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荒山先生はいつも楽しそうでいいよな
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石田三成 ソクチョンサムスン

荒山 徹 / 講談社


荒山先生はいつも楽しそうでいいよな_a0030177_0174192.jpgこの写真のくだりとか特に楽しそう。

荒山徹の「石田三成 ソクチョンサムスン」、巷間の評判はいまひとつ振るわなかったようですが、個人的にはなんか意外と気に入っています。ハングギドラとか柳生大宇宙とか、小ネタのひどさもさりながら、飛鳥時代と戦国時代をかわりばんこに描き、日朝関係を背景にした権力争いの構図をぴったり重ね合わせるというでかいアイデアがそれなりにツボったようで。物語の結構の面で整っているとはいいがたく、小説としては行儀のわるい作品かもしれないけど、むしろこれはもう「ネタ帳」みたいなものとわりきってしまえば興もそがれないのではありますまいか。


ソクチョンで笑えた伝奇ネタのことなど。
まさにこの写真の箇所ですが、荒山作品ではもはやおなじみの「作中で人の小説を批評するコーナー」を発動して、「春の坂道」と「伊賀忍法帖」における無刀取りの描写をくらべ、柳生石舟斎が上泉伊勢守に弟子入りしたという定説はじつは逆ではないか、伊勢守のほうこそ石舟斎の前に伏して入門をねがった側ではなかったか、という仮説がでてきます。

いわく、家康をして神業と絶賛させた無刀取りをあみだしたのは石舟斎であり、伊勢守にはなしえなかった。したがって石舟斎のほうがすぐれた剣術者だったはずである。また、伊勢守の弟子にすら一蹴されたといわれる石舟斎に剣をおしえるならば、それこそ弟子の疋田か神後にまかせればすむことなのに、宿願たる新陰流の弘布のほうを弟子にやらせて伊勢守自身はなぜか柳生庄にとどまった。その真相は、石舟斎に弟子入りしたかったからであろう。では、なぜ本来の師弟関係をそのようにカモフラージュしなければならなかったか。それは百済党に柳生一族の正体を知られないための用心だったのだ。日本の権力者に寄生して百済復活をもくろむ百済党を狩るために、高名な剣豪に入門→ときの権力者に接近→世間に不審をいだかれることなく存分に秘剣をふるえるじゃん。という石舟斎の深慮遠謀だったんだよ。

ムリあるだろ! まあ伝奇ネタなので面白ければそれでいいのですが。

あと、柳生一族のルーツを古事記や日本書紀までさかのぼって天日槍(アメノヒボコ - Wikipedia)にこじつけ、田道間守(たじまもり)をたじまのかみと読みかえて但馬守につなげ、新羅と倭国の絆をまもるべく歴史の闇にかくれひそむ異能集団・非時一族こそ柳生の源流だったんだよ。などという話もでてきます。じつに夢があってよろしい。


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ジョージ・R・R・マーティンが A Dance with Dragons を書き終える
まずは祝着

〈自著を語る〉 荒山徹 「朝鮮通信使いま肇まる」: なぜ、朝鮮通信使を書いたのか?
先生は今日も平常運転です。日韓友好のシンボルだと? ククク……笑止!

SFセミナー「上田早夕里インタビュー」のメモ
とりあえず

GWはこじんまりと国内プチ旅行して、あとはずっと実家でゴロゴロして山風や乱歩を読みちらかしたり。例年通りの行動パターンでした。

外道忍法帖―忍法帖シリーズ〈2〉 (河出文庫)

山田 風太郎 / 河出書房新社


総勢45人ものネームド忍者たちによる大忍法合戦。こんなにも忙しい忍法帖は初めてだった。これでやっと山田風太郎自己評価のうち忍法帖のA、Bランク作品はコンプかな。いまは「妖異金瓶梅」と「妖説太閤記」を読みかけ。山風道の終点はまだまだはるか彼方です。

Sympathy for Cthulhu
要約: クトゥルーの立場に立ってみれば、彼の境遇にけっこう同情できると思うんだ。めざわりなゴキどもを駆除して庭をきれいにしても、次に目がさめたときにはまた別のがはびこってる、その際限ないくり返し。クトゥルー「むきーもうやだ、もっかい寝ゆ!」

[ニコニコ] 七六五家蜘蛛の会
いいものみつけた。膨大な埋没動画(失礼)のなかから思いがけず自分好みのノベルシリーズを掘りあてたときの喜び、これに勝るはなし。

アライバル

ショーン・タン / 河出書房新社


いつのまにか日本版が出てる。これ、ちょっとした贈り物としてもかなりよい本だと思います。老若男女、人種、言語によらず楽しく読めて、海外版なら価格も無難。相手がSFやファンタジーを嗜まない人でも、これならまず安心かと。

ねじまき少女の表紙ktkrカッコイイ!! on Twitpic
バチガルピ作品って換気扇が妙に似合うよね。なんとなく

柳生大戦争の文庫版 を本屋で見かけて巻末をぱらぱら。著者あとがきとして柳生封印宣言が載っていて不禁苦笑。ついでにバカネタ掌編「十兵衛断裁」も載っていて不禁噴笑。相もかわらぬ安心のひどさよ。
実際のところ、月之抄とか五輪書とかの江戸時代初期の兵法書みたいなものって、当時どんなふうに流通(?)していたんだろう。そもそも業者を介して出版するような扱われ方はありえたのか。
江戸初期の木版印刷での出版はどの位の部数でていたのでしょうか。 - Yahoo!知恵袋
普通に需要があるだろう実用書ですら、たかだか数百部とすると、兵法書などのマニアックな本はもっとずっと流通量が少なかったはず。やっぱ手書きの写本くらいしかなかったのかな。

【画像あり】地球、宇宙にあるすごい物
こうやって分野横断的にすごいものを見ると、逆に何の変哲もない身近なものも、見る側の立場がちがえば「すごい」と感じられるのではないか、という気がしてくる。不思議

Togetter - 「浮世絵で語る指輪物語」
元の"Hokusai Manga Construction Kit"は今消えてるっぽい

SF小説の金字塔「ニューロマンサー」映画化をヴィンチェンゾ・ナタリが監督、東京で撮影も?
ロケなら千葉でやらんかいという人もいますが。ギブスンの想定していたイメージはやはりおそらく東京、新宿のネオン街の風景であって、それをそのまま東京とせず、かといって架空の街にもせず、あえて千葉というふうに一歩だけずらす、ひねる、というのがギブスンのいけてるところなのではないかしらん。

杜王町が舞台のジョジョ第8部「ジョジョリオン」連載開始
ふぐり×4の衝撃。ごく平凡なものがあったりなかったりする、ただそれだけで劇的に増す異常さとか超現実感とか、そういう目のつけどころがとてもキングっぽいと感じる。

Amazon.co.jp: ねじまき少女 上 : パオロ・バチガルピ
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ついた。読むぞ~

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The Science Of The Story: An Interview With Greg Egan
あとで
by umi_urimasu | 2011-04-27 00:29 | 本(others)


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