『テケリ・リ!テケリ・リ!』
テケリ・リ!うるさくてごめんぬー。
怪奇小説史上屈指の電波ワードとして有名なてけり・り。これ読んでやっと事情がわかりました。
しかし怖くないな。むしろ、あの連中はそれしか喋れないところがチャームポイントですね。「てけり・り」だけで全てを語る。きっとプロポーズも「て…て……てけり、り♥」で済ますんだ。ある意味「ハーイ」しか喋れないイクラちゃん的ポジション。
H.P.ラヴクラフト氏ご本人も、やたら
「名状しがたい」「宇宙的恐怖」を連発するあたりがちょっとおちゃめさんな感じでした。未知の怪物や建築物の姿形を延々と説明し続ける箇所などは、「あのさぁ、絵に描いた方がいいよそれ」と言いたいところですが。まあ、よく言えば映像派ということで。
もともと怪奇小説というジャンルにはかなり縁遠くて、今回も慣れないものを読んでるなぁという違和感はありました。でも新鮮というよりはどことなく懐かしい。現代から見ればデタラメなことを大まじめに書いている大昔のSF小説を、苦笑と共に楽しむという感じに近いですかね。コナン・ドイルの「失われた世界」とかの感触に似てるかも。もし子供の頃にこれに出会っていたら、おそらく見事にハマっていたでしょうが……。
なんか興味深いラヴクラフト評がこちらに。ふむふむ。こりゃ勉強になる。
「青春小説としてのラヴクラフト」
あと細かいことですが、この全集4は日本語の訳文がかなり硬かったです。特に
「狂気の山脈にて」などは、直訳っぽすぎて日本語として不自然な点がけっこうあって気になりました。もう少し滑らかに意訳して欲しぃ。