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「ハチワンダイバー」(1)-(4) 柴田ヨクサル
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「ハチワンダイバー」(1)-(4) 柴田ヨクサル_a0030177_2329683.jpg「ハチワンダイバー」(1)-(4) 柴田ヨクサル_a0030177_23292315.jpg「ハチワンダイバー」(1)-(4) 柴田ヨクサル_a0030177_23294484.jpg「ハチワンダイバー」(1)-(4) 柴田ヨクサル_a0030177_23295665.jpg
わが征くは、30cm四方の平面宇宙。賭け将棋にすべてをかける”真剣師”たちの熱き戦いを描く、超ハイテンション将棋バトルコミック!
なんとなくコピーっぽくしてみた。

あちこちでおっぱいおっぱいと騒々しいので剣呑な気がしてしばらくは避けていたんですが、読んでみたらこれが確かにおっぱい本格将棋漫画だったという。いや、すんごい面白いですこれ。とにかく将棋バトルが突き抜けてて、生き生きしててね。格闘技の荒々しさとカーレースのスピード感、爆弾解体のスリルを一緒くたにしたような過剰さが、こう言うのもなんですが、ほとんど将棋漫画とは思えない。
プロ棋士への道半ばにして挫折し、賭け将棋で日銭を稼ぐうだつのあがらない青年・菅田(スガタ)。しかし出張メイドさんにして「アキバの受け師」の異名をとる女真剣師・そよとの出会いをきっかけに、菅田は将棋への情熱を取り戻し、強者たちとの”真剣”勝負に明け暮れることになる。”81マスに潜る男”、「ハチワンダイバー」の通り名と共に――。
ストーリーはゲームバトルものの定石をわりとおとなしく踏襲している感じですが、にもかかわらず「破天荒」と評される所以は、ひとつには絵とセリフによるテンションの高さ。そしてもうひとつ、心理表現のユニークさと豪快さによるものでしょう。
たとえば、主人公が手順を遠く先のほうまで読もうとするときの思考の様子は、息を止めて水中深く「潜る」感覚にたとえて描かれています。水に潜るときに息を止める。誰でもやったことのある平凡な体験ですね。だからこそ、それは読者自身の経験による身体感覚としてありありと想像できます。指数関数的に増えていく膨大な手順を、かぎられた時間でどこまで遠く読めるかという、自己の記憶力に対する極限のタイムアタック。その緊迫感やプレッシャーを水に潜るのにたとえて視覚化するとは、ある種、ジョジョのスタンドの概念にも通じるグラフィカルアイデアの妙。

その他にも、待ち時間なしのノータイム将棋、どちらかがぶっ倒れるまで指しつづけるデスマッチ将棋など、少年ジャンプのノリに近いむちゃくちゃなバトルが次から次へと演じられます。絵づらもなんかまるでボードゲームとは思えないような、むしろ格闘技漫画みたいな雰囲気に。熱いなあ。

第4巻まで一気に読んでみて、(将棋そのものは駒の動かしかたしか知らんのですが)好みだけで私的ベストバウトを挙げるとしたら、対文字山戦でしょうか。プロの漫画家にして真剣師でもある文字山先生のキャラが、どうにもあまりにジョジョ的すぎて笑いがとまんない。変人にもほどがあるわい。危ない人っていうのは安全圏から観察している分には非常に楽しいもんです。

絵についても少し語りたい。
特徴は強弱のある太線、骨太な人物画。細く鋭い眼の描き方が印象のかなめです。キャラの造作などは微妙に不恰好なんですが、人物ごとの個性づけや目つきの凄みを描く技は鮮やか。写実的な意味での上手さよりも、漫画的なパワーをうまく引き出せる絵柄という感じ。好きですね、こういう絵。
作品中ほぼ唯一のお年頃の女性キャラクターであるそよも、やたらたくましくてちょっとデブいめに描かれてますが(足ふと!)、慣れてくるとそのへんもむしろ愛らしく見えてくるから不思議なもので。なんとかもえくぼって言うよなあ。

対局シーンではコマの中に目の一部や口の一部しか映らないぐらいの超寄りすぎカットが連発されたり、セリフとフキダシが大きすぎて絵のスペースがほそいスキマになってしまったりしています。そういうのはけっこうざらなんです。いや、そっち優先なの?普通逆でしょ?みたいな。こうした型破りな表現も含めての「破天荒」なんでしょうかね。

ちなみに絵柄は1巻の時点ではまだ固まっていなかったのか、ごみごみぐちゃぐちゃした荒さが強く出てましたが、2巻以降は急激に整理されてさっぱりした画面になっていきます。洗練されたとも言えるけど、個人的にはちょっと寂しいかな。最初の方の小汚ない雰囲気もけっこう好きだったので。

実写ドラマは5月スタートとのこと。普段テレビドラマはまったく見ないんだけど、これは例外的に見てみたい気がしてきました。時間要素が入ったときにあの将棋バトルシーンがどんなふうになるかっていうのが興味ある。あと、将棋盤と体の間のすきまから覗くようなトリッキーなカットをどうするんだとか、なるぞうくんどうするのとか。

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