なにげなくジョジョを読んでいて、作者コメント欄にこんな話を発見した。
『人類最古の職業といえば「売春婦」というものが、そのNO.1の栄誉に輝く。 意外! それは語りべ! さすが荒木先生、コメントも小咄仕立てで物語っぽくなっている。厳密に「職業」として最古かどうかはともかく、物語が人類最古の「大衆娯楽」であった可能性はそう低くないかもしれません。 まあ古さについてはさておき。 上の話のように、ものすごく集中してあらんかぎりの想像力を働かせて、それでようやく浸りきれる物語と、ことさら努力をしなくても現実さながらの迫真さで体験できる物語とでは、実際どちらがより面白いといえるのでしょうか。 僕はやっぱり前者だと思うんですが。 それは貴様がマゾだから、ではなくて、物語体験のインパクトというのは情報の少なさを想像でおぎなうために払った労力が大きければ大きいほど増すような気がするのです。経験的に。 たとえば、CG使いまくりの見た目リアルな映画よりも、本で読んだだけの話の方があとあと「体験」した感覚が強く残ってた、てな経験はないでしょうか? あるいは、何のストレスもなくクリアできてしまう映像の精緻なゲームより、粗いドット絵でも試行錯誤の末にやっとクリアしたゲームの方がストーリーとして心に残ってるってことは。僕はちょいちょいありますのですよ。 想像力を酷使しただけ想像の対象への没入が深まるというこの現象は、コンピュータに重い処理をさせたらそれがCPUを占有してしまうようなもんかなあ。違うかな。 ───── ちなみに、古来からの「語り部」のフォーマットに意外と近いのが、じつはサウンドノベルやビジュアルノベルではないかという気もしているのだが。あんまり人に力説はできない。「たとえばどんなんがあるの?」と聞かれたときに返答に窮するので。 ───── ようやく「ハイペリオンの没落」(上)を読み終えた。どえらいことになってますー。 あと、〈氷と炎の歌〉第二部の「王狼たちの戦旗」文庫版が3月25日に発売される由。やっほい。あと一ヶ月、我慢我慢。
by umi_urimasu
| 2007-02-12 08:33
| まぞむ
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