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『銀河鉄道の夜』 宮沢賢治
ケンタウルよつゆをふらせぃ

積み本スイーパー見参。

凄っ。
初っぱなの「双子の星」から、強烈なイーハトーヴ幻想の深淵へとパワーダイブって感じです。素でやってんのか? これを? あんた頭は大丈夫か? という凄みさえ漂わせる、恐ろしいほどに透明で静謐な世界。テレビもネットもない時代に自分の想像力だけでこんなビジョンをつむぎ出す頭脳を、いったいどうやって育てたんでしょうか。
表題作は、日本語テキストの奇跡といっても過言ではない究極の美品。あまりにも透明で美しい死のイメージ、やばすぎます。ちょっと泣きました。
子供の頃に見たネコ映画の印象が強かったことだけは覚えていて、実際にはかなり忘れていたことに再読して気づきました。ジョバンニが活字の組版のバイトをしていたり、牛乳をもらいに行ってザネリにからかわれていたこととかも。子供心に「ザネリやな奴!」とか思ってたよなー。
あと、ほんの5ページのスケッチみたいな小品ですが、「マリヴロンと少女」もかなりツボ。こういう瑞々しさもまた良い。

宮沢賢治の文庫本、ブックオフとかでよく100円で投げ売り状態になってますけど、持ってない人は見かけたら即買いですよー。電子版でかまわないという人は青空文庫でもよいでしょうし、こっちの方は巻ごとに分かれているのでよりお勧め。
by umi_urimasu | 2004-07-07 18:59 | 本(others)


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