「放課後」「宿命」東野圭吾
a0030177_0502897.jpga0030177_0505063.jpg大人の事情で長年直木賞からハブられてきた人気作家がついに同賞をゲットしたと聞いて興味を覚え、ダンボール箱から掘り出してきた二冊。初めて読みます。


前者は1985年のデビュー作にして乱歩賞受賞作、後者は1990年の作品。とりあえず、二冊つづけて読むことによって劇的な成長の跡があからさまに見えて面白かった。
前者はこれどこのテンプレのコピペ?と聞きたくなるような、笑ってしまうほどステロタイプな推理小説。それに対して後者は、トリックの謎解き要素を薄め、人物の出生にまつわる因縁の方に意外性をもたせた運命劇。「宿命」の方は、密室とか時刻表とかに頼らずとも成立する「より広義のミステリ小説」に分類するべきかもしれない。
東野圭吾はこれらの他にも、あくまでミステリの枠内ではあるものの、変わり種の作品をたくさん書いている多芸多作な人らしいです。できれば最初は「白夜行」とか「秘密」とか、もっと世間的評価の高い作品から入った方が出会いとしてはよかったか。
ま、うちにはこれしかなかったものですから。

現在の東野圭吾は、「放課後」のようないかにもお約束といった感じの推理小説スタイルにさほど固執するタイプの作家ではないようですが、そういうものを頭から否定するつもりもまたないようです。「宿命」でも、「はい、これ伏線ですよ〜」「この人あからさまに怪しいので、真犯人じゃありませんから〜」といったヒントの類が見え見えな形で提示されたりしているし。
ミステリのミステリらしさが好きな人にとっては、それこそが一番の楽しみどころなのかもしれない。ただ、僕自身には「これぞ○○の鑑」という王道的なスタイルをハズしてもらいたがる傾向があって、ゆえにあまりに的確で親切なサービスが煙たくも感じられました。読みやすすぎるのが不満だっていうのは、読み手の方が歪んでいるのかもしれないが。
もちろん、純粋にパズルとして楽しむのは簡単だし、その点では十分楽しみましたよ。

これがSFだったら、王道的なSFらしさをハズせばハズすほど受けが良かったりするんだけど。

────
アニメ「BECK」がすげーよかった。みなの者も見るがよい。
[PR]
by umi_urimasu | 2006-01-25 00:57 | 本(SF・ミステリ)


<< 「エマ」森薫 アニメ「BECK」 >>