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ゲームのリアルリアリティ
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ものすごく久しぶりに、ネット上で「リアルリアリティ」という言葉を見かけました。すわ、超先生再評価の波でも来たかと一瞬驚いたものの、ぐぐってみるとじつはTRPGプレイヤーの間でつかわれている一種のゲーマー用語らしいとわかりました。なんだそっちか。ちょっと安心した。

njtrpg @ ウィキ - リアルリアリティ
リアルリアリティとは、実世界を想定した現実味、つまり基本的には世間一般でいうリアリティと同義なようです。ただし、TRPGにおいて単にリアリティという場合は「ゲーム世界内限定での」リアリティを指すことが多く、そちらと区別するためにわざわざ呼び替えている、といった感じなんでしょうか。また、ゲームの判定が自分に有利になるように実世界のリアリティをふりかざして屁理屈をこねる困ったプレイヤーを揶揄するときにもこの言葉をつかうらしい。

ゲームシステムとリアルリアリティの齟齬が顕在化する例として、上のリンク先では囚われの女戦士問題とか百匹のゴブリン問題なんてのがあがっています。ルールに従うと非常識な状況になってしまうようなときにリアリティを保つにはどうすべきかと。これってTRPGにかぎった話じゃなさそうですね。RPGのようなタイプのゲームやフィクション全般におけるリアリティのさじ加減というのは、ほんとに厄介なものでして。

僕の場合、これに似た話として思いうかぶのは、たとえばドラクエ8の家捜し問題。ドラクエ8はいわゆるドラクエ的な世界観の忠実な3D化が売りの作品ですが、プレイしていて町の民家に入って棚や箪笥を「しらべる」と、金貨や薬草が手に入るようになってます。ドラクエシリーズは伝統的にこの方式でPCにサービスアイテムを与えてきました。しかし、このときのビジュアルから受けた違和感が予想外にひどくて、戸惑ったおぼえがあります。他人の家で、家人がじっと見ている前で堂々と金品を漁っているのに彼らはまったく何の反応もしない。ゲーム的なビジュアル処理だけがあってそれにふさわしい描写が欠けているせいで、状況の不自然さがきわだっている。こんなことは2D時代にはちっとも気にならなかったのに、ディテールの細かい3Dグラフィックであらためて見ると驚くほど不自然に感じてしまったりするんですね。他にもDQ8では樽を投げつけて破壊するといったアクションもできて、酒場で酒樽をドカバカ壊しまくっても店の客や主人はその横で平然としています。非常にシュールな光景です。これもコンピュータゲームにありがちな「ゲームシステムとリアルリアリティの矛盾」ではないかしらん。

その種の不自然さを豪快に放置しているゲームもあれば、なるべくほころびが出ないように気をつかっているゲームもあります。どっちがいいの悪いのと簡単にいえるものじゃないと思うけど、どちらかといえば「不自然さを感じさせない」ように配慮してくれる作品の方が僕は好きかな。Morrowind なんかだと、人の家にある物を盗んで見つかったら当然逮捕されるし、悪いことしてると人望パラメータが下がってNPCの態度も冷たくなるなど、異世界といえども社会の存在が強く感じられるつくりになってました。ああいうのいいですね。異世界に「住んでる」実感があって。
逆にICOやワンダと巨像では、社会みたいな描写の面倒な要素はそもそも最初からなくしてあります。あれはあれで、閉じた世界のリアリティを維持する賢い方法かもしれません。そういえば開発チームの人も「リアリティを追求できないものは徹底的に排除した」と言っていた。

まあ、ゲームやフィクションでは現実を完全に再現することができない以上、最終的にこの手の話は人それぞれがどの部分にリアリティを感じるか/求めるかという、趣味嗜好の問題に帰してしまうのだろうと思います。好き嫌いのことだけに自分では制御しにくいのがときどき困るけど。ある小説の「リアリティの欠如」に憤慨して「これはねーだろ。常識的に考えてありえんだろ」とか突っ込みながら、別の小説の似たような部分は全然気にならなかったので黙ってスルー。ってことは往々にしてあるし。同じ作品に対しても「すごくリアルだ」「いや全然リアリティがない」と人によって正反対の感想になることも珍しくないし。
つまりなんだね、結論はこれかね。「リアリティは人の数だけ存在する(キリッ」

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「柳生百合剣」(朝日文庫) 荒山徹
タイトルの乙女チックな語感に騙されてはいけない。じつは百合剣とは一晩に百合、すなわち100回連続セックスをしてついに会得される秘剣のことなのである。徹はじつにばかだな(褒め言葉

ゾンビに襲われたときの対処法をまとめてみた
ムクンガ・ラレムこそは最強の対ゾンビ武術。でも実際の使い手は今んとこマックス・ブルックスだけっぽいので詳細は不明。World War Z の映画化に期待です。

Togetter - 『マルドゥック・スクランブル』単行本版、文庫版について。
第一作の修正にそこまでこだわるなら、いっそのこと通常文体版ヴェロシティという追加オプションもありではなかろうか


黒博物館 スプリンガルド (モーニングKC)

藤田 和日郎 / 講談社


ブゲー!血ヘドを吐くほど面白かった。あらぶる漫画力の塊って感じ。「ドラキュラ紀元」から英国伝奇つながりで久しぶりに接触した藤田和日郎作品ですが、たまに読むと脳髄にガリガリくるなあ、この人の漫画は。一冊読んだだけでへとへとになった……。

[画像] この世の果て、恐山で宿坊に泊まる
人里はなれた霊場は廃墟好きにも魅惑の空間。東北旅行の機会があったら寄りたいスポット

[youtube] The Warrior's Way Trailer (2010)
妙に活気づいてきて珍品の出現が後を絶たない海外トンデモサムライ映画界。笠をかぶった集団があからさまにGロボの血風連っぽいのが笑えます。いったいどこからそういうネタを拾ってくるんだ。

ノーベル文学賞:ペルーのリョサ氏受賞
「緑の家」しか読んだことないけどおめ。これを機に絶版だらけの状態が改善されたりしないかな。

[画像] The department No. 601 MAI - "Space systems and rocket"
これはすごい。旧ソ連時代の月着陸船をはじめ、宇宙開発の遺物がぎっしり詰め込まれている、MAI(モスクワ航空宇宙大学?)構内の写真。機械的でありながらまるっこい感じがなんともいえん

テッド・チャン "The Lifecycle of Software Objects"
はやばやと無料公開に!ありがたや。がんばって読んでみます。
→ 読み始めてみた。すんげー地味な導入。これはこれでとてもチャンさんらしい気もする。今よりちょっぴり未来というだけの現代風の話で、文章もやさしくてかなり読みやすい。がんばるぞ。

ピーター・ジャクソンの「ホビット」が公式に始動宣言!撮影は2011年の2月開始予定
めでたい。そういえば俳優組合問題ってクリアできたのかな。LOTRにも出ていたキャストはできるだけそのまま継投してくれるとうれしいですが。

山口貴由「覚悟のススメ」復活!「エクゾスカル零」始動
なんですと!あまりにも、あまりにも嬉しすぎるニュース。当方に購読の用意あり!

10/23 "The Lifecycle of Software Objects" なんとか読み終えました。つかれた……。
ストーリー後半を占めるAIのセックスビジネス問題が、あんまり心躍るたぐいの話題じゃなかったのと、ひさびさの長文英語のストレスでぐったり。
獣姦とか異種姦とかってただでさえよくわからん世界だが。AI相手だとますますたいへんそう。まあ、そういう地味にめんどいところをめんどいからってスルーしないことではじめてふっと気づかされる、SF的な「気持ちの問題」の味わい深さがチャン作品を好きな理由のひとつでもあるし。苦労して読んだ甲斐は十分ありました。
しかしこれ、邦訳出すときタイトルどうすんだろう。

Happy Birthday, Ursula!
ル=グウィン女史81歳の誕生祝い。ご本人のレスが、ビルボの演説ネタ……。お茶目な人だなあ。

[ニコニコ] 【MMD】ペルソナM 夏祭り編(完全版)【ペルソナ】
テクスチャが変わってもP4はやっぱりいい。そのうちMMD互換の3Dゲームエンジンが作られて、誰でもこんなネタゲームを作ったり遊んだりできる日がくるかもしれない。

富野由悠季監督作品「ブレンパワード」が廉価版DVD-BOXに
7枚組、1万1655円という投げ売り価格。たまには富野分を補給したいので、これは買いで。

山田風太郎賞:貴志祐介「悪の教典」に
もっといかにも山風ライクな時代伝奇やバカミス的な小説にあげる賞なのかと思ってたけど、そうでもなかったらしい。
by umi_urimasu | 2010-09-27 21:03 | ゲーム


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