「復活の地」小川一水
a0030177_1943510.jpg一昨日の夜、食事しながらこれ読んでたら、いきなり床が揺れました。
あ、焦るだろこのやろお!

よりによって地震モノを読んでるときに来るなと。まあ震度3〜4ぐらいの軽いものだったらしいですけどね。あ、これネタじゃないですホントなんです。信じておねがい。

というわけで、懸案だった「復活の地」もりもり消化中。現在、全三巻のうち二巻まで。
おもしろい、おもしろいぞ!

「私はあなたの敵ですか!?」
「──あなたのためではなく彼らのために、あなたと同じことをすると言っているのです!
 これでも私はあなたの敵ですか!?」


ああ内親王殿下。もっと罵倒してくださぃ。あまり懐かれるとかえって醒めるんで。


この作品はただ一語で表現できます。すなわち「災害復興小説」と。
正確には、ほとんどドキュメンタリーとか説明文書に近い内容なんですが。
登場人物の造形などは、職業的な性格ステロタイプというかありがちキャラというか微妙なところだけれど、それよりもメインは「復興」そのもの。明らかに阪神大震災なども参考にしたとおぼしき実際的な情報がぎっしりみっしり詰め込まれ、人々が生活を立て直そうとする奮闘の様を伝えます。
さらに事は国内だけでなく、国家レベルの内政干渉や民族問題が絡んであわやクーデターか星間戦争かという緊迫した状況へ。
この未曾有の国難に立ち向かうのは、罵倒され批難されながらも惑星上のすべての人々のために戦う志高きひとりの文官と、天上人として国家の頂点に立つひとりの娘(ちょうど日本でいうところの天○陛下)。あまりに過酷な試練を負って、冷徹なパワーゲームの盤上にあがった若者たちの運命は──。
命短し恋せよ皇女、青髪の色が褪せぬ間に。

でも実際のところ、1巻あたり400ページの分量中で、主役二人が直にご対面して言葉をかわす場面なんてせいぜい10ページあるかないか。他はすべて、復興と陰謀と他国の干渉で埋めつくされて蟻の這い出る隙間もないほど。つまりはそういう小説なんです。

ちなみに、気になるほどではないものの、わずかながら「美談すぎる」展開を押し通したっぽいところもありました。ボランティアのエピソードとかは、そういう「天災系のいい話」の引き写しに見える節がちらほら。それをやるなら、対比的にもう少し汚いところを汚く書いて釣り合いを取ってもよさそうな気もします。ただ、それはそれで痛いので、本音をいえば嫌なんだけど。この作品は一貫してポジティブ思考スタイルで、それがいわば「ウソでも感動できる」ための土台となっているので。
それと、舞台となる「レンカ帝国」があからさまに日本をモデルとしているのが丸わかり(笑)な設定は、もう少しぼかして欲しかったかも。ビジュアルデザインのせいでもあるけど、純粋に物語を楽しみたいという読者にとっては、ここまであからさまに似せてあるとかえって不粋と取られる恐れもありますから。
断っておいた方がいいかもね。

本作はフィクションであり、登場する人物、事件等はすべて架空のもので、実在の○○や××、ましてや△△などとは一切関係ありません。なんか○○陛下っぽい立場の人物がとんでもない目に遭っちゃったりしてますが、すべてフィクションなので何ら問題はありません。

「復活の地」(1),(2) 小川一水(ハヤカワ文庫JA)


あと…これはもし可能ならぜひアニメで、都市風景を緻密に映像化したものを見てみたいです。実際作るとなるとものすごい難行だろうし、無理っぽいとは思うけど。
いやでも、むしろ今このタイミングでこそ、まじめに作るべきではないか。
そう、史上初の「大震災復興アニメーション」を!
やろうやろう。さあひと思いにやってくれ。←人任せ
[PR]
by umi_urimasu | 2005-01-11 19:43 | 本(SF・ミステリ) | Comments(2)
Commented by せつが at 2005-01-15 00:21 x
復活は地震と共に語られるのか。
3巻発売と同時に新潟中越地震がおきまして、あまりのタイミングの
よさに作者には変な能力がついてるんじゃないかと言われてました。
以前に郵政省の話も書いているんですけど、郵便事業民営化にも
タイミングよく当たってしまったそうなので(笑)
Commented by umi_urimasu at 2005-01-15 16:48
>せつがさま
なるほど、シンクロニシティですな。というかほんの二ヶ月前だったのか、最終巻が出たのは……。
そんなこととはつゆ知らず読んでましたが。第三巻、読了です。
女性○皇!即位宣言&退位予告!くーでたー!
うはーおもしろかったーw

>郵政省
「こちら郵政省特配課」ですね。amazonは…品切れでした。次、何読もうかなぁ。やっぱ「第六大陸」かなぁ。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。



<< プラネテス 第24話「愛」 「ナビィの恋」より登川誠仁 >>