「七王国の玉座」①-⑤ ジョージ.R.R.マーティン
a0030177_14315565.jpg伊達や酔狂で「エピックファンタジー史上の最高峰」と呼ばれているわけではない。読めば読むほどに増す快楽と恐るべき常習性をもつ、まるで麻薬のような物語。いや、冗談じゃなくこれはほんとに依存性がありそうな気がします。章ごとに見ても巻ごとに見ても、"引き"の強烈さは異常。さらに「七王国の玉座」自体があんなとこで切れてるし。
あそこで切られて、次の「王狼たちの戦旗」を読まずにリタイアできる読者がいったいどれだけいるだろうか。


この〈氷と炎の歌〉シリーズを称える賛辞は、それこそ並べ始めたら永遠にきりがありません。
多彩な人物の思惑が複雑怪奇に絡み合う陰謀劇の緊張感。緻密に描き込まれた中世の情景の美しさ。静と動、美と醜、平穏と闘争、強烈な対比をはらむ物語の迫力。容易に全貌を掴ませない広大な世界の奥ゆき。等々。まだまだいくらでも褒められます。
賞にしたって、ローカス賞はどっさり獲ってるし、他にも世界各国で山ほど賞を取ってるだろうし、これから先もどっさり獲るでしょう。なんかもう、いちいち細かく褒めるのがアホらしくなってくるんだよなあ。

もういいや。凄い。とにかく凄い。ほとんど神。以上絶賛終わり。


文庫版あとがきによれば、シリーズ全体での予定は全7巻かそれ以上になる模様。今回僕が読んだのが第1巻「七王国の玉座」の文庫版で、5分冊。これと同じぐらいのボリュームで7巻まであると仮定すると、文庫に換算した場合の予想トータル冊数はだいたい35冊前後になる計算です。うーむ。最低でも35冊か。「七王国の玉座」だけでもこれだけの超絶クオリティなのに、それが7倍以上のボリュームになったらと考えると……ちょっと想像がつかない。ほんとうに現実に起こり得るのだろうか、そんなことが。


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以下、文庫版5巻のこと。

5巻のあの衝撃的な展開のおかげで、はっきりと気づかされたことがありました。それは「キャラクターの命の平等さ」。4巻の時だって、ひとつ間違えばティリオンが高巣城から「飛ばされる」展開は十分にありえたのだと。彼だけじゃない、この物語の人物たちは、エダードもサンサも、ブランもケイトリンも、全員がひとしく命をかけた綱渡りを演じていたのだと。そもそもの最初から、安全なキャラクターなんてただの一人もいなかったのだと。読み手の僕だけが鈍感にもそのことを認識せず、彼らの運命を軽く見たまま読んでいたのです。キャラクターひとりひとりにかかる重みがぐぎぎぎぎ、と増して本来の重さになったのを、そのとき確かに僕は感じた。あの人の命を代償に……。

そして思った。〈氷と炎の歌〉に関するかぎり、もうパターンに寄りかかった読みかたは決してするまいと! ドラマツルギーとか予定調和とか、お約束とかフラグとか、そんなものはぜんぶ窓から投げ捨てちまえと!


んなこと言って、どうせアリアとデーナリスは大丈夫なんだろ? へっへっへ。なんてな。
 ↑
懲りてねー!


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飛浩隆「ラギッド・ガール」読了。ああ、こんなにしあわせでいいのかなあ。飛さんマジ最高。

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イーガン「万物理論」も半ばまで到達。こんなにしあわせで以下略。

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地上波でも再放送中のカレイドスター、そろそろロゼッタが登場する頃合いのはず。観たことある人もない人も、脅威の和田マジックを堪能しよう。
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by umi_urimasu | 2007-01-19 14:33 | 本(others)


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