「ダンシング・ヴァニティ」筒井康隆
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a0030177_20162492.jpg「ビアンカ・オーバースタディ」がもうすぐお披露目だそうなので、すべり込みで読んでみました。

無数の選択枝をたどってはやり直し、ありうべき人生をわたり歩く男の精神の道程を描くという、「人生をセーブ&ロードしながらガチで生きてみる」をそのまま文章化したような小説。最近の筒井作品に多い、老いと死の気配が濃厚にただよう作品で、スラップスティックがエスカレートするほどに寂寥感もいや増していきます。死にかけている老人の意識に去来する人生の断片、そのすべてが現実なのか、回想なのか、夢なのか、事実なのか、思い込みの偽の記憶なのか、もはや何ひとつ確たるものなき死。虚構ならではの哀れさに満ちた、なんともいえない読後感でした。

こう書くと「暗そうな話か」と誤解されそうですが、否々。説明やサインを完全に排除した純粋なループ表現を用いて、不条理シチュで遊んでみたり、天丼ギャグにしてみたり、セリフの最中にいきなり時間を吹っ飛ばしたり、かなりやりたい放題やってます。しかもあの徹底的なコピペ文体が生み出す尋常でないスピード感ときたら。実際にやられてみてはじめて、これほど多彩なバリエーションが可能だったのかと驚かされ、あらためてこの人の凄さに恐れ入ります。方向性としては「残像に口紅を」や「虚人たち」をはじめて読んだときのような衝撃でした。眼福。文章で眼福っていうのもなんか変ですが。脳福とでもいうべきか。

作中、過去の筒井作品のセルフパロディ的な部分もけっこう目にとまります。時系列の混濁を描く作品だからということで意図的に多めに入れたのかな。無意識下の自殺願望として出てくる縞が消える虎、あれってガスパールのトララから来てるんだろうか。なつかしい。

オタク論好きな人たちの間ではこの作品、参考文献にも挙げられているゲーム的リアリズムの誕生と絡めて語られることも多いようです。「ビアンカ・オーバースタディ」の内容如何によっては、ゲーム的リアリズムも読んどいたほうがいいのかもしれない。今まであまりオタ語り系の話に興味なかったんですが。BOの評判次第かな。

おまけ。
「旅のラゴス」を細田守監督でアニメ映画化するらしいという噂が2chに書かれてた。ソース不明。ガセかもしれないけど、ほんとだったらうれしすぎる。
(追記) 南中高度 唐突すぎる
やっぱガセだったのかな。残念

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マイマスターという角栄 - 伊藤計劃:第弐位相
学園ものを書く、という話になる。こういう話は通常篠房氏とする。
というか篠房氏と話すと大体「こういうの作りたい」という話にしかならない。
今回で言うと、Fateは学園物か、という話になり、
そこから夢が広がりはじめる。
「アーサー王とかじゃなくて、佐藤とか吉田とか角栄とか戦後首相の転生と共闘する、というのは」
「おっさんですか」
「おっさんです」
「生徒会長選とか、政治の戦いになる」
「ミッテランとかドゴールとか外人入れてもいいんじゃね」
というわけで、いい面構えのおっさんが転生した少女と、それを僕に従えた少年が活躍する戦後版Fateというのはどうでしょうか。
書いてくれ書いてくれ。

京極夏彦インタビュー 『幽談』と怪談を語る
僕は常々、小説にはストーリーだのテーマだのはいらないという暴言を吐いているわけで(笑)。
 読み始めたら止まらない、いや、読み終えずとも手に取った人が「読む」という行為をしてくれさえすれば、それでいいと思っているわけです。作者の主義主張なんか邪魔なだけだし、物語の結構性だの描写だの、そういうものだって読んでもらうための手段でしかないですよ。「文字を追う目が止まらない」という状況が生み出せれば、それで本望。それができるなら、起承転結もいらなければ筋もトリックもいらない。感動やら笑いやら怒りやら哲学やら、そうしたものはテキストの中にあるのじゃなくて、読者の中に涌くものなんです。
この小説観がミステリというジャンルの制約下で「犯人なんていませんでした」「事件なんてありませんでした」などのアンチミステリ・叙述トリック的な手法となって表れるのが京極作品。

復刊予定 「ディファレンス・エンジン」上下 ウィリアム・ギブスン&ブルース・スターリング
おお。もしや円城=伊藤効果?

[ニコニコ] 【手描き・ジョジョ+エヴァ】新世紀ストーンオーシャン【完成】
いつもながら凄い出来。二、三周したら次はコマ送りで荒木先生を探してみよう

[画像] 映画版ニューロマンサーのポスターと言われている一枚。ワイヤー少なし歯車多し
それに対する原作者ギブスンのコメント
かいつまむと “初めて見たものだ。映画の仕事にはかかわってない。新作小説にかかりきり。映画での改変には作者として少し好奇心はある”

[ニコニコ] アイドルマスター 春香 SUPER MUSIC MAKER PV風
カクパのご乱心から数日後、そこには元気に動画をあげるわかむらPの姿が。クオリティ高すぎ吹いた
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by umi_urimasu | 2008-08-01 20:52 | 本(SF・ミステリ)


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