現代社会を予言していた!? 江戸時代のSF小説
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a0030177_23242152.jpg杉浦日向子「一日江戸人」が超絶面白い。江戸時代の文化風俗に関する小ネタを紹介したいわゆるトリビア本なんですが、「身近度」の高さが尋常じゃないのです。この本があまりにも面白かったので、元ネタの引きうつしそのまんまっていうのはちょっとどうかなあと思いつつも、そのうちのひとつを紹介させてもらいます。興味のある人はぜひ元本を読んでみてください。むちゃくちゃ面白いんで。

さて、この本によれば、江戸時代中期の大衆小説に「未来記もの」という流行ジャンルがあったそうです。何年後に何が実現するとかいうカタイものではなく、とにかくはるか遠い未来のとっぴょうしもない話をして、んなバカなハハハと読み手の笑いを誘う呑気なものであったらしい。ところがその内容が凄いんですね。

1 季節感がなくなる(旬の時期がベラボーに早まる)
2 諸事、高級志向となり、贅をきわめたあとはマニアックな趣味に走るようになる
3 各界での女性の台頭(男性独占の分野がなくなる)
4 自然破壊(山奥まで宅地化がすすみ、神聖な山も俗っぽくなる)
5 プロとアマの差がなくなる(特に芸能関係)
6 今まで家庭で作っていたものが、安直なパックもの、セットものとして売られる(七夕セット、お正月セットなど)
7 草双紙(マンガ)が大人の読み物となり、小難しい本を読む子供が増える
8 子供が辛い食品を嗜好する
9 日本語が乱れ、通言(専門用語)が流行り、ついには得体のしれないカタカナ言葉が横行する
10 遊女(風俗ギャル)が金持ちになり、実業界に乗りだす
11 年寄りの若作り、老いらくの恋が流行り、若者は老人趣味となり、渋いことばかり喜ぶ
12 盆と正月がのべつ一緒に来る(イベント流行り)


もう当たる当たる。なんだこの異常に的確な未来予測。江戸の戯作者、あなどれん。
予測の的中ぐあいもさりながら、三百年もの時間を軽がると飛び越えてその先の風景を空想し、笑っていた江戸時代人の想像力のゆたかさにも驚かされます。コンピュータもネットも自動車も飛行機も何にもなかったのに。なんというか、現代人も及ばない精神的余裕のようなものを感じさせる話でした。

ちなみにその現代では。SFが冬の時代だのライトノベルはもう終わりだの、時間的には目と鼻の先の小説ギョーカイ盛衰談義をまるで天下の一大事のように喧々諤々している評論家っぽい人たちをときどき見かけますが、こういう話のあとでは失礼ながら少々みみっちいように思えてしまうのは致し方のないことでしょう。どうせなら2年5年とせこいことを言わず、300年後の読者をあっと言わせるような未来予測+年代論とかやってみたら面白いのではないかな。今は受けなくても、後世の人々からは重要な史料として高く評価されるかもしれません。
予測が当たってればですが。
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挿絵: 江戸時代人が考えた未来のファッション想像図。ちょんまげの概念からは逃れられなかったと見えます

ところで、この本に満載されている聞いてびっくりネタ話の多くについては、どうしてもソースに興味が出てくるんですが、残念ながら参照資料についての情報は詳しく書かれていません。一般的に入手 or 閲覧可能な範囲で関連書籍のリストとかが付記されていればありがたかったのですが。ちょっと自分で調べてみようかな。
なんか小学校の自由研究みたいな感じになってきた。

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ここからさらに一歩進んで、AR空間上で常時キャラクターとキャッキャウフフできるようになった時にどうなるかな。マジでモニターの中に旅立つ二次元オタが続出するかも?と未来予想。
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by umi_urimasu | 2008-04-07 23:38 | 本(others)


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