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「射雕英雄伝5」金庸
「射雕英雄伝5」金庸_a0030177_13525067.jpgもし今、「この50年間に世界中でもっとも多くの人に読まれた小説家決定戦」をやるとしたら、一位はいったい誰か?

正確な順位はよくよく調べてみないとわかりませんが、おそらくトップを争う上位ひと桁のなかに「金庸」の名が登場するのは、まず間違いのないところでしょう。


なにしろ金庸さんという人は、西のトールキンに東の金庸と謳われ、中華圏における総読者人口は10億人とも12億人とも言われている、まるで冗談みたいな作家です。12億ってそれ、ほとんど中国の総人口っていうか世界人口の1/5……。
まあこれは推定値だから話半分に考えるとしても、中国小説界における彼のネームバリューの大きさがハンパなものじゃないらしいということは想像にかたくない。たぶん、いわゆる国民的作家の筆頭的な存在なんでしょう。にっぽんでいえば、そうさなあ、まあ司馬遼太郎みたいなポジションかな。「射雕英雄伝」の破天荒なストーリーやキャラクター像なんかは、個人的なイメージだと司馬遼よりむしろ山田風太郎に近いような気もするんですが。

そして、そんな世界的作家・金庸の作品群の中でも随一の人気を誇る代表作、それが「射雕英雄伝」。凄いですよこれは。ほんとに。ジャンルでいえば中国武侠小説ですが、実際にはありとあらゆる娯楽の要素が絶妙のバランスで入ってます。怒濤のストーリー、躍動するキャラクター、活劇と恋愛と憎悪と歴史、人間のいとなみの面白さと悲しさ。物語という娯楽のかたちで人に愛される何か、本来形のない何かが、このたった5冊の本のなかに、恐ろしいほどの高密度で詰まっているのです。
頭ごなしに人に読め読めいうのは気がひけますが、しかしそれでも読め、とにかく読んでみろと、あえて節をまげ強硬姿勢でおすすめさせていただきたい。特にラストスパートに当たる第5巻はまさにワールド・衝撃の展開・オンパレードですから。とんでもねーことになっとりますから。

1957年ごろの作品らしいけど、たぶん余裕で100年ぐらい保つよ、これは。


ストーリーをちょっとだけ紹介します。ほんのちょっとだけ。

江南五怪、惨殺さる! やったのは東邪か、西毒か!?
桜花島、襲撃さる! 島主・黄薬師はいずこに!?
鉄掌党VS乞食党、激突! 党主のゆくえは!? 唾かけちゃらめえええ!
因縁の決闘、超絶の大乱戦! ぶっちゃけ、これはアリなんでしょうか!?
モンゴルの大地を鳴動させる軍馬の波濤! めぐりあいサマルカンド!

そしてついに時は満ちた。今、天が彼らの武を試す!!


華 山 論 剣 → 未 曾 有 の 展 開



いやはや。おもしろかったのです。浮かれすぎて恥ずかしいアホ文を書きなぐってしまったのですが侠者はそんなこと気にしないのです。あと黄蓉がなんかもう凶悪にかわいいんですが仕様です。
「なにがそんなに楽しいんだ?」
郭靖が不思議そうにたずねると、黄蓉は笑って言った。
「靖さん、すごい贈り物をあげるわ」
「なんだい?」
「サマルカンド城!」

郭靖やのうても惚れるっちゅうねん。

そして物語は続編「神雕剣侠(神雕侠侶)」へとつづく。もはや読む以外に道はない。
by umi_urimasu | 2007-04-28 15:09 | 本(others)


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