「柳生陰陽剣」荒山徹
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a0030177_19432074.jpgこの人の作品に対して、「これはひどい」はそのまま誉め言葉なんだろうなあ。いっそすがすがしいほどに突き抜けてた。普通の小説家はたとえ思いついても実際に書いたりしない。ヘタすれば正気を疑われる。でも荒山徹はためらいなく書く。「フィクションとして面白ければ何やってもいい」という創作姿勢の徹底ぶりは「覚悟のススメ」にも通じるものがあります。「あ、いいんだ。ここまでやっちゃっていいんだ」と。本当にここまでやっちゃって大丈夫なのかどうかよくわかりませんが、まあ小説が面白いので気にしないでおこう。

収録作の「恨流」でひとつ気になったのが、へその緒をたどって武寧王陵の玄室への霊的通路をひらく「胞衣返しの秘術」です。あれって、棺姫がやったのとまったく同じ術を友景もやったわけですね。ということは、「術の間はあさましき姿を晒しますれば」云々というのは、つまり友景も、棺姫と同じそういう状態になってたということになるんだろうか。想像したくない図だな。

「柳生逆風ノ太刀」では狂おしいほど一途な母の愛情を描いておいて、オチがそれかよ!この外道!と凄絶な結末に涙しましたが、じつは淀君の最期には明確な証拠がなく、生存説もあったことをあとで知りました。これをいい方に考えれば読後感も少し変わってきそうです。まあ外道な話であることには変わりないけど。

収録作の中でも特にお気に入りなのは「第十一番花信風」。人間から人間へ憑依(寄生)をくりかえして大奥に忍び込んだ妖術師を、あくまで秘密裏に始末しないといけない。でもいったいどうやって?という、制約つきのトラップ合戦がスリリング。こういう山風っぽいの大好きです。決闘場面も切なくて泣ける。でもってオチがまたひどい。

この作品集、荒唐無稽といえば全編そうなんですが、「八岐大蛇の大逆襲」あたりから相対的にカオス度が増していってる気がします。ベルサイユのばらとか、怪獣映画とか、チャングムの誓いとか。最後の「杏花の誓い、柳花の契り」などはまさに狼藉のかぎりを尽くしていて、征東行中書省の本拠が邪悪なカルト教団の地下宮殿みたいだったり、友景が朝鮮の歴史的偉人たちを片っぱしから惨殺しまくったり。ほんとむちゃくちゃやってます。韓国の人に読ませたらどうなるんだこれ。嫌いだからじゃないんです。むしろ好きすぎてこうなったんです。日本のいわゆる TSUNDERE がちょっと度を越しただけなんです。って言ったら納得してくれるのかな。

それにしても「十兵衛両断」と「柳生陰陽剣」の二作で「柳生面白い」との確かな手ごたえを得たのは僥倖でした。荒山徹からさかのぼって柳生ものや日本伝奇を読んでいくのに、五味康祐、隆慶一郎、柴田錬三郎の三人はいずれ押さえたい。もちろん山風ももっと読みあさりたいし。先は長いですね。

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こ、これは……ごく普通のテトリスのはずなんですが。このやるせなさはいったい何。

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a0030177_1853326.jpg映画「スカイ・クロラ」のDVD見ました。「上官が痴女」の噂は本当だった……。

機体のおしりにプロペラが付いてる戦闘機ってSFではおなじみだけど現実ではまず見ないよなあ、と思いつつぐぐってみたら、旧日本軍がとっくに開発してました。仕事はやっ。実際の震電と、アニメの散香。まんまだなこれ。
第一次~第二次大戦期のドイツ軍なども後世に残る珍兵器を次から次へ開発していたと聞きますが、戦争に負ける軍隊は珍兵器を開発する、というのはもう経験則みたいなものなんだろうか。というかむしろ珍兵器ばかり作ってるから戦争に負けてしまうのか。それならなんか納得できる。

[画像] 建設中の巨大テトリス
積み方ヘタすぎなのがかえっていい感じ。(alltelleringet.com

[画像] 木の上に造られた茶室「高過庵」
古田織部になった気分で風流なお茶が飲めるかも。でもちょっと怖い。いやかなり怖い

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期待のほっこり動画メイカー

[画像] 名作ゲームブックの萌え化 悲劇的ビフォーアフター
ホビージャパンよりゲームブックが復刊! ゲームブックっていいよね!
挿絵なども容赦なくリフォームされたらしいです。ここまでやるなら、もういっそ「モンスター誕生」を萌え化復刻してみてはどうか。全部美少女モンスターに改変、ただし内容はそのままで。もちろん倒した敵は食うの。猟奇なの。
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by umi_urimasu | 2009-03-12 20:40 | 本(others)


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