ETV特集 21世紀を夢見た日々~日本SFの50年~
観ました。内容は浅かったけど、星新一の幻の貴重映像や小松左京+筒井康隆+石川喬司の鼎談インタビューといったレアソースのおかげでありがたみだけは無駄にある番組でした。小松左京よぼよぼだー。あんなにタバコ吸ってて大丈夫なんだろうか。 面白かったのはやはり、発足当時のSF作家クラブの会合記録や回想録ですね。原子力研究所を訪問して見学させろさせないでもめた話だの、その際に星新一がこぼした原子力(はらこつとむ)ジョークだの、筒井康隆だけがなぜか放射能チェックにひっかかっただの、むちゃくちゃな入会資格だの、火星から地球まで宇宙服で飛び降りるスポーツの話だの、なんかもうノリがそこらの大学の遊び系サークルと変わりません。あの偉いSF作家も、みんな昔子供だってねーと。 しかしそうした結束感や熱気も、SFが文芸ジャンルとしての市民権を獲得するにつれてうすれていってしまいます。あたかも体を寄せ合い氷嵐に耐えていたペンギンたちが、嵐のあとではゴロ寝体勢に戻ってくつろぐように。作家たちのもつエネルギーが不変でも、領土を広げると温度が下がる。なんか断熱膨張みたいだな。 期待したような個別の小説作品についての紹介はほとんどありませんでしたが、小松左京「復活の日」、星新一「声の網」、石川喬司「SFの時代」あたりにはけっこう強いフックを感じたので要チェック。特に「復活の日」は表紙がいかにも古くさそうで今までスルーしてきたけど、ウィルス+人類滅亡ものと聞いてプライオリティが一気にアップしました。 ただ、筒井康隆っていうとみんなすぐ、まるで代表作であるかのように時かけばっかりクローズアップするのはいい加減どうにかならないか。他にあるだろう、他に! あと、これ見てたらNHKレベルのソース収集力でもって作られた海外先端SFの紹介番組を見てみたい願望がふつふつとわいてきました。イーガンやチャンにロングインタビューして、ワームホールの建造とかヘプタポッド言語についてがっつり説明させて、本職の学者たちに検証させるの。超見てえ。まあ実現は無理っぽいけど。でも、DiscoveryとかA&Eとかケーブルの専門チャンネルでもっと広めのテーマでなら、まったく不可能ということもないのでは……。だめかなあ。 ───── 最も美しいオープニング。 (Something Orange) あんまりクラークベタ誉めすぎてなんかもぞもぞしてきたのでちょっと引き気味な「幼年期の終わり」評もひっぱり出しておきます。未読の人がバランスを取る参考にでもなれば。 ───── ヱヴァ「破」のコンテが佐藤順一らしい。見せ場優先のせいかツギハギ感の強かった「序」より自然な心理描写が見られるかも。
by umi_urimasu
| 2007-10-22 23:26
| まぞむ
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