03-12 23:00 | 本(SF・ミステリ)