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映画「崖の上のポニョ」
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映画「崖の上のポニョ」_a0030177_220818.jpgなにこの不条理ホラー(笑) 詐欺だ詐欺。もっとやれ。
などと無責任に面白がりつつ鑑賞してまいりました。
嵐の海の気味わるさとファンタジックな音楽との異様なミスマッチ。水底でキャッキャウフフしてるばあさんたちの溺死を連想させるイメージ。そんな狂気をはらんだ朗らかさに対し、恐怖と笑いのどちらの反応を呈するべきなのか自分でもわからない不安感。この不安が大いなる海への始原的な畏怖とつながって、気がつけば観客のSAN値があぶない。
これ、BGMが久石譲じゃなくて旧支配者のキャロルとかだったら、あまりにもハマリすぎてかえって素直に笑えるんじゃないかなあ。もちろんその場合、子供たちは泣き出すぐらいではすまないと思いますが。

ストーリーは一応「人魚姫」をなぞっているものの、不可解な描写が多くてかなり支離滅裂な印象でした。でもあえて整合を取る必要性もなさそう。なにしろ宮崎駿にも説明する気が微塵もない。とにかくイメージを絵にすることが最優先で、子供たちには最終的に主人公の純真ささえ伝わればよい、大人たちに関してはもう最初からどーでもいい、くらいのスタンスで作られたもののように見えました。

「人を見た目で判断するのイクナイ」とかいった道徳的メッセージの色も、あるといえばあります。でも時間的に十分な描写量をキープできなかったのか、する気がなかったのか、あまり強調されてなかった。あくまで人間と人外の子どものマンツーマンの交流がメインで、そのついでに少しお説教もしてみたという程度かな。

理想的な「よい子」像の体現者である宗介が尽くす相手がエゴイズムの塊たるポニョ、という構図について。あれは微妙に落ち着かないものでした。なんだか愛の搾取っぽい。考え方次第ではあの二人、あまりすこやかな関係ともいえなかったのではないかと。あのままずっと仲むつまじく行ってしまってほんとにいいのだろうかと。しかしそんなひっかかりも、あの「ぽーにょぽにょぽにょ」という電波ソングのせいでうやむやに流れてしまった。なんなんだあれはまったく。分析好きの大きなお友だちに対する嘲笑としか思えぬ。

あと、宗介と同じ保育園の女の子のアタックが全力でスルーされていた件。あれは憐れでした。あの子はこれから「人面魚に負けた」という負い目を一生背負って生きていかねばならないのか。宮崎アニメの、主に「よい子」でない子たちに対して冷酷すぎるところが僕はどうも嫌で、いつも居心地の悪さをもてあましてしまいます。せめて1カットだけでもフォローしてあげればよかったのにね。

リサの無謀運転が気になりすぎてカーアクションにまったく集中できなかった件。自分の子供を助手席に乗せた母親のすることか、あれ。アニメ特有の躍動感などを表現するアニメ的なリアリズムとかそんなふうなものがあるとして、それがファンタジーとしてかくあるべしという世界(ここでは親子の情愛におおわれた世界)のありかたとコンフリクトする場合、見る人はどう折り合いをつければいいのだろう。となりのトトロや魔女の宅急便の頃は、まだそのへんの整合が取れていたように思うのですが。だんだん表現主義的な方に傾いてきたってことかな。

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バットマン『ダークナイト』予告編見た。うわ、なんか面白そうだ。主演がクリスチャン・ベールであることも知った。これは見に行きたいかも。

[ニコニコ] !!!(chk chk chk) - Live at Fuji Rock Festival '07
ヒゲダンスに吹いたので「Myth Takes」を買ってこようと思う

〈氷と炎の歌〉 登場人物名・用語対照表
まるで不完全なリストだけど、きっと人手不足なのだろうと推測。うちの記事にあったミスも修正しました
by umi_urimasu | 2008-08-08 22:35 | 映画


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