ご、50時間! ともかくも読み切った。
延期だグロだと秋葉原界隈を騒がせたいわく付きの一品ですが、なんのなんの。そこそこ楽しめましたですよ。ノベルゲームという枠の中でならけっこう悪くない線、というか、かなりのハイエンドアイテムなんじゃないかと思います。これだけ大ボリュームの話をそれなりに手際よくさばいているし、燃え要素・泣き要素は過剰すぎるほど詰め込んであるし、音楽・音声にも気合い入ってるし。 もちろん、これをこのまま小説の土俵に上げてしまうと手放しで誉めるというわけにはいかないかもしれませんが。 そもそも純粋な小説じゃなくてデジタルノベルなので、マルチメディア表現のメリットをそれなりに活かした作りにはなっています。 テキストの九割がたはセリフ、しかもフルボイスで、どちらかというと「読む」よりも「聴く」方に重点が置かれている感じ。そういう意味では、小説よりも純粋なサウンドドラマに近いのかもしれない。 ちなみに出撃シーンでは若本規夫さんによる感動的な壮行演説も聴けてしまうのだ。 世間的な評価は総じて高めな様子。ただし人によって賛否の差がわりと極端で、人気が高い分だけ不評も買っているみたいです。いずれにせよ「普通にエロゲーやるよ」という人の声が大きくて、僕みたいな超ライトユーザーの意見はあまり見当たりませんけど。 とりあえず僕の中ではFateやデモンベインと似たもの同士、という線に落ちつきました。 できればもう少しエンタメ離れした内容のものにも当たってみたいところです。でも燃え・泣き・感動系じゃないデジタルノベルなんて実はほとんどないらしい。結局、燃えゲーと泣きゲー(とエロ)以外は金にならないということなんだろうか。 ラノベ・エロゲ文化が一般文芸方面へ浸透しつつあると言われていますが、どうせなら逆向きの浸透が起こってくれないものかなあ。 「妖神グルメ」菊地秀行 ぐお。なんなんだこれは。 現代に甦る邪神クトゥルーに立ち向かう天才料理人の活躍を描く、超B級娯楽活劇。元ネタはもちろんラヴクラフトの創作神話ですが、しかしこれをオマージュと呼んでいいものかどうか。原典のもつノスタルジックな暗さや狂気が、ここには微塵もありません。雰囲気が違うとかそういうレベルの問題じゃないし。青空の下でダゴンやクトゥルーと近代兵器がどっかんばっかん激突したりしています。バカですねえ。 まあファンはファンなりに、知らない人は知らないなりに、くっだらね〜と笑いつつ濃厚なB級感を味わうというのが正しい楽しみ方でしょう。 ちょっと意外だったのは、ネタ転がしのめちゃくちゃぶりに比べて人物像や話の広げ方などの骨組み的な部分がいかにも普通なこと。昭和活劇小説のお手本に沿って、ある種の王道パターンを踏まえてまじめに荒唐無稽しようとしているような感じです。これ、もとを辿っていけば山田風太郎あたりに行き着くのかもしれません。 菊地秀行作品を読んだのは今回が初めてでした。ちょっと入り口まちがえたかな、という気がしないでもないけど、これだけでは測りがたい。あたりまえか。 いずれ菊地秀行オリジナルの伝奇作品にも触れてみようかと思います。手始めには何がいいでしょうかね。魔界都市ってやつ?
by umi_urimasu
| 2006-04-14 00:55
| ゲーム
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