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映画 「シャーロック・ホームズ」
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映画 「シャーロック・ホームズ」_a0030177_21175122.jpg目指したのは「とにかく今までのホームズらしくないホームズ」か。推理よりも暴力で敵をなぎ倒す戦闘探偵とその相棒の戦闘軍医、怒れる筋肉紳士コンビの鉄拳が今日もベーカー街の石畳を朱に染める。いや染めないけど。古典のイメージからの、粗暴ともいえるほどの逸脱ぶりが面白おかしい(と笑ってすませられる人向きの)にぎやかな冒険アクション映画でした。

僕はガイ・リッチー作品というと「スナッチ」と「ロック、ストック~」しか見たことないのですが、ダーティなケンカ描写、短いカットをつないで時間をスキップする演出、それに強烈な訛り言葉のセリフ回しが印象に残っています。今回もそういった要素はあちこちに見られました。スナッチばりの痛そうなボクシングシーンもあるよ。これはあれですかね、ジョジョでいうところの「ゴロツキどもがやる貧民街ブース・ボクシングの技巧」というやつですかね。親指を目につっこんで殴りぬける的な。
主人公がほんとにそこまでしたら正義のヒーローとしては失格だろうけど、このホームズもなかなかえげつない戦法を使います。欧米の作品はどちらかというと、ヒーローのやりすぎ攻撃に対して日本より寛大なイメージがある。民族性の差かなあ。

ストーリーは単純明快、世界征服(笑)をもくろむ怪しげなカルト教団をやっつけてやるぜ。みたいなノリ。僕はヴィクトリア朝ロンドンで冒険活劇というだけですでに上機嫌で、ストーリーよりも背景やセットにばかり見入ってました。煤煙にうす汚れた街、水晶宮にタワーブリッジ、どろり濃厚なテムズ河、謎の中国人。おいしいヴィクトリア朝おいしい。

主演のロバート・ダウニー・Jr(アイアンマンの中の人)については、イメージがちがいすぎる、ミスキャストではないかという声もあるようです。確かにちょっとな。むしろ悪役側のブラックウッド卿の方がずっとホームズらしく見える。みんな頭にジェレミー・ブレットのイメージがあって、なおさら「配役逆だろ」感が強いのかも。
あとこっちのワトソン高性能すぎて吹いた。あんたもう同格の主役でいいよ。

もしこの映画の狙いが既存のホームズ像からの脱却にあるのなら、確かに今までとはちがう方向に進んではいるようです。でもそれならそれで、何かもっと、客が心底唖然とするような無茶な要素を加えてもらえると嬉しかった。キャラ造形のアレンジがメインなのは、パロディとしては少しおとなしいように思えました。まあ、その分格闘やチャンバラをめいっぱいがんばってるから、基本そっちで楽しんでくれということでしょうか。

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先んじて英訳出版していたHaikasoruに隙はなかった

イギリスの大学で吸血鬼を学ぶ修士課程が開始予定
就職面接とかで「ご専攻は?」「吸血鬼学です」って答えることになったらけっこう恥ずかしいかも

フィクションモチーフとしての吸血鬼 - Wikipedia
従来ホラーやエロ・グロの文脈で扱われてきた吸血鬼に対して、悲劇のイメージが加えられたのは、萩尾望都「ポーの一族」やアン・ライス「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」以降のこと
あれ?そんな最近のことだったとは。意外だなあ。

[youtube] Pixels by patrick Jean - Invasion pixels
ドット絵のレトロゲームキャラに現実世界が侵食されていくショートフィルム。滅亡SFは好物です
by umi_urimasu | 2010-04-05 21:24 | 映画


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